はじめに
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行ってよかった場所を聞くコーナー「行って良かった市区町村」が終了し、新コーナーがはじまりました!新コーナーでは、地元のうまいものを紹介してもらいます。第3回はトルーさんから、地元のイチ推しの食べ物の紹介です。
こんなにいいものだったのか
「万カツサンド」東京都秋葉原
東京の神田周辺が地元で、ここならではのうまいものなんてあったかなと記憶を幼少期まで遡ると万カツサンドを思い出した。
秋葉原に肉の万世(まんせい)という肉料理のレストランがある。秋葉原本店は大きなビルで、1階から5階まで全部万世というカラオケ屋さんみたいなレストランである。
万カツサンドはそこで売っているお土産用のカツサンド。
地域のお祭りや町内会のイベントがあるとだいたいこれが配られた。運動会もお花見も万カツサンドだった。夏祭りの日、屋台で働く家族を残して先に家に帰ると、薄暗い食卓に万カツサンドが積んであった光景を思い出す。
だから子どもの頃の万カツサンドのイメージは「イベントごとになるともらえるやつ」だった。『お〜いお茶』と同じカテゴリーに入っていたのだ。
だから「またこれか」と思いながら心の中で肘をついて万カツサンドを食べていた。嫌な子どもである。
大人になって他のカツサンドを食べるようになって、万カツサンドがすごくいいものなんだと知るようになった。スーパーのカツサンドを食べて少しガッカリすることが何度かあり、子どもの頃当たり前だったあの味のすごさがジワジワと分かってきたのだ。
この原稿を書くためにあらためて食べたのだけど、まず肉の厚みがすごい。食べる時に最初に触れているのはパンのはずなのに、いきなり肉の「ミシッ」という歯ごたえがある。
パンの柔らかさもあるんだろう。肉だけ食べていると思わせるほどのとろけるようなきめ細かいパン。
そして甘じょっぱいソースである。これがただのとんかつソースじゃなくて万カツサンドにしかないような味をしている。ホームページを見たら「秘伝の濃厚ソース」と書いてあった。そう、直接味の説明にはなっていないのだけど、すごく「秘伝の濃厚ソース」っぽい味がするのだ。山奥に住む仙人が甕(かめ)に入れて大事に保管している、そういうマンガ的な映像が浮かぶ味。
本店で買って、近くのベンチで夢中で食べた。この時だけは暑さが気にならなかった。
今、これが食卓に積んであったら飛び跳ねて大喜びするのにな、と思う。当たり前みたいに食べていた子どもの頃の自分に教えたい。それはかなりいいものだぞ、と。
終わってふたたび解説です
トルーさんの地元は秋葉原近くなので、万世の万カツサンドが身近だったそうです。私にとって万カツサンドはご褒美的な位置づけなのですが、トルーさんはイベントなどでもらっても「またこれか」と思ったそう。
私は横浜の近くに住んでいたので崎陽軒のシウマイが身近でよく食べていました。
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