特集 2024年11月20日

片道1時間半の街に感じる、ちょうどよい旅情

埼玉県のベッドタウン、春日部で旅情を感じられるのか

できるだけ、日常っぽい街が今回の趣旨に合う。

神奈川方面へ1時間半行くと簡単に海が見えてしまうので、内陸部へ行こう。

また、千葉や茨城は多摩民からすると遠出の印象があるので、日常感のある埼玉のベッドタウンへ。

しかもさえない曇り時々雨の日に。

つまり、距離は移動するけど自分の住む街とそう変わらないところへ行ってみよう。

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ということで、東武線にゆられて片道1時間35分の春日部へ行ってきました

東京から埼玉へ入り、すこしずつ車内から人が減っていく。

春日部って何があるんだろうとスマホで下調べしつつ、でも関係ないネット漫画なんかをぼんやり読んでいても余裕あるのが1時間半という乗車時間だ。

最短での乗り換えを狙いながらの1時間の街とは、時間の質がたしかに異なる。

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そうこうしていると春日部駅におり立つ
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ホームの待合室がいいね
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TOBUのロゴもいい感じだ

うん、けっこう普通に遠くまできた感じがする。むしろ、有名な観光地とちがって写真で知るイメージがない分、新鮮だ。

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ベッドタウンらしい、ゆったりとした春日部駅前。クレヨンしんちゃんの街だ
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街のチェーン店の違いに目がいく

旅行気分だと、自分の街との違いを積極的に見つけたくなるものだ。

大げさに言えば、文化の違いを享受したくなるのだ。

同じものがあることに感慨をいだくこともある。

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調布駅前にはバーガーキングはまだないのに、春日部駅前にはあるとは…うらやましい

この日は前日からバーガーキングの口になっていたのだが、せっかくの遠出なので地元の店に行きたいと思った。

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ということで、地元のカレー屋に。けっこう並ぶ人気店だった
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和風カレー&ハンバーグ&エビフライ&ヒレカツセット1150円。この洋食セットにカレーがつく感じ、初めてだけどすごく嬉しい

手づくりの卵の香ばしい衣が美味しい。カレーも本格的な辛さで、いい味のカレーだった。

店内では、遠くラジオからサンタナの『哀愁のヨーロッパ』のメロディが聞こえてくる。

隣のカップルが、「このあと柏まで行く」という話をしている。

千葉の柏か!遠くに感じるけど、春日部はもう江戸川を越えれば千葉。車でも国道16だ。意外と近いんだなあ。

違う文化圏であることを再認識する。

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1150円で珈琲までついてきて、しかもポットで2杯分近く出してくれた。さらに砂糖もミルクも2つずつ。これは良い店だ

こういうお店に入るだけで、街への印象は軽々しく急上昇するものだ。

旅行では数少ない経験が街のイメージを形作っていく。

店先には地元出身らしきヒップホップミュージシャンのポスターが貼ってあって合って、地元を愛し地元に愛される店のようだった。

(バーガーキングは翌日ウーバーイーツしました)

 

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2週間後に閉店するイトーヨーカドーに初めて入る

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店を出るとイトーヨーカドーがある
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なんと、あと2週間ほどで閉店というタイミングだった
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最上階では、イトーヨーカドーをしのぶコーナーがあった

初めて来た身としては、地元民と一緒になって偲ぶのはちょっと気が引けるけれど、27年間愛された店だったことは十分に伝わってくる。

2017年には、1週間だけ屋上塔の店舗ロゴを左のサトーココノカドー(春日部が舞台のクレヨンしんちゃんに出てくる架空のスーパー)に変えたこともある、という愉快な店舗だったようだ。

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部外者ながら胸が熱くなる
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フロアでは、キャンドゥが閉店セールで全品50%オフだった
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初来店の異邦人として、控えめにメッセージも残しました

あまり専門店の入っていない、純度の高いイトーヨーカドーだった。

地元の高校生カップルが最上階のゲームコーナーにいたり、閉店セールで無愛想な中学生らしき男の子が母親と紳士服を見ていたり、これが春日部の日常風景なのだろう。

誰かの日常風景がなくなるのは、寂しいものだ。

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隣にあった自販機の屋根がかわいかった

 

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旅行とは、見知らぬ人になりたいという欲求なのだ

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その後は、こじんまりとした郷土資料館に行ったり、
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旧道の粕壁宿を歩いたり、
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塩あんびんという、砂糖が貴重な時代のしょっぱいあんこのお餅を食べたり、
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かっこいい学生服センターを見つけたり、
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古利根川を見たり、
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100円のあま太郎焼きを食べたりしたのだが、

何よりリフレッシュできたのは、自分が見知らぬ人、ストレンジャーになれたことである。

旅の恥はかき捨て、という言葉がある。

別に恥をかくほどの何かをするわけではないけど、普段のしがらみを抜けて、知らない街で過ごすというのは想像以上に気分がいいのだ。

(飲食店で店員さんに個体認識されると行きづらくなるタイプの人間なので)

それには、1時間ではダメで、1時間半の距離が必要なのかもしれない。

 

 

小心者なので

無意識のうちに、地元では人目を気にしているのかもしれない。

地元だと、面白いものを見つけても人目を気にしてカメラを出さずにまた今度…と通りすがることがあるけど、旅先では必ず撮る。

そういう些細なことって意外と大きいのだ。

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多摩では顔出し広告のインプラントといえば「きぬた歯科」なのだが、春日部では「みさわ歯科」だった

 

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