特集 2022年3月4日

チョコミントアイスは歯磨き粉で作れるか?(デジタルリマスター)

バニラ、ストロベリー、ヨーグルトなどはあるがチョコミントアイスはない。

先日、「チョコミントアイスを食べたかったので作った」という記事を書いた。3年間掛けて育てたミントを摘んで汁をしぼり、愛して止まないチョコミントアイスを作るという内容だ。

この記事を書いた反響で、実はチョコミントアイスを好きな人は意外に多いことを知った。でもチョコミントアイスはやっぱりあまり売られていない。だけどチョコミントアイスはは食べたい。しかしミントを育てるのには時間が必要だ。

もっと気軽にチョコミントアイスを味わえないものか。しばらく考えながら、歯磨きをしてるときに思いついた。

この歯磨き粉、ミント味じゃん。

2007年9月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:冬の北八ヶ岳ハイキング、天気が悪いと実は楽しい

> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

今回はミント味のもの4種類で味を付けます

歯磨き粉がミント味だ。よし、歯磨き粉で味付けをしよう。でもそれだけじゃいまいちなので他にもミント味、っていうかハッカ味の物を用意した。

まずハッカ油。頭痛いときにこめかみに塗ったり(年寄りがハッカ臭い原因)、お風呂に一滴入れると出たときに涼しく感じたり、消毒用エタノールに混ぜて虫除けに使ったりするハッカのオイルだ。非常にミント臭が強いので選んでみた。

それからミンティア(フリスクみたいなやつ)とクールミントガム。どうやってミント分を抽出しようか考えてないがきっとなんとかなるでしょう。

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全体的に青い。パターン青、ミントです。前回も書いたね、こんなの。

アイスは前回のレディボーデンから爽にチェンジ。レディボーデンはちょっと重めのアイスなのでチョコミントアイスには合わないと感じた。爽は微細氷が混ぜ込まれているので爽やかで軽い口溶けでありまして、チョコミントアイスのベースとしてふさわしいと思う。

さて、作ろう。要は混ぜるだけだ。

 

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20ml入っている小さなビンで600円だったと思います。

いきなりですが、飲むなと書いてある

ハッカ油の事をネットで調べていたらAmazonで売られるのを見つけた。そこの注意書きには「飲んではいけません」と書かれている。

飲んじゃダメなのか。でも多分、毒ではないと思うのだ。だって、

「ハッカは、シソ科ハッカ属の植物の総称です。独特の香りがあり、清涼剤として湿布薬や歯磨き粉、チューインガム、菓子、タバコなどに使用されます。」

とも書かれている。ガブガブ飲まなければ大丈夫だろうと思い、このまま進めることにした。皆さんは真似しない方が良いと思うが。

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入れすぎると大変な事になるのでスポイトで慎重に。

さて、ハッカ油だが風呂に3滴入れるだけで風呂上がりに寒く感じてしまうほど強力な冷感効果があるのらしい。そんなものを大量に食べたら確かに体に良い感じはしない。スポイトを使って慎重に3滴だけアイスに混ぜた。

正直、この3滴が多いのか少ないのかサッパリ判らない。だって、こんなのクックパッドには載ってないし、第一クックパッドに載っているチョコミントアイスのレシピは「ミントリキュール」を使えと書いてある。

なのに今回も無視してハッカ油なぞ使っている。どこまで正解に逆らうのか。こういう生き方しか出来なくなってしまった自分を呪いながらアイスを練った。

ついでなので余りまくっている青色色素もちょっとだけ混ぜた。なお、チョコは包丁で削って入れている。

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歯磨き粉を食材として使う日が来るとは。

クリアクリーンエクストラクール

家にある歯磨き粉よりも強力そうなのを探して、売り場で一番クールっぽいエクストラクールっての買ってきた。なにせエクストラだ。すごいに違いない。

ミクロの溝の歯垢まですっきり!ツルツル!というキャッチコピーも頼もしい。薬用だしミクロクラッシュ顆粒ってのが入っている。大変に歯に良さそうだ。アイスなのに。

歯磨き粉は、基本的に歯を磨いてはき出す物だが、口に入れてもいいんだから毒では無かろう。青色一号で青く色が付いているのでチョコミントアイスの材料としてはちょうど良いと思う。

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要はフリスクです。甘くてちょっと苦くてミント味。

 ミンティアはすり鉢で粉にした

ミンティアの粒は意外に硬い。すりこぎで潰すようにしてゴリゴリゴリゴリすり下ろしてようやく白い粉になった。鼻を近づけて匂いを嗅ぐだけで頭の奥に冷たい風が吹き抜ける。

若干の粒っぽさはあるが、おおむね粉になったのでアイスに混ぜた。混ぜながら結構なミント臭が漂ってきて大変に美味しそうだ。

こいつは期待できる。歯磨き粉とかハッカ油と違ってちゃんと食べ物だし。

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すり鉢に変な匂いが付いたら嫌だなーとか思いながらの作業。
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職質受けたら見せたくない感じの粉。

 

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辛いガムの元祖、クールミント。焼き肉の後に貰えるよね。

ガムのミント分抽出はちょっと困った

さて、クールミントガムだ。ガムからミント味の部分を抜き出さないとアイスには混ぜられない。いくら僕がアホだと言ってもガムとアイスをいきなり混ぜてチョコミントアイスが出来るとは思っていない。

ガムを噛んでミント味の唾液を・・・とも考えた。が、「ガムとは味付きの唾液を飲むための食べ物」だと判っていても、味付きの唾液をはき出してアイスに混ぜるというのは流石に抵抗がある。

そこで、タッパに水を入れてその中でガムをもんでみることにした。すると、なんだか青くてミントの匂いがする水が出来た。これだね。そう思ってアイスに混ぜたらアイスがかなり溶けてしまった。うむ。当たり前だね。

多少溶けても冷凍庫で再度凍らせればきっとどうにかなるだろう。そんなこんなで4種類のチョコミントアイスが出来上がった。

 

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手でガムを噛むという希有な体験。
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ミント味の水とアイスを混ぜる→溶ける。

 

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出来たね、チョコミントアイス

材料と練ることで少し柔らかくなってしまった各種アイスを冷凍庫に入れてまた固めた。3時間ほど待ったら良い具合に固まった様なので食べてみることにした。

果たして今回のチョコミントアイスはうまくできたのか。

 

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ガムとミンティアはともなく、歯磨き粉とかハッカ油はどうかしてたよ。

 

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青色色素を少なめに入れたら緑色になった。爽が黄色いからだな。

ハッカ油入れすぎた

食べる前からミントの匂いがして、お、チョコミント、と思って食べてみたら苦かった。にがっ!にがぁぁぁっ!!

ブラックブラックガムみたいな味である。苦くて冷たい。過剰に冷たい。どうやらハッカ油3滴の効果を甘く見ていた。多分、1滴でも多かったと思う。それを3滴だ。

料理初心者ってついつい調味料を多く使いすぎてすごい味の料理を作ってしまうが、未知の食材(注:ハッカ油は食材ではありません)においては、自炊歴15年を越える僕も初心者同然なのだった。

ガーン。

 

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正直な感想を顔で表しました。

色的には抹茶アイスみたいだ。なのに食べると苦くてスースーする。なんとも不思議な事になってしまった。一口でノックアウトされてしまったのだが、残りのスーパーミントアイス、どうしよう・・・・。

 

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青色色素をいれるとやっぱり緑に。

ミンティアも入れすぎた

本日2度目の、にがぁぁぁぁっ!!

ミンティアもハッカ油と同じで入れすぎた。苦くてスースー。

ただ、これはれっきとした食べ物なのでハッカ油アイスよりは安心して食べられる。考えてみるまでもなく、ミンティア20粒は入れ過ぎだったのだ。普段こういうの全く食べないので加減が判らなかった。

多分5粒くらいで十分だったのだと思う。

 

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なつめさんは僕がなにか食べ始めると膝に載ってきます。

どうにかこうにか食べきると、膝の上に乗っていたなつめさんが、

「ちっ、おこぼれはなしかニャ」

と一瞥して去っていった。こいつは僕がなにか食べ始めると必ず膝の上に来てねだる。そして与えないと一瞥して去っていく。

なんとも不遜な猫である。

 

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わりと普通にバニラアイス。

大体普通のアイスです

クールミントアイスだが、ほとんど普通のバニラアイスだった。遠くにかすかにミントの味があるが、これまでの猛者とくらべたら全くもってミント味は無いに等しい。

ミント味の水を多く入れたので氷分が多くなり、シャリシャリした食感も普通の爽より増していて美味い。

 

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あらやだ、普通のアイスだわ。

いや、「美味い」とか言ってる場合じゃない。アイスにチョコを混ぜて喜ぶための企画じゃない。味はうまいが企画としては負けているのだ。

最後、クリアクリーンアイスに成功の希望を繋ごう。

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食べたら歯を磨こうキャンペーンの写真か、これは。

まさかの成功

ウソだろ、味なんて伝わらないの判ってて適当な事を書いてるだろう、そうお思いかも知れないが、一番チョコミントアイスっぽくて美味しかった。

ミクロクラッシュ顆粒と爽の微細氷の食感が多分同じで、爽の美味しさを増しつつ、ミントの香りが清涼感を生み出す。脳のどこかで「これ、歯磨き粉、これ、歯磨き粉」とアラートランプが鳴っているが、それさえ気にしなければイケる(大事なとこです)。

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あら、結構イケるわね。歯磨き粉って正体を知らなければね。

勝因はクリアクリーンを少なめ、大体歯磨き2回分くらいの量で抑えた点にあるだろう。ハッカ油の様に入れすぎないで良かった。

流石に今回試した中では最も食べ物から遠かったから入れるときに躊躇があったのだ。その躊躇が成功を生んだ。世の中、躊躇は評価されず過剰なまでの行動力の方が評価されがちだが、躊躇した方が成功することもあるのだ。

なんでも行動すればいいってもんじゃない。躊躇も大事なのだ。これが今回の学びである。

ではこの企画はなぜ躊躇しなかったか。それは、締め切りまで24時間を切ってしまったからだ。締め切りの前では躊躇なんてしてられないのだ。


チョコミントアイスを愛する全ての人へ

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赤城乳業のチョコミントアイス。流石に美味いね。しかも安い。

今はチョコミントアイス冷遇の時代である。どこに行ってもチョコミントアイスが売られていない。ようやくOKストアで赤城乳業の棒アイスを見つけたが、他には全くなかった。カップのチョコミントアイスはどこに行った。

今回失敗したハッカ油やミンティアも、食材としての扱いと適量を覚えて控えめに使えたなら成功したはずだ。何事も、ノウハウが大事と言うことだ。

このような、誰の役にも立ちそうにないノウハウというかライフハックというか情報を生み出せて、今回も僕は満足です。

ではまた。チョコミントアイスの記事はもうこれでおわりです。

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