思いついたのは下記の方法である
……という感じである。
このあと、当日のようすを綴っていくのだが、どうぞ皆さまも読みながら一緒に答えを探ってみてほしい。
①米田さん→江ノ島さん「サイゼリヤにある」
「僕、ちょっと怖いんで先にやってもいいですか」と江ノ島さんが名乗り出たため、まずは江ノ島さんが出題する。具材を送ったのは米田さんである。
江ノ島:塩辛いなぁ。
北向:それ、鍋の汁のせいじゃないですか?
江ノ島:食材が塩辛い感じですね。米田さんから、あんまり火を通さない方がいいかもという指示がありました。しゃぶしゃぶして、火が通り過ぎないように食べています。ふだんは火を通さないのが一般的だと思います。
北向:食レポが聞きたいです。
江ノ島:ちょっとぷりぷりしています。噛むとじゅわって、旨味みたいなものが広がって、噛めば噛むほど広がっていくような……
ネッシー:旨味の広がりって比喩するならどんな感じですか?
江ノ島:比喩?
ネッシー:何かに例えるならどんな感じかなと。違う食材およびものとか思い出とか場所とか……何でもいいです!
江ノ島:……サイゼリヤで食べたことがありますね。
ネッシー:(お、比喩ではなく事実の話のようだ)
北向:サイゼリヤにあるんですか?
江ノ島:はい。偏見ですけど、おしゃれな人が食べている感じがします。僕はあんまり食わないです。ハナウタさんはたぶん食う側の人間だと思います。
ネッシー:……私は食う側の人間ですか?
江ノ島:置いてあったら食うと思うけど、食わない側の人間だと思います。
橋田:置いてあったらだいたいのものは食べるよね。
……という気持ちがよぎったところで制限時間が終了。
回答を紙に書いてせーので出してみよう。
江ノ島:わーーーそういう感じ?そういう感じね。
北向:その反応からすると正解者はいないということ……?
答えは……
江ノ島:ちなみにふつうに茹でてみたらハムになりました。しょっぱいハムですね。
②ハナウタさん→橋田さん「見た目がかわいい」
続いては橋田さんが出題。送ったのは北向ハナウタさんだ。
橋田:食べまーす。おいしいです!うん。
米田:固いですかやわらかいですか?
橋田:やわらかい!これはね、きっとね、出汁も出ているんじゃないかな。だから他の野菜もおいしくなってると思います。見た目もかわいいんですよ。
北向:へーーーー!
北向さん、橋田さんの「かわいい」というコメントが意外だったようである。
江ノ島:サイゼリヤにはありますか?
橋田:サイゼリヤには……ないかなぁ。
米田:お酒には合いそうですか?
橋田:うん!合うと思う。
ネッシー:わたし食べそうですかね?
橋田:うん。食べそう。
江ノ島:その質問、なんだろう。
ネッシー:ここにいる人たち食べそうですかね?
橋田:米田さん食べるかなぁ。食べないかなぁ。江ノ島くんは食べそうかなぁ。
江ノ島:……一般的には鍋に入れないんですよね?
橋田:もしかしたら入れるかもしれない。私はやったことないけど。さっきの生ハムとかとくらべたら…生ハムはいなかろうと思うけど、これはいるかも可能性は感じられる。
江ノ島:……和風と中華と洋風だったらどれですか?
橋田:……むずい。
江ノ島:むずいんだ!
橋田:むずいよね、ハナウタさん。
北向:これ難しいですね。和・洋・中どれでもないと思います。分類するものじゃないんですよ。
江ノ島:分類されないものがあるんだ……。
橋田:なんていうかね、食材なんだよね、そこから展開していく感じ。
江ノ島:ぜんぜんわからない。なんだろう……。
橋田:ちなみに切って入れました。切っていれたらいい感じにかわいくなったんですけど、切らなかったら……どうなるかなぁという感じ。
米田:切らなくても食べられますか?
橋田:切らなくても食べられます!
米田:子どもは好きですか?
橋田:ああああ〜〜好きかも!
北向:うんうんうん。制限時間あと1分です。回答者じゃないほうが気楽でいいですね……。
江ノ島:味的にはどんな味ですか?
橋田:甘くはない。あと、さっきも言ったかな。やわらかいもの。
江ノ島:甘くはなくて、やわらかいもの……
ネッシー:想像するやつ全部、鍋に入れたことがあるものばっかりだ……
江ノ島:……世の中にないものじゃないですか?
……と言いつつ書いた答えは下記のとおりである。
各人に理由を聞いたところ……
江ノ島:ソーセージかあ……!
人の回答を聞いた瞬間に「しまった正解はそれだ!」となることありますよね。今まさにそんな気持ちが花開きました。大輪の花を咲かせました。
北向:ちなみに調べてみたら、魚肉ソーセージを鍋に入れる文化もあるにはあるみたいなんですよ。
ネッシー:どのあたりの文化なのだろう。
江ノ島:うちの実家入れてましたよ。
おお、なんと。
③江ノ島→ネッシー「たこ焼きではない」
続いての出題は筆者である。
先に言っておこう。わかりづらい。仕組みを考えた本人が一番仕組みを攻略できておらず、誰よりもわかりづらい食レポを展開している。なお、具材を送ってくれたのは江ノ島さんである。
江ノ島:2つ候補があって、どっちを送ろうか僕迷ったんですよ。
北向:送らなかった方は何だったんですか?
江ノ島:たこ焼きです。明石焼みたいになるかなと思って。うまそうじゃないですか。
それでネッシーさんに「安パイでうまいものか、安パイじゃないけどおいしいかもしれないやつ、どっちがいいですか?」ってメッセンジャーしたら、安パイじゃないやつがいいと返答がきたので、そっちを送りました。
北向:ということは安パイじゃないんですね。
ネッシー:食感、ひとつだと思ってたんですけど、口に入れてみたらひとつじゃなかったです。これもくるのか!と自分が忘れてたものがついてきた。
ちなみに、荷物を開けたとき、ひとつじゃなくて複数入っていまして。好きなものを選んでいいといわれたので、選んで入れました。でも、どれを選んでも、同じカテゴリのものです。
北向:カテゴリ……?!
ネッシー:全部同じ種類なんです。
ネッシー:味は、不味いかおいしいかでいったらおいしいです。
北向:それ自体に味はありますか?
ネッシー:あります。あるけれど、けして強い味ではない。わりとふかふかしてます。
米田:さっき食感ひとつじゃないと思ってたら複数あったと言っていたじゃないですか。ふかふか以外にもあるということですか。
ネッシー:はい!ふかふかしていると思ったら、コリッという感じがしました。
江ノ島:コリッてしたんだ……。
北向:甘いですか?
ネッシー:かすかに甘みがあります。
江ノ島:えっ……!?
橋田:江ノ島くんが「えっ」て言ってるけど……。
ネッシー:あ、甘いものではないです。噛んでるうちにかすかに甘みを感じる……といいますか。
橋田:鍋に入れる人いそう?
ネッシー:一般的にはあまりいないと思います。入れてもぜんぜんダメじゃないけど。
米田:お弁当に入れると思いますか?
ネッシー:入れる人もいると思います。昔働いていた職場に、おかあさんくらい年の離れた人がいて。たまに自分のお弁当のおかずをくれたりしたんですけど、あるとき、ラップに包まれたそれを「はい!」って渡されたことがあって。
ネッシー:あ、でも。お弁当箱に適したものではないので、入れる人はそんなにいないと思います。
橋田:その情報は必要なのかな。
北向:……魚介系ですか?
ネッシー:山ではないです。海かなぁ。
北向:わかんないぞ。
橋田:なんにもわかんない。
江ノ島:聞いてた感じのこと言っていいですか。絶対当たらないと思う。弁当に入っているの見たことありません。
正解は……
しかし正解者ゼロ。圧倒的なゼロである。どうやら情報の取捨選択を盛大に間違えてしまったようだ。
④橋田→米田「庭に植えたハーブのよう」
続いては米田さんが出題する。送ったのは橋田さんだ。
米田:うーーーーんもちゃもちゃします。
江ノ島:もちゃもちゃって、あまりおいしい表現で使わない気がする……
米田:歯にくっつく感じです。入れる前と入れた後だと形状が違っていて。本当はバラバラするんですけど、鍋に入れたらひとつになっちゃいました。でもおいしいですよ。今日の鍋は和風ですけど、どちらかというと洋風の鍋に入れたい感じ。
ネッシー:ということは、トマト鍋とかに入れたら良い感じ?
米田:トマト鍋、合いそうです。
ネッシー:おー!
江ノ島:それ自体に味ってありますか?
米田:あります!
ネッシー:甘いですか?
米田:しょっぱいですね。
ネッシー:サイゼリヤにはありそうですか?
米田:サイゼリヤにはないです。
江ノ島:ないのか。ちなみに値段とかって、どのくらいするんですか?
橋田:新しい質問だ。
米田:うーんと……高かったとしても500円くらいかな。
北向:ふだん火を通すものですか?
米田:火は通さないでそのまま食べます。ただアレンジとして、焼いたりすることはあるかもしれません。
橋田:あと1分ですよ。
米田:具材に鍋を侵略されているような感じです。
ネッシー:存在感があるということですか?
米田:存在感はないです。……なんだろう、気がついたら背後にいたような感じ。
米田:ハーブを植えたら庭一面それになっていた……みたいな話があるじゃないですか。
ネッシー:ローズマリーみたいな。
米田:そういう感じですね。気がついたら鍋一面に……っていう。
北向:それ自体の味は強くないですか?
米田:普段食べるときは、そんなに味がしないものだと思っていたんですが、鍋に入れてみたら、すごく味がしますね。
北向:海にいますか?
米田:……半分海にいる。
北向:半分………???なんだろうそれ!
江ノ島:半魚人じゃない?
米田:いつもみたいに食べるのと、鍋に入れて食べるのとで、どっちが好きかというと鍋に入れた方が好きですね。私はもうこれは、そのまま食べることはないかもしれない。
橋田:言い方がうまいですね米田さん。
ネッシー:うまいですね。でも、説明うまいってことはわかるのに、答えがわからない……!
理由を聞いてみたところ……
正解は……
北向:やったうれしいーーー!!!
確かに「半分海」という言葉がぴったりである。
⑤ネッシー→北向「俺は切ってない」
最後の出題者は北向さん。送り主は筆者である。
なお筆者、何を思ったのかすごく難しいものを送ってしまった。ゆえに「難しい」という先入観を持ちながら読んだほうが、正解がわかるかもしれない旨、補足しておきたい。
北向:この状態で当てるの、ちょっと難しいかもしれないな………うん。おいしい。これ、ありですね。
橋田:はじめて食べました?
北向:この状態のものに火を通すことは普段ないです。味がしっかり出ている感じがしますね。出汁も出ていると思います。これ……何を言えばいいかな……
江ノ島:食感はどんな感じですか?
北向:食感は……歯応えがそれなりにある!でもふつうに歯でかみきれる系のやつですね。
江ノ島:シャキシャキ系のやつですか?それともゴムみたいな……ホルモンを食べたときみたいな噛みきれない系のやつですか?
北向:ゴム系ですかね。
橋田:ほんとに?ゴム系!?意外……!味がするんだよね。
北向:はい。でも、そんなに味が強いものじゃないです。
江ノ島:子どもは食べます?
北向:うーん……子どもはあんまり食べないかな。おいしいだろうけど。大人が好きなものかも。
江ノ島:じゃあ給食にはでない?
北向:でないですね(スパッ)
橋田:即答だ。………サイゼリヤには……?
北向:ないですね。洋食ではないです。
米田:なま物ですか?
北向:なま物ですね。……しゃぶしゃぶもしてみようかな。
江ノ島:しゃぶしゃぶでも食えるやつなんだ!
北向:(食べる)あーーーーーーしゃぶしゃぶじゃなかった!
……とここで急に江ノ島さんが変化球を投げてきた。
江ノ島:……今までの回答のなかにあったやつですか?
北向:そういう質問は答えられないですね。
江ノ島:そうか………………。
米田:加工食品ですか?
北向:加工……食品です!でも、まるまるではないですね。
米田:もし一緒に鍋を囲んでいる人がいたとして、その人はそれを見て何と言います?
北向:「えっ、お前んちそれ入れるの?」
橋田:鍋には入れない感じなの?
北向:うーん。鍋に入れるのは見たことがないですが、うちの地方ではこれを入れるんだよって旅館で出てきたりしたら、ありなんだな!って感じると思う。
江ノ島:コンビニにはありますか?
北向:あるところにはあるんじゃないかなぁ。買ったことはないです。
米田:クール便できました?
北向:クール便できました。
江ノ島:高いですか?
北向:安いもんじゃないですよね。
橋田:切りました?
北向:俺は切ってないです。……俺は。
橋田:「俺は」?……これもヒントなのかな?
米田:冷蔵ですか?冷凍ですか?
北向:冷凍できて、解凍しました。
江ノ島:山の幸、海の幸だったらどっちですかね。
北向:海です!
米田:海の植物ですか?
北向:いえ。動物ですね。……ほんとはもっとヒント出したいな。
橋田:出してください……!
正解は……
橋田:そういえば米田さん、イカかタコって言っていましたよね?
米田:でも……イカそうめんにはたどり着かなかったと思います。
北向:イカそうめん難しいですよね。食材として。
橋田:イカそうめんは……出てこないね……。
わからない
………というわけでお互いが何を食べているのかを当てあったのだが、これがもう、とにかくもう、相手が何を食べているのかわからなくて、びっくりするくらいわからなくて、にこにこしてしまった。
なんせ、においが全く伝わってこない。音や視覚情報も十分には伝わってこない。すると一気にいろいろわからなくなる。足りない情報を言語で伝達しようとすると、巧みな人とそうじゃない人(筆者)で大きな差異が起こる。
そうだった。同じ場を共有していないってこういうことだ。
情報の伝わらなさを逆手にとって、お互いの食べているものを当て合うのは楽しかった。
今回、「宅配」「鍋」など、要素を盛り込みすぎてしまったかもしれないので、よりシンプルな仕組みで楽しむのもアリなんじゃないかと思う。