色は多いほうがいい
身の回りに色がたくさんあるとうれしくなる。普段よく見ているものの色違いを見ると、0.1秒後にはにこにこだ。
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色違いのうれしさは食品や雑貨に限った話じゃない。公共のものだって、カラーバリエは多ければ多いほどいい。胸が高鳴るのだ。
たとえば身近なところでは、JR北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州のカラーの違い。旅の途中で見る駅名標の色の変化にはいつだってわくわくさせられている。
JR東日本エリアで生まれ育っているため、緑色以外を見ると即「遠くまできたもんだなぁ」と感慨深い気持ちがあふれるのだ。
わたしの旅情の10数%かは駅名標の色である。
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……と前置きが長くなりましたが
さてここからが本題だ。今回言いたいのは、「東武亀戸線と大師線のカラフルな電車がとっても楽しい」ことである。
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駅名標は全国津々浦々する必要があるけれど、亀戸線の路線距離は3.4kmで片道10分足らずと短い。大師線は1kmでもっと短い。
どちらも生まれた当初はもっと長くなる予定だったらしいが、紆余曲折を経てこの長さに落ち着いたという。
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もしかすると、亀戸線も大師線も「俺の人生、本当はこんなハズじゃなかったんだ!」と思っているのかもしれない。
いや、でも、別の角度から見てみようじゃないか。短い路線だからこそこの豊かなカラーバリエが集えたんだろう、と。
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さあ次は何色だ。
ぼんやり座っていたらふと、3m先の親子連れが「次に来る電車は何色か」を楽しそうに談義しながら電車を待っているのが目に入った。
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「黄色!」と推定年齢5歳くらいの男児が言うと、「黄色はさっき来たから、次は違う色だよ」とお父さんが言った。
「じゃあ緑!」と男児が言ったその30秒後くらいに、彼が予測したとおりの色の電車がホームに入ってきて、「緑きたあ!」「正解!やったあ!」と歓声が聞こえてきた。
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楽しそうな彼らを見ていたらわたしまでにやにやしてしまった。こういうとき、マスクをしていると思う存分にやにやし放題なのでいい。
きっと沿線に住んだら、毎日でも、こんな楽しみ方ができるんだろう。一番好きな色の電車に乗れたら、今日はラッキーな日なのかもしれないと浮かれちゃう気がする。
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わたしよりも年上の彼ら、もうしばらく頑張ってくれたらうれしい。