沖縄県民にとってのソウルフード「沖縄そば」。
小麦粉を使った麺にカツオ出汁や豚骨ベースの温かいスープをあわせるものが一般的だが、いつの頃からか夏には「冷やし中華」ならぬ「冷やし沖縄そば」が登場するようになった。
最近だとローソンでやっていた沖縄フェアで冷やし沖縄そばがでていて、目にした方もいるかもしれない。
面白いのは、冷やし沖縄そばはざるそばのようにつゆにつけて食べるものや冷やし中華に寄せたものなどいくつかのタイプがあって、「これぞ冷やし沖縄そば」といったものが決まっていない状態なのだ。今回はそんなめくるめく冷やし沖縄そばの世界をご紹介したいと思う。
東江そば(浦添市)
まずは冷やし沖縄そばで有名な浦添市の東江(あがりえ)そばから。冒頭で夏に「冷やし沖縄そば」が登場すると書いたが、東江そばでは一年中冷やし沖縄そばが販売されている。
冷やし沖縄そば(メニューでは冷やし中華そば)は820円。
注文して出てきたのがこちら。完全に冷やし中華に寄せたビジュアルになっている。
もともと東江そばはもちもちとした食感の生麺が有名で、歯ごたえがすごい。味は一般的な冷やし中華の醤油と酢がベースになったものが使われている。
添えられている肉は温かい沖縄そばでも使われている三枚肉で、沖縄風にアレンジした冷やし中華のような感じだ。
識名そば(那覇市)
世界文化遺産「識名園」の丘の下にある識名そば。
三角形の屋根が目印。
アーサそば冷しつけ麺は800円。
東江そばは冷やし中華のような沖縄そばだったが、こちらは日本そば風である。
アーサは沖縄の岩場に生える海藻で、麺にも練り込まれているし、麺の上にも乗っていて、緑色が映える。
ちなみに識名そばにはアーサなしの冷やしつけ麺もあるようだ。
付け合わせに三枚肉とソーキのお肉がついてくるのも嬉しい。
醤油だれでいただいたが、さっぱりした味にスルスル進む。
暑い夏には何回でも食べにきたくなる。
島そば一番地(那覇市)
こちらは那覇市の農連市場の中にある「島そば一番地」。本店は石垣にある八重山そば専門店。
夏季限定の冷やしそば(中)は700円。サラダ冷麺風。
とろろがついていて、混ぜながら食べる感じ。
つゆは青じそドレッシングみたいな味で野菜によく合う。麺は八重山そばで、細めの縮れなしの特長がある麺だがびっくりするくらいコシがあって食感を楽しめる。
金月そば(読谷村)
お次は国道58号線をびゅーんと北上し、読谷村にある金月(きんちち)そばへ。こちらは沖縄小麦「島麦かなさん」を使用したもっちりとした食感の自家製生麵が楽しめる名店だ。
読谷本店の他に、那覇店、恩納店と県内に3店舗を構えているが、今回ご紹介する冷やし沖縄そばはおそらく読谷本店のみの夏季限定メニュー。
数量限定、材料がなくなり次第終了とのことなので開店直後を狙って入店。無事券売機で購入することができた。
ちなみにレギュラーメニューとして温かい豆乳担々そばもあるので、購入時はお間違いのないように。
こちらが冷やし豆乳坦々そば 並 900円。
麺がほぼ見えないほどもやし、ねぎなどの具が山盛り。そして恐ろしく食欲をそそるビジュアルだ。
もちもち、つるんとした食感の特徴的な麺が冷たい豆乳坦々スープに絡んで文句なくうまい。うますぎる。豆乳のおかげでまろやかに感じるが、後口にしっかりとした辛味も感じるのであまり食欲がないときでもぐいぐい食べ進んでしまう魅惑の味わいだ。これは読谷までわざわざ食べに行く価値がある冷やし沖縄そばだと思う。
わらいそば(豊見城市)
最後は那覇の隣にある豊見城市(とみぐすくし)にあるわらいそば。
昼は沖縄そば屋、夜は居酒屋になる。
夏季限定で鶏むね肉と野菜たっぷりの冷やしそばが登場する。
注文して出てきたのはこちら。まったく麺が見えないほどたっぷりと野菜が乗っている。
梅ダレをかけていただこう。
平麺が梅ダレと合わさって、うまっ!
肉も鶏むね肉なのでヘルシーなのも嬉しい。
冷やしそばは夏季限定だが、ざるそばは年中提供されているようだ。
冷やし沖縄そばは個性が強い
温かい沖縄そばはほぼ完成されているのに対して、「冷やし沖縄そば」は「冷やし中華タイプ」「ざるそばタイプ」「坦々そばタイプ」など色々混在しているのが現状のようだ。冷やし沖縄そばという料理が目につくようになってきたのは近年のことなので、それぞれのお店が独自の解釈で冷やし沖縄そばを追求しているのだろうと思う。
暑い日に熱い沖縄そばを食べるのもいいが、沖縄そば好きとしては、あっさりツルンと食べられる冷やし沖縄そばも選択肢にあるのは嬉しい。今後も冷やし沖縄そばに注目したい。