ちょっと聞いてよ 2023年11月7日

アルカリ電池がピカピカじゃなくなり、白地にでかい数字の時代に

気づかないうちに電池のデザインが変わっていた。アルカリ電池はもうピカピカじゃなくなってきているのだ。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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 モノタロウの電池がおもしろい

ちょっと前にモノタロウ(業務用の資材通販サイト)からチラシが届いて、そこに載っている電池のデザインがおもしろかった。

商品ページより。単3とか単4とかを表す数字がでかくてすごいインパクト

おもしれー!と思って同僚に見せたらみんなウケていたが、見方を変えれば誰でも間違えにくいユニバーサルデザインでもある。

あるいはもしかしたら、サイズ感のわかりにくい通販サイト上で、一目で種類がわかるようにした結果なのかもしれない。

やるなモノタロウ…と思っていたが、実はこれ、モノタロウだけの話ではないことにあとから気が付いたのだ。

DSC00254.JPG
おや…?
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アルカリ電池=ピカピカ

これまでのアルカリ電池ってなぜだかピカピカの光沢のあるデザインのものが多かったと思う。

家にあった電池。中には地味なのもあるが光っているのが多数派
週末に電子工作の展示会で使用済み電池を山積みにしている人がいたので撮らせてもらった。こっちは100%ぜんぶ光ってる

だいたい金属光沢の塗装の上にバーンとメーカー名や商品名が書いてある。そして「アルカリ乾電池 ALKALINE」と2か国語併記してあったりして文字が多い。そのわりに電池のサイズは小さく「単3 AA」とか書いてあり、主張はひかえめ。

あと、繰り返すがとにかくピカピカ。

マクセルの単三。古代に持っていったらめちゃくちゃ価値のあるものだと思われそう。ツタンカーメンが乾電池のマスクを作っていたかもしれない
ダイソーの単四。写真に写ったこの電池の反射をもとに、有名人が家を特定されそうな勢いである

ここで挙げた電池以外も総じてピカピカしている。各家庭でご使用の電池は違うと思うが、アルカリ電池といえばこういうイメージ、というのはうなずいていただけると思う。 

タミヤのミニ四駆用電池はイラスト入りだが、マットな質感なのでアルカリ電池の山に混じると逆にシックな気がしてくる

これには乾電池にマンガン電池とアルカリ電池の二種類があることが関係していると思う。マンガン電池は昔から赤とか黒の地味な色が多く、それとの見分けやすさ、あるいはよりパワフルに見せるためにアルカリ電池はピカピカさせていたのではないだろうか。

マンガン電池は昔ながらのがまだ健在

新たな勢力が台頭…白地に数字

そんなアルカリ電池=ピカピカのイメージもあってモノタロウには新鮮さを感じたわけだが、実はこれ系のデザインの乾電池、いま増えているのだ。

DSC00250.JPG
これが発端のモノタロウ

モノタロウの電池を買ってみた。似たデザインの中でも数字の存在感が頭一つ抜けている。

モノタロウの良さは9V電池もあるところだ。「9V」の文字がかわいい

他のメーカーの似たデザインの電池も見ていこう。 

100均のキャンドゥも白地に数字のデザイン。ブランドロゴ等が無く、もはや無印良品かというシンプルさである
いっぽうで本物の無印良品の単一。白地に大きく「1」。プラス側が赤くなっているのも見分けやすい
ビックカメラのプライベートブランド。意外なところがシンプルデザインに参入
カインズの電池もこのタイプだった。文字がピカピカなところにかつてのアルカリ感の名残がある(商品ページより)
モノタロウと同じく業務用通販サイトのアスクルも。ただし電池の種類によって数字の色が違う。

同じ「白地に数字」界の中ではファッションリーダー的存在、それがアスクルである。

商品ページより。頭一つ抜けておしゃれ。あと単一の「1」がこれでもかという勢いでかいのがおもしろい

また、アスクルのこの電池は2019年か2020年の発売のようで、どうもこの白地+でかい数字ブームの先駆けはアスクルなのではないかと思われる。(ただし、数字がでかいだけならアスクルもモノタロウも旧デザインからそうらしく(参考サイト)、そのへん源流をたどるときりがなさそうではある)

こうした有名どころ以外でも、いまやAmazonで検索すると似たようなデザインがたくさん見つかる。

検索結果ページよりコラージュ)

上のコラージュでまんなかに載せたLAZOSというブランドの電池に注目してほしい。緑色なので正確には白地+数字ではないがそこは目をつぶっていただくとして……

先日までこんなピカピカデザインだったのが(商品ページより)
さいきんリニューアルしてこうなったらしい。めちゃめちゃ垢抜けた(商品ページより)

まさにいま時代が動いているのである。

変化の理由だが、単にわかりやすくていいという点以外に、ピカピカの必要性が薄れたというのもあると思う。

昔はマンガン電池が基本でパワーが欲しいときにアルカリを選ぶという感じだったが、いまやアルカリがスタンダードで、むしろマンガン電池はあまり見かけなくなっている。区別の必要がなくなり、アルカリ電池はピカピカを捨てつつあるのかもしれない。

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中間もある

ところで、その中間というべきか、ピカピカだけど数字がでかいというパターンもある。

スクリーンショット 2023-11-06 165914.jpg
ヨドバシの電池は派手だが「3」がでかい(商品ページより)
ダイソーにあった三菱の電池は従来デザインの中で見やすくしてきたぞという印象
これもダイソーでよく見かける三菱の電池。ひとつ上の電池よりも数字が目立つややシンプルなデザイン。余談だが5本110円でこっちの方が安い
ダイソーのプライベートブランドの電池。「new」とあるし見慣れないのでたぶん最近出たものだと思う。やはり白地+数字デザインに少しずつ近づいている…。(追記:そう思ったのですがこのデザイン、実はアスクル以前からあり、しかもリニューアル前はピカピカ部がなく白地+数字だったそうです…!)

このまますべての電池が同じデザインになっていく……というのは言い過ぎかもしれないが、しかし「白地+でかい数字」に明らかに強い引力を感じるのも事実なのである。 

「3」の数字が大きいことを利用した一発芸、「メガネを外したのび太くん」

サウンドハウスの電池が安い

これは本題と全然関係ない余談なのだが、電子工作で乾電池をよく使うので、どこで買うといちばん安いかを調べたことがある。まずお買い得に思えるAmazonベーシックは実はそれほどでもなくて、100均の方が安い。中でもダイソーは5本100円のものもあって、それを買うとリアル店舗ではたぶん最安。(かつては6本100円もあったが最近は見かけなくなった。)

ただ僕の知る限りで本当に最安なのは、意外にも楽器通販のサウンドハウス。10本180円という意味不明価格である。ただ2000円以下だと送料がかかるので、楽器と一緒に買うとか、120本以上買う場合にはサウンドハウス一択と言えよう。

そしてそのサウンドハウスもデカ数字デザインである。やはり確実に波が来ている…!(商品ページより)

お知らせ

オライリーから本が出ました。

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初心者向けの電子工作本です。電子に限らず工作って「いいもの作るぞ!」と身構えて作ると途中で挫折したり飽きたりしがちなので、「作品作りは雑にやってもいい」というマインドでオリジナル作品を最速で作る/考えるノウハウをまとめました。「無駄づくり」の藤原麻里菜さん、電子工作ユニットのギャル電との共著です!

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