イルミネーションをとりあえずやってみる
これが28歳独身の一人暮らし部屋
広さ、ものの量、汚さなどひとり暮らし男子の平均的な部屋(だと思っている)
僕の母はイベントごとが大好きで、クリスマスには特に力を入れていた。イルミネーションの設置も張り切ってやっていたし、枕元にプレゼントを置くというイベントは僕が高校生くらいまでやってくれていた。
ただ、僕が小学4年生のときの枕元に置いてあったものが『小学4年生』という雑誌で、2つ上の兄には『コロコロコミック』、3つ下の妹には少女漫画の『りぼん』だったときは、さすがに家庭の懐事情を幼いながらに心配した。
あと小説の『ハリーポッターと炎のゴブレット』の後編をサンタにお願いしたら、すでに持っている前編が枕元に置いてあって泣いたこともあった。その夜に父が前編をもう一冊買ってきて、前編だけで3ゴブレット揃ったときは笑うしかなかった。
なにはともあれ部屋でイルミネーションをするためには飾るためのグッズが必要。実家にあるものを借りてきた。
クリスマスが近くなるとそんな実家の思い出が蘇ってくる。懐かしい。毎年クリスマスが楽しみだったし、母には感謝している。
あんなに純粋にクリスマスを楽しむ気持ちを久しぶりに味わいたい。実家のクリスマスを思い返してみて、一人でもできることを色々と考えた結果、
そうだ、イルミネーションをやろう!!
という結論に至った。
母はクリスマスに対して準備がすさまじく早く、11月の下旬にはイルミネーションを押入れから出していた。クリスマスを待っているのではなく、クリスマスを迎えに行っていたのだ。ここは母を見習って、ひとり暮らしの僕の家にもクリスマスを招き入れようじゃないか。
ちなみにwikipediaに載っていたのだけれど、家などにイルミネーションを飾る人のことをイルミネーターというらしい。初めて聞いた。「I' ll be back」って言ってマグマの中に消えていきそう名前。
サンタのようにキャラクターの形をしたもの、文字の形をしたもの、ぶら下げて飾るものなど電飾にもいろいろなタイプのものがある
余談なのだけれど、僕の実家は木造建築の古い一軒家なので「三匹のこぶたの二番目の木の家」と友達に呼ばれていたことがあり、イルミネーションをやっていると周りから「おまえん家ってイルミネーションの光で火事とかにならないの?w」とよくバカにされていた。
最初は「やかましいわ!藁の家よりマシだわ!!」とツッコんでいたが、あまりにも友達に言われるので「レンガの家に建て替えた方がいいのでは?」と劇的ビフォーアフターへの申請を母にお願いしたこともあった。
実家から持ってきたイルミネーショングッズを試しに部屋の中に飾ってみた
飾ってみたのだがなんかショボい。なにかが違う。多少は部屋が明るくはなったが全然クリスマス感がないしキレイじゃない。イルミネーションってもっとワクワクするものだったはず。
何がいけないのだろうと一生懸命考えてみて、一つわかったことがある。僕がクリスマスにイルミネーションを見た回数が圧倒的に不足しているのだ。そういえば実家のイルミネーション以外はまともに見に行ったことがない。
イルミネーションがどんなものかわからないのだ。悲しすぎる。まずイルミネーションを知るところから始めなければいけなかった。
今すぐイルミネーションを見に行こう。
知人に聞いてみると「都内で近いところだと『よみうりランド』のイルミネーションが綺麗だった」という話しを聞いたので、早速行ってみることにした。
イルミネーションは数の暴力
本物は美しひ……
よみうりランドにイルミネーションを見に行くと「世の中のカップルはこんなに美しいものを毎年見ているのか」と震えた。
ずるい。一人で来ても楽しいかもしれないが、こんなのカップルで見たら最高に決まっている。だからみんなクリスマス近くなると「彼女つくった方がいいよ」というのだ。イルミネーションを見るためにみんな彼女を急いで作っていたのだ。どうりでJ-POPで「二人なら喜びは倍になる」みたいなことがよく歌われるわけだ。
高台からの景色も最高だった。ジェットコースターや観覧車がイルミネーションのために造られた建造物のように見えるほどだ
よみうりランドをしばらく歩き回ってわかったことがある。
遊園地などのイルミネーションが「キレイ」と感じるのは、電飾の数が桁違いに多いからだ。光の量に圧倒されるのだ、数の暴力。クリスマスのカップルは光という名の暴力をふるうヤンキー集団に包みこまれているだけなのだ。
イルミネーションをキレイに見せるためには、紐にライトがたくさんついている「ワイヤーライト」が大量に必要だということがわかった。
イルミネーションを見てわかったこと
・基本は「ワイヤーライトを等間隔で並べる」こと。
・とにかく隙間をなくす。とにかくワイヤーライトで埋め尽くす。
・似ている色同士で固めるとキレイに見える。
・木などの棒状のものには電飾を巻きつける。
・ジェットコースターなどに電飾をつけると立体感があって迫力がある。
自分の部屋でイルミネーションをやったときに「ショボい」と感じたのは、ワイヤーライトがまったく足りていなかったからだ。部屋に設置した電飾だけではスカスカすぎるのだ。電飾、電飾、電飾、電飾。電飾がものをいう。電飾の数で勝者が決まる剛力の世界だ。
よみうりランドは駅からロープウェイに乗っていくのだが、そこから見える景色も絶景だった。
ちなみによみうりランドには友人(30歳独身男)と一緒に行ったのだが、ロープウェイからのイルミネーションを見て「うお!FF7のゴールドソーサーの景色だ!!!」と一緒にはしゃいでいた。感想が中二で止まっている。
ダイソーはやっぱりサイコー
知識は得たので次は道具を揃えようと思った。こういうときに行く場所は一つしかない。そうダイソーだ。
ダイソーはクリスマスグッズの品揃えも豊富
重要なワイヤーライトもダイソーには売っている。電池式なので置く場所を選ばずに使えるのが良い。
点けてみるとこんな感じ。ちょっと短いのが難点だが100円だしそこはしかたない。
ワイヤーライト以外にもライト系のグッズをいくつか買った
ダイソーでは3000円分くらいクリスマスグッズを購入した
こういうときに100円ショップという存在は本当に助かる。欲しいものが安く手に入る。世界のすべてがダイソーにはある。そのうちモチベーションとかやる気も100円で買えるようになってくれたら最高である。
さて、これで準備は整った。あとは部屋をイルミネーションの世界にするだけだ。
準備しているとテンションが上がってくる
「イルミネーションをやるぞ!!!」
と意気込んだのはいいが、飾り付けを始める前に急に何をしていいかわからなくなった。イルミネーションというのは「オシャレなもの」だと作業を始める前にして今さら気づいたのだ。センスが必要なのだ。
どうしよう…どこから手をつけていいのかわからない……
と迷ったのだが、ええい、やってみるしかない。トライ・アンド・エラーだ。とにかく手を動かしてみよう。
手をつけ始めると楽しくなってくる
わからないながらも作業を始めてみると、だんだんと自分のテンションがあがってきているのを感じる。
「ああ、そろそろクリスマスか。そうかクリスマスか!!そうだ、クリスマスが近いんだ!!!」と気持ちが高ぶってくる。それと同時に「え〜!こっちの方がかわいいかな?」「やだ!この電飾の色って最高〜」と心が乙女チックになってきていた。。
世間のイルミネーターがなぜイルミネーションをやるのかと言えば、テンションをあげるためなのかもしれない。イルミネーションの準備はクリスマスという大空へ羽ばたくための滑走路なのだ。テイクオフ!
作っていて1つわかったのは電池とコンセントを大量に使うということだ。最終的に電池は40本以上は使っているし、延長コードも3本買った。「イルミネーションは維持費がかかる」という話に納得した。
実際に飾り付けを始めてみると、だんだんと細かい部分も気になってきて、どんどんとアイディアも浮かんでくる。身体が自然とイルミネーターになり始めているのかもしれない。
ダイソーで買った商品だけでは満足できなくなったので、気づいたら長いワイヤーライトなどをAmazonで追加購入していた。
イルミネーションは光の暴力でもあるが、それと同時にお金で殴るものなのだ。とにかく金がかかる。
ライトをつけるとそこはワンダーランド
なんということでしょう。一人暮らしの汚い簡素だった部屋が……
匠によって美しいイルミネーションの世界へ
これだよ!これ!クリスマスってこれなんだよ!!
完成して部屋の電気を消したときに「おお!」と声をあげて感動した。ディズニーのエレクトリカルパレードの音楽でも流したい気分になってきた。
ダイソーで買った丸いライトも100円には見えないクオリティ
ワイヤーライトは適当に置いておくだけでも、そこそこオシャレに見える
よみうりランドで学んだことを活かして、ワイヤーライトを棚の上から斜めにかけて立体感を演出した。
作る前は「センスがないから点灯してもそれほど感動しないかもしれない」と期待していなかったのだが、完成すると予想以上にキレイだった。準備が大変だった分だけ感動が大きい。自分だけの自分のためのイルミネーションの世界だ!!
テンションあがったので夜ご飯はショートケーキをワンホール買ってきて食べた。次の日、胃がもたれた。
とにもかくにもクリスマスが我が家にやってきた。竹内まりやが歌っていた「クリスマスは誰にもやってくる」という歌はウソだと思っていたのが、あれは本当だった。イルミネーションをやればクリスマスは誰にもやってくる!!
ただし、部屋をキレイに見せるために邪魔なものを反対側に押し込んでいるだけなので、イルミネーション以外の部分は地獄の汚さ。光と闇。
アレンジする楽しさ
ロフトベッドのはしごに雪だるまが並んで立っているの可愛くない?
飾り付けをしていると、ただ並べるだけでなく自分なりの工夫もしたくなってくる。ダイソーの商品などを組み合わせてオリジナルのイルミネーション作りをしたくなってくるのだ。
小さい頃に妹のシルバニアファミリーの家で遊ぶのとかも好きだったもんな…ということも思い出した。
ああ、僕は大人になってから今初めて心からクリスマスを楽しんでいるのかもしれない。
これは紙コップの裏に穴を開けてワイヤーライトを入れている。これが簡単に作れるのに予想以上にキレイで驚いた。
ガラスの瓶などにワイヤーライトを入れてもキレイ。光魔法を封じ込めているみたいでかっこいい。(感想が中二)
世間のイルミネーターたちが、毎年どんどんイルミネーションを豪華にしていきたくなる気持ちも少しわかってきた。次々にやりたいことが頭に湧いてくるし、それをやって明かりを点けたときのワクワク感が半端ないのだ。
この記事では部屋のイルミネーションがすぐに完成したように見えるかもしれないが、僕の部屋も試行錯誤を繰り返し、何度も改良を加えているのだ。
ちょっと部屋を改造してテント風の場所も作った
一番気に入っているのはこのテント風のスペース。インスタ映えだ!クリスマスだけじゃなくて我が家にインスタ映えもやってきた!
ロフトベッドの下にソファを置いてカーテンをくくりつけているだけなのだが、それなりにオシャレっぽく見える。「俺はインスタ映えに包囲されている…!!!」という謎の興奮がそこにはあった。
ここで寝ると夢の中みたいな写真が撮れる
カーテンやテーブルの上、棚の中などはまだ隙間があるので、本当はもっと大量のワイヤーライトが欲しかった。次やるときの課題だ。逆を言えばイルミネーターとしてまだまだ伸びしろがあるということだ。
部屋にイルミネーションをやってわかったこと
・準備しているときに「もうすぐクリスマスだ!」というワクワクした気持ちになれる
・準備の大変さがあるから点灯させたときに感動する
・部屋の中なので誰にも迷惑はかからない
・とにかく金がかかる。ワイヤーライトはまだまだ欲しい。
・こだわりだすと終わりがない。飾り付けしていると自然とこだわりが出てくる。
・家の中だと電池式のものも使えるからやりやすい(外でやると雨を考えなきゃいけない)
・イルミネーションをやるには労力がかかる。本気でやっている人を尊敬する。
・ずっと明るいので部屋でくつろいでる気分になれない
・プラレールなどを買って光って動くものも作りたかった(時間がなかった)
・準備も大変だけど片付けが大変
最後に「イルミネーションが楽しすぎたから、俺がイルミネーションになる!!」というくだりを書こうと思ったのだけれど、あまりにもおもしろくなかったのでここで供養させてください。
イルミネーションをなぜ母がやっていたのかということが少しわかった気がする。小さい頃は周りの友達にイルミネーションのことを言われるのが恥ずかしくて「何のためにやっているんだろう?」と思う部分も少しあったのだが、母自身が楽しんでやっていたのだろう。その気持ちを少しでも理解できたので、イルミネーションをやってみてよかった。
今回は実家にあったイルミネーショングッズとダイソーで買ったものでほとんど済ませたのでよかったが、本気でやるとかなりの金額がかかるだろうということもわかった。購入費もそうであるけれど、維持費もかかる。お金のかかる遊びだ。
ああ…そう考えると一つ納得いくことがある。小さい頃から薄々気づいてはいたが、母はお金を使ってストレスを解消するタイプなのかもしれない……と思った。これもイルミネーションをやらなきゃわからないことであるただし、これに関してはあんまり知りたくはなかったなぁ…
あとはこれを片付けるのかと思うと本当にしんどい。サンタさん、部屋をキレイにしてください。よろしくお願いします。