はじめに
はげます会限定ページで、2人コンビで好きなものを互いに推すトーク動画をスタートしました。初回はマンガ編でゲストはトルーさんとスズキナオさんです。第一回は、トルーさんが 『ダンダダン』『サナギさん』をおすすめします。
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橋田:今日のゲストは、トルーさんとスズキナオさんです。初対面だそうですね。
スズキナオ:トルーさんには、パリッコさんとの酒の穴の記事に混ざってもらったことがります。
トルー:ありましたね
スズキナオ:3人のLINEグループがあるんですが、実際にトルーさんを見るのは初めてです。
トルー:緊張しますね。LINEしていたとは言え、なんかね。
橋田:二人とも漫画が好きと小耳に挟んだので、お互いの好きな漫画をプレゼンしてもらおうかなと思ってます。早速いいですか。
トルー:はい。
スズキナオ:トルーさんは漫画を実際に描いてますよね。漫画家ですよね。
トルー:その導入でだと、しゃべりづらくなりますね。
スズキナオ:やめたほうがいい?それでは一回忘れてください。
トルー:ちょっとすごくないですかって話から、話します。『ダンダダン』ってご存知ですか。
スズキナオ:『ダンダダン』。知らないです
トルー:最近人気でたまに話題になるんですけど、ジャンプアプリでやってる漫画なんです。
スズキナオ:ジャンプの本誌でなくアプリで読めるんですね。
トルー:WEBで連載している少年漫画です。漫画で擬音が少ないんですよ。
スズキナオ:擬音にこそ個性が出ると思いますけどね。叙情とか。
トルー:そうそうそうそう。あの引き算すげーなと思いますよね。
スズキナオ:静かなバトルなんですか。
トルー:擬音が書いてないんですけど、絵がうますぎて音が聞こえるんですよ。
スズキナオ:擬音の役割も絵が果たしている。
トルー:戦ってるときの擬音って独特ですね。殴ってバキっとか、そんな音しないけど、便宜的にドカッとか入れますよね。
トルー:ちょっと見てくださいよ。でかいカニが追いかけてくるんですけど、ドカンとか書かないんです。
スズキナオ:カニ以外にジャーンとか、ドーンとか入れたくなるけど。
トルー:建物にツッコんでくる感じとか、すごいんです。
橋田:擬音文字が少ないっていうのが特徴。
トルー:これはたぶん意識的に試されてるのかなと思って。すごいねって人に喋りたかった。
スズキナオ:擬音がほんとに少ないのは、自信があるんでしょうね。漫画の真似事を書くと文字を足すじゃないですか。「カニです」とか書くでしょ。カニがうまく描けなければ、カニって矢印で書きますよね。
トルー:コマの外に。
スズキナオ:余計な付随する情報が増えていくけど、文字がいらない絵が成り立ってるからこそできるんでしょうね。独特の静かな雰囲気がありますね。
トルー:主人公たちが妖怪に力を借りて宇宙人と戦うストーリーです。
スズキナオ:巨大ガニも出るし、妖怪も出てくる。
トルー:すごいことがいっぱい起こって、ついていくのが大変なんですよ。
スズキナオ:画力でねじ伏せる。
トルー:友達がまた1人妖怪の力を得たんですけど、制御できなくて暴れちゃう。
橋田:あらら
トルー:なんとかしようと、水を掛けると妖怪になっちゃって、お湯をかけると人間になる。
スズキナオ:『らんま1/2』でしたっけ、水をかぶると女になるの。
トルー:そうでしたね。で、みんなでちゃぶ台囲んでるんですけど…、
スズキナオ:和室なんですね。
トルー:ごはん食べてて、醤油が手にポタってたれちゃったんですよね。これが水とされて妖怪になって、ちゃぶ台をひっくり返す。
スズキナオ:すっごい絵で描いてあるんですね。それは気になる。
トルー:紙派の人は、漫画本でも読めます。
トルー:最後に紹介するのは『サナギさん』という漫画です。
橋田:これは漫画本で持ってるんですね。
トルー:この方の考えてることが好きで。指がつくし状の人の名前、つくしんボーイでどうかなとか。
スズキナオ:すごいタイムリーで、施川ユウキさんの『オンノジ』をちょうど読んだんですよ。
トルー:『オンノジ』知ってます
スズキナオ:古賀さんと僕が、つい先日トークショーに出演したんです。上田信治さんという、『あたしンち』のけらえいこさんの旦那さんと一緒に。
上田信治さんのエッセイ集が面白くて読んでいたら、『オンノジ』が出てきたんです。それまで施川さんは知らなかったんですけど、『オンノジ』も面白かったです。
トルー:だいたい同じですね。
スズキナオ:シンプルな線ですよね。これはどういう話なんですか。
トルー:『オンノジ』よりも先に描かれた作品で、キャラクターが小さいことをごちゃごちゃ言ってるんです。
スズキナオ:自分が急に誰もいない世界にいることに気づく。目覚めたら誰もいなかった世界で、女の子が一人で生き始める、みたいなところから始まります。
トルー:途中フラミンゴと喋るんでしたっけ。
スズキナオ:フラミンゴの格好をした、もとは人間だったらしい相手が現れます。今のところ世界には2人だけしかいないという設定です。
橋田:フラミンゴの恰好の相手
スズキナオ:設定すごいのに、二人のやりとりは超日常なんですね。
トルー:めちゃくちゃ小さいことを話してるんですよ。
スズキナオ:それこそ面白い看板をみつけて、なにこれって言ってる感じ。
トルー:設定とかも特にないんです。これをゴロゴロしながら読むのが好きなんですよね。
スズキナオ:言われてみればちょっとトルーさんが書く漫画っぽくもある。これは何巻で終わっているんですか?
トルー:6巻。『おかえりなさいサナギさん』っていうのもあるんですけど。
スズキナオ:続編みたいなものがあるんですね。
橋田:何回も読んじゃう感じなんですか。
トルー:枕元に置いておいて、適当に開いて見るみたいな。「メデューサを丸坊主にしたときの断面怖いね」とかそういう話をしています。
橋田:サナギさんとフユちゃん。
スズキナオ:見てたら2人しかいないっぽい世界に見えますね。
トルー:たまに友達が出てくるんですけど。
スズキナオ:『オンノジ』の乾いた面白さがここにはある感じ。
橋田:ずっと物語が続いていっる感じじゃなくて。
トルー:話題があって2人でポツポツと喋ってる。
スズキナオ:他愛ない話が永遠に続く感じ。
トルー:『銀河の死なない子供たちへ』という漫画もあって。
スズキナオ:施川ユウキさんはたくさん書いているんですね。
トルー:すごい本気出して死なないことを考えたな、っていう漫画。
橋田:どっかで紹介したてたね?
トルー:これ、書評のコーナーに書きました。
スズキナオ:あと『鬱ごはん』。グルメ漫画なんですけど、すごい嫌なこと言うんですよ。
トルー:ホットケーキを作って、泡が上がってくるじゃないですか。
橋田:はい
トルー:カエルのこと考えるんですよ。
スズキナオ:まずくするやつ。
トルー:ホットケーキのタネをキッチンのマットに落としちゃって。こんな栄養になりそうなもの、何が繁殖するんだとか考えるんです。
橋田:でもつい読みたくなってしまう。
スズキナオ:別にどこでやめてもいいような感じですよね。読みます、買おう。
トルー:ありがとうございます。
橋田:ありがとうございます?
スズキナオ:『オンノジ』も面白かったから、自分の中でタイムリーな話題でした。
橋田:ですね!
スズキナオ:『サナギさん』のテイストでありながら、誰もいない世界っていう変な設定が、どこかに向かっていくところがあるんです。これプラスの感じでした。
トルー:それはそれですごい。
スズキナオ:他愛ない会話がしょうもないことを言ってたりするんですけど、それがたまにぐっと深く感じることがあって、面白かったです。
トルー:ありがとうございます。
スズキナオ:『オンノジ』は一巻読み切りで買いやすい。『サナギさん』は、読んでみますね。
動画はこちらから見られます。
終わってふたたび解説です
本もマンガもたくさんあるので、読んだ人がすすめてくれるのってめちゃくちゃありがたいですよね。
『サナギさん』は、他愛のない話が続くそうなので気負いせずに時間があるときのサクっと読めそうな気がしました。
はげます会のページでは「タテの国」のおすすめしている部分も読めます。