特集 2021年5月26日

小さな地球を見た〜カラーコーンの中で育つ植物コレクション〜

カラーコーンというものがある。

通行人の注意喚起に、目印に、通せんぼにと大活躍。

取り扱いが容易になるよう、コーンの中は空洞になっているが、実はこの空間が野草の住処となっているのをご存知だろうか。

まちを歩くのと建物が好きで不動産会社に入りました。
休日は山を登り川を渡り海で石を拾います。

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カラーコーンの中を覗いてみよう

まずは近所を歩いてカラーコーンを探そう。

駐車場、道端、空き地…地面が土のままだったら最高、都市部ならコンクリートやアスファルトの割れ目に置かれているものも狙い目だ。

それから、ピカピカの新品よりも、いつから置いてあるのかわからないくらいの年代物の方が、大物が眠っている可能性がある。

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発見!
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そっとカラーコーンを外すと

 

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モジャ!カタバミがカラーコーンの円に沿って巣を作っていた。

 踏み固められた駐車場の地面に、ひょっこり新世界が現れた。

カラーコーン越しだと少し光が弱いのか、いつも見かける野草に比べてうっすら葉の色が薄い。それがまたよくって、光がさしているような、発光しているような、なんとも言えない神々しさがある。

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こんなふうに見えています

街へ野へと歩きまわった結果、カラーコーンの中の植物は大体以下の三つに分類されることがわかった。順に紹介したい。

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一本槍タイプ

1〜2種類の野草がカラーコーンの中で目一杯伸びているのが一本槍タイプだ。

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だいぶ年季の入ったカラーコーンを発見
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うわ

 近づいて、あ、上に穴があいているタイプのコーンだ…と覗き込んだらすごいことになっていた。

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ギュウ

迫りくるみっちりさ!

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ろくろ首もびっくりである

カラーコーンをそっと外すと、ここぞとばかりに綿毛が飛んでいった。きれいな茎がひしゃげないように、そっと元に戻して次に行こう。

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砂利の上にカラーコーン。手前のタンポポがハツラツとしていて期待が持てる
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タンポポとどくだみ、発見!これはまだまだ伸びそうだ。
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スギナに埋もれるカラーコーン
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ボハ
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この君臨している感…

 

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何か見覚えあるなと思ったら、高層マンションが光る広告に似ている
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よく見ると小さな水の粒がたくさんついている。カラーコーンが温室のような役目を果たしているのだ

 

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こんな荒野にも
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光る生命の芽吹き!

新たな生命が生まれたその隣では、一本槍タイプの行き着く先があった。

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ブワ

 

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青空と山々がよく似合う

ここまで育つのに、一体どれだけの時間がかかったのだろうか。

カラーコーンの先端から溢れても、なお悠然と空を目指す姿に、見惚れるばかりだ。

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盆踊り型

天へとまっしぐらの一本槍タイプに対し、カラーコーンの内円に沿うように植物が育っているのが盆踊り型である。

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駐車場に佇むカラーコーン
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取り巻きがすごい
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ソッ…

赤ちゃんの手のひらみたいな葉っぱと薄紫の小ちゃい花がかわいいツタバウンラン。

這うように伸びた茎からゆらり葉が立ち上がる姿は、どことなくしとやかな、夏の終りの祭りの雰囲気がある。

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きりんに因縁つけられているカラーコーンの中では
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種々入り交じる、にぎやかな盆踊り大会が開かれていた。
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中央がぽっかり空いて、きれいに丸く並んでいるのが不思議でかわいらしい。きりんも仲間に入りたかったのかもしれない。

 

サバイバルタイプ

そして興味深いのが、過酷な環境でも果敢に生きようとする、サバイバルタイプだ。

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道端に置かれたカラーコーン。
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カラーコーンの部分だけが湿って土の色が濃くなっているのがわかる

奥の土砂がうっすら流れてきていて、どうやらそれを地盤として生きることに決めたらしい。1cm下はコンクリートだというのに、なんてたくましいのだろう。

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生えているのはイネ科らしき草と苔類
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蜘蛛の巣かと思って表面をよく見ると水滴が溜まっており、

 

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僅かな水分を逃さまいとする苔たち。

最後に、サバイバルタイプの極めつけがこちら。

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この手前のカラーコーンである。一面アスファルトだし、何もないだろうな〜と期待せず覗いてみたら、
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これがいるんだ、草たちが!というかこの土はどっから来たんだ!
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驚く筆者を嘲笑うカラーコーン。えらいパンキッシュな風貌である。

カラーコーンの奥に似た色合いの土があることに気がつき、上を見上げると木々の枝葉が視界に入った。

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ははあ。うまーく落ち葉と雨がコーンの穴から入り込み、時間をかけて土壌が形成されたというのか。

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フライ返しでひっくり返せそうな、この小さな小さな大地に、地球の始まりを見た。

 


自分が来世カラーコーンに生まれ変わるなら、どんな植物に入居してもらおうか。

青空の下タンポポをグーンとまっすぐ育て上げた後は、渡り鳥のように転々としながら、あちこちに小さな大地をつくろう。最後はつる性植物と共に、静かに生涯を閉じるのもいいかもしれない。

いついかなる時も、中で育つ植物を守れるよう丈夫なカラーコーンにならなければならない。先生、現世でどのような徳を積んだら立派なカラーコーンになれるでしょうか。

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ねえ、先生!
 

 

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