自分が来世カラーコーンに生まれ変わるなら、どんな植物に入居してもらおうか。
青空の下タンポポをグーンとまっすぐ育て上げた後は、渡り鳥のように転々としながら、あちこちに小さな大地をつくろう。最後はつる性植物と共に、静かに生涯を閉じるのもいいかもしれない。
いついかなる時も、中で育つ植物を守れるよう丈夫なカラーコーンにならなければならない。先生、現世でどのような徳を積んだら立派なカラーコーンになれるでしょうか。
カラーコーンというものがある。
通行人の注意喚起に、目印に、通せんぼにと大活躍。
取り扱いが容易になるよう、コーンの中は空洞になっているが、実はこの空間が野草の住処となっているのをご存知だろうか。
まずは近所を歩いてカラーコーンを探そう。
駐車場、道端、空き地…地面が土のままだったら最高、都市部ならコンクリートやアスファルトの割れ目に置かれているものも狙い目だ。
それから、ピカピカの新品よりも、いつから置いてあるのかわからないくらいの年代物の方が、大物が眠っている可能性がある。
踏み固められた駐車場の地面に、ひょっこり新世界が現れた。
カラーコーン越しだと少し光が弱いのか、いつも見かける野草に比べてうっすら葉の色が薄い。それがまたよくって、光がさしているような、発光しているような、なんとも言えない神々しさがある。
街へ野へと歩きまわった結果、カラーコーンの中の植物は大体以下の三つに分類されることがわかった。順に紹介したい。
1〜2種類の野草がカラーコーンの中で目一杯伸びているのが一本槍タイプだ。
近づいて、あ、上に穴があいているタイプのコーンだ…と覗き込んだらすごいことになっていた。
迫りくるみっちりさ!
カラーコーンをそっと外すと、ここぞとばかりに綿毛が飛んでいった。きれいな茎がひしゃげないように、そっと元に戻して次に行こう。
新たな生命が生まれたその隣では、一本槍タイプの行き着く先があった。
ここまで育つのに、一体どれだけの時間がかかったのだろうか。
カラーコーンの先端から溢れても、なお悠然と空を目指す姿に、見惚れるばかりだ。
天へとまっしぐらの一本槍タイプに対し、カラーコーンの内円に沿うように植物が育っているのが盆踊り型である。
赤ちゃんの手のひらみたいな葉っぱと薄紫の小ちゃい花がかわいいツタバウンラン。
這うように伸びた茎からゆらり葉が立ち上がる姿は、どことなくしとやかな、夏の終りの祭りの雰囲気がある。
そして興味深いのが、過酷な環境でも果敢に生きようとする、サバイバルタイプだ。
奥の土砂がうっすら流れてきていて、どうやらそれを地盤として生きることに決めたらしい。1cm下はコンクリートだというのに、なんてたくましいのだろう。
最後に、サバイバルタイプの極めつけがこちら。
カラーコーンの奥に似た色合いの土があることに気がつき、上を見上げると木々の枝葉が視界に入った。
ははあ。うまーく落ち葉と雨がコーンの穴から入り込み、時間をかけて土壌が形成されたというのか。
自分が来世カラーコーンに生まれ変わるなら、どんな植物に入居してもらおうか。
青空の下タンポポをグーンとまっすぐ育て上げた後は、渡り鳥のように転々としながら、あちこちに小さな大地をつくろう。最後はつる性植物と共に、静かに生涯を閉じるのもいいかもしれない。
いついかなる時も、中で育つ植物を守れるよう丈夫なカラーコーンにならなければならない。先生、現世でどのような徳を積んだら立派なカラーコーンになれるでしょうか。
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