この話を担当編集の橋田さんにしたところ、昔鉄塔の近くに住んでいた時のことを思い出してくれた。
ある日郵便受けにお知らせの紙が入っていて、工事をするのだけどカバーをするので安全です、という感じの内容だったらしい。きっと塗装だ。こぼさネットを使う無飛散ネット工法だよ(各社、きっと呼び方は違う)。
歩いて距離感を知り、詳細に見て、音を聞いて匂いもきっと嗅いだだろう。体は大変満足したが、あれが何かがまだ分からない。
ようやくしっかり気になってきたので、次は図書館に行って本を借りた。
しかし鉄塔に布をかけるという記述がなかなか見つからない。目に入ってくる布じゃない話がおもしろい。例えば鳥獣対策として、生き物を寄せ付けない工夫はもちろんのこと、敢えて事故のおそれの少ない場所に巣作りを誘導する巣籠という仕掛けもあるのだそうだ。へえ。いや違う、布だ。布を探さないと。
こんな感じで何往復も流し読みし、やっと「設備診断」のページで布を見つけた。
錆による劣化を防止するために、錆取りと再塗装を行う様子。塗装は錆を防ぐ目的の他に、航空標識としても大事なのだそう(紅白鉄塔の場合)。
なるほど、塗装だ。ここまで読んでくれた皆さんは何となく予想していたと思うが、あれは塗装のための布だったのだ。僕が見に行ったまさにその時も、あの布の中に作業員の方がいて錆取りと塗装をしていたのだと思う。そういえば錆取りっぽい「ギュイイイイン!」という音がしていた。
あと、本に載っているのは送電鉄塔の塗装だが、僕が見に行ったのは電波塔だ。見た感じ同じ方法で塗装をしているが、細かい違いがあるのかもしれない。
しかしこれだけだとちょっと物足りないので、インターネットでも調べてみた。こちらも全て送電鉄塔についての情報。
分かったこと
上から命綱でぶら下がって、塗装をしている作業員の方を想像できるところまできた。アンテナを避けて布を張るの、大変なんだろうな。頭も体も納得した手応えがある。
検索ですぐに分かってしまうのは野暮で情緒がない印象を持っていたが、今回に限っては想像を補完してくれる情報をたくさんくれてとても助かった。
翌日、妻に鉄塔の布のことを話した。歩いて30分ぐらい、地図でいうとこの場所にあって、布の目的は塗装で…、と一通り伝えると
「へーーーー!」
と、スーパーロングビッグへーをいただいた。気持ちがいい。
色々しゃべったあと「みんな勉強熱心だねえ…」と呟いた。後ろで子どもが日本の郷土料理を調べていた。
この話を担当編集の橋田さんにしたところ、昔鉄塔の近くに住んでいた時のことを思い出してくれた。
ある日郵便受けにお知らせの紙が入っていて、工事をするのだけどカバーをするので安全です、という感じの内容だったらしい。きっと塗装だ。こぼさネットを使う無飛散ネット工法だよ(各社、きっと呼び方は違う)。
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