ファミレスで高級パフェ、完璧です
パフェを食べたらもうそれだけでお腹いっぱいなのだった。
夢のようにおいしくて、空いたパフェグラスを前に席に座ったまま、ひとつひとつのパーツのおいしさとそれが組み合わさることで口内に起きた相乗効果を舌のうえに再現した。
そうするあいだも、さっきの子どもにうどんが届いて、隣の席ではシャカシャカポテトがきて振る音がするのだ。
うどんとポテトも、ちょっといいなと思ってしまうのだから、案外私の胃も図々しい。
コーラを飲んで、帰って昼寝しました。
ありがとう、喜びそのものです
やってきた「マスクメロンのザ・サンデー」は喜びそのものであった。
着丼のうれしさがこんなに強い食べ物はほかにないんじゃないか。目の前に出てきたとき、座っていた椅子から腰が5センチ浮いてそのまま5秒止まりましたもん。
メニューによると、メロンとともにこのパフェを構成するのはクリーム、ゼリー、ソルベ、ソース、マスカルポーネクリーム、ミルクジェラート、とのこと。
そのほか、バニラアイスやナタデココ（ナタデココ！）掘り進めたところにはグラノーラのようなカリカリした構成員も確認できた。
そうではない、そうではないのだけど、あまりの楽しさとうれしさに、この世のすべてがここにあると安易に思ってしまう。
パフェはフランス語のパルフェのことで、パルフェとは英語でパーフェクト、つまり完璧の意味だ。よく聞くその語源が口で再現されていく。
まさにパーフェクト、語源に対してなんて真摯なパフェなんだ。
ドリンクバーから、まずはコーヒーと一緒に味わった。
でも、いいですか、パフェを食べ終わって、コーヒーを飲み終わったら私、コーラを飲もうと思ってるんですよ。
そんなことある？ ないですよね？ して良いことだともちょっと思えない。でもする。
みんな今日はありがとう！
いったん広告です
それぞれに好きなもんを食べている
数分夢中で掘って食べてコーヒー飲んでと一人の世界に入りきって、それからふっと我に返った。
その、我に返ったあとのシチュエーションがすごくよかった。
大きなパフェをほげほげ言いながら食べる私がいる。後ろの席にはオムライスが届いて、隣の席には唐揚げとご飯とみそ汁が届いて、向こうにはパンケーキが、奥にはハンバーグが運ばれていく。
私は最高にOKな体験をしているけれど、きっとそうではない人もいるだろう。これからしんどい仕事に行かなくちゃいけないとか、悩みをかかえながらせめてなにか口に入れておこうとか考えている人もいるかもしれない。
いっぽう私以上に食事をエンジョイして、ごほうびとして何らか食べている人がいる可能性もある。
メニューや客層の幅広さから、同時並行して生きる私たちの人生のさまざまさが伝わってくる。
おっと、ここで丸くくりぬかれたマスクメロンが上部だけじゃなく内部にも埋まってるのに気づいた。マスクメロンをスプーンにすくうと、スプーンのまわりできりっと甘く香り立つ。
入り口から小さな子どもがきゃあきゃあかけてきて、店員さんが同行の親らしきおとなの人に「小さな椅子、お出ししますね！」と声をかけた。
