はじめに
毎週金曜の夜にはげます会会員限定のメルマガを配信しています。限定コンテンツのコラムで「行ってよかった市区町村」を紹介。今回はネッシーあやこさんからのイチ推しの場所です。
24時間営業のスーパーで蕎麦と目が合うと
応援したくなる 香川県観音寺市
（ネッシーあやこ）
去年の春、ふと車を運転できる人生を選びたくなって、合宿免許に出かけた。
場所は香川県の観音寺（かんおんじ）。漠然と「温暖なところなら、穏やかな気持ちで学べるのでは」と思い、四国あたりに目星をつけて、Googleレビューに「優しい指導」「ごはんがおいしい」と書かれていた教習所に決めたのだ。
香川県といったらうどんである。となれば、駅に降り立ったらまず、うどんを食べるべきだろう。
いそいそとGoogleマップで調べたところ、観音寺駅から一番近いうどん屋は「はなまるうどん」だとわかった。「東京にもある店ね」と心がささやいたが、空腹には抗えずに駆け込んだ。
そんな出合いから始まった観音寺での日々は、移住のような境地だった。
宿はマンスリーマンションのように、キッチン・風呂・トイレ付きの1Kの間取り。洗濯物がよく乾いた。目の前には草につつまれた川があって、周囲には大きなニトリとリサイクルショップ、そして24時間営業のスーパー「ハローズ」がどん！と建っていた。
朝昼晩いつでも受け止めてくれる寛大なハローズに魅入られた私は、ほぼほぼ毎日通いつめるようになっていった。
特に地域性を感じたのは、おとなり徳島で作られたボトル入りの甘酒が数種類並んでいたこと。あとはもちろんうどんである。生、冷凍、乾麺、それぞれが売り場でたっぷり幅をきかせていた。やはりうどん県なのだ。そんななかでちらっと蕎麦と目が合うと応援したい気持ちが溢れてくる。
レジのあたりからは頻繁に牛やねこの鳴き声が聞こえてきた。どうやらそういう機能を持ったレジらしい。最初こそ何事かと思っていたが、じきに慣れていった。
しかし車の運転には慣れなかった。
先生はあるとき、「香川県民は、毎日うどんを食べるから血糖値が上がりやすいのでいらいらしやすく、それが運転にも反映されているので、気をつけてね」と言った。
そんなことあるの？と思った。これは私の所感だが、県民の方々は、そこまでいらいらしているようには見えなかったのだ。私の運転のあまりの拙さに、呆れの表情を隠せなくなっていた先生以外は。
ちなみに同じ日に入校した人が2名いたが、最後まで誰ひとり、お互いを詮索しようとはしなかった。共存のためには、無理して仲良くしようとしないことが必要なときもあるのだ。
最終的には、通常より6日ほど時間がかかっての卒業となったが、これはすべて私の運転の才能によるものだ。総評としてはGoogleレビューを信じてよかったと思っている。今度訪れたときには、駅から離れたはなまる以外のうどんのお店にも車で足を運んでみたい。
終わってふたたび解説です
車の運転免許取得で香川へ行っていたネッシーさんからの紹介でした。
うどんが名物の香川でも蕎麦は売っていました。当然といえば当然なのですが、なんとなく「あ、蕎麦も食べるのね…」と思ってしまうので、応援したい気持ちになりますね。
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