特集 2026年2月25日

ブラジル料理専門のファミレスみたいな楽しい店「セリアハウス」へ行ってきた

こんなに苦い飲み物があったとは

自分でも驚いたのだが、ライスを食べ終えたところで、もうお腹がいっぱいになってしまった。肉料理も食べるつもりだったのだが、まあ、無理はしなくていいだろう。

食後のお茶を飲むことにした。ソフトドリンクメニューを見ると“健康茶『イェルバマテ』をクイア(壺型容器)に入れ、お湯を注いでボンバ(金属製茶漉し付ストロー)で飲むガウーショ(牧童)スタイルのお茶”である「シマホン」というものがあり、「TVで紹介された話題の健康茶!」というフレーズも添えられている。どんなものか、飲んでみることにした。

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しばらくして運ばれてきたのは金属製の壺に入った飲み物で、抹茶のような濃い色をしている。

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これが「シマホン」というお茶

金属製のストローから中身を吸い込んでみると、めちゃくちゃ苦い!

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苦すぎてなぜか笑ってしまう

これはすごい。しかし、強烈に苦いのだが、体が喜んでいるのがわかるような味だ。私のような酒飲みにはきっといい気がする。金属製のストローを持ち上げてみると、先が細かい穴の開いた円盤状になっていて、これでお茶を濾して飲めるようになっている。

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専用のストローで飲むシマホン

別のポットで提供されるお湯を壺に追加して少しずつ薄めつつ、だいぶ長く飲んでいられた。

すっかり満喫してお会計をしようと思うと、会計は奥の売店スペースで行うらしい。その売店コーナーのカウンターにいた人が店主らしく、写真撮影の許可は取っていたが、それとは別に「このお店のことを記事として書かせてもらってもいいでしょうか」と聞いてみることにした。

すると店主は「いいよ、どうぞお願いします」と快諾してくださり、ちょうど他にお客さんのいない時間だったこともあり、お店についてお話を聞かせてもらうことができた。ちなみにこの店主がセリアさんという名の方で、それで「セリアハウス」という店名なのだという。

店主のセリアさんにお話を聞くことができた

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突然のお願いにもかかわらずお話を聞かせてくださったセリアさん

私がセリアさんに名刺を渡すと、「鈴木さん。ブラジルに鈴木さんという友達がいましたよ」とおっしゃった。

――ブラジルに長く住んでいらっしゃったんですね。

私?ブラジル人ですよ。

――日本にはどれぐらい長くいらっしゃるんですか?

日本にいるのが36年。このお店は26年。

――えー!すごく長くやっているお店なんですね。

長いです。もともとは肉屋をやっていたんです。食料品も仕入れて、別の場所でね。でも前の社長さんが辞める時に、辞めるかと思ったけど、お客さんが多かったから、それでこの場所が見つかって、でも最初はすごく汚くって自分で工事して。

――え!自分で?

自分で。中も全部。もともとすごく汚かった。前は喫茶店だったみたいだけど、その人が亡くなって、3年もそのままになっていたみたい。そしたら、うちのブラジルのお客さんが結婚式する言うたけど場所がないって。だから(ここを使っていいかと)頼まれたけど、私は何も料理できない(笑)全然作ったことないから。そこから始めて、台所入って。

――今日私たちがいただいた料理もセリアさんが作ったものですか?

いや、レシピを書いてみんなに教えて、ほんまに何も知らんかった。何回もお店が止まったことがある。はははは。

――料理はどうやって覚えたんですか?

レシピをブラジルから送ってもらって、あの時はインターネットなかったからね。電話で「これ、どうしたらいい?どうしたらいい?」ってお客さんにも聞いて、初め、みんな怒ってた(笑)

――そうだったんですね。すごい。

初め、このお店を工事する時、お金払ったら、工事屋さんが逃げた。

――えー!払ったのに?

そうよ。払った。(その業者を探したけど)全然見つかれへんかった。

――それで自分でやらないといけなかったんですね。

そうそう。もう大変だったよ。

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――なんでこの場所にお店を出すことにしたんですか?

いや、肉屋の場所を探してたから、ずーっと探して探して、もういいわってやめようと思ってたけど、最後に入った不動産屋さんで「ここありますよ」って言われて。

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バーベキュー用のお肉も人気だという

――たまたま見つかったからということだったんですね。

駐車場があればよかったから。

――それまでは石津川には来たことはなくて?

なかった。その時に初めて。

――この辺りにブラジルの人が多く住んでいたとかっていうわけではないんですね。

昔は多かったけど、今はもう少ないね。あと、みんなもう(ブラジルから日本に来てからの歴が)古いから、みんな日本の料理に慣れてるから。昔はブラジル人のお母さんが、子どもに食べさせるおかずを作るのにうちに買いに来た。今はもう子どもたちも日本の学校に行って日本の給食を食べてるからブラジル人のお客さんが減ってるけど、うちは日本人のお客さんがもともと多いから。いつもお昼は日本人のお客さんがいっぱい!

――お昼はみんな何を食べて行かれるんですか?

ワンプレートね。ワンプレート出してるから、近くで働いている人にしたら安いから。毎日来るお客さんもいるよ。みんな仲良し。みんな家族みたいさ。うちはお昼のメニュー安いよ。

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近くで働く人たちに人気のランチメニュー

――さっきここに来ていた人はみんなお肉を買っていたんですか?

そうそう。シュラスコもうちは全部、炭で焼いてるから全然違う。そういうお店はそんなにないよ。

――今日いただいた料理も全部美味しかったです

何食べた?

――お魚も美味しかったし、最初に食べた「パステル」も美味しかったです

ああ、パステル。ブラジル人はよう食べる。(ブラジルの)商店街でよう売ってる。そばだけ、ブラジルのそばは違う。

――そばですか?

ブラジルでね、沖縄のそばがある。うちにはないけど。

――沖縄そばをブラジルの人が食べてるんですか?

いっぱい食べてる。ブラジル人よう食べてる。味も美味しいよ。

――へー!それは沖縄からブラジルに移り住んだ人から伝わったんですかね。

そうそう。私が住んでいたところは沖縄の姉妹都市。沖縄の人が多いですよ。たとえばサンパウロは日本人が多いけど、私はもともとマットグロッソね。そこは昔から沖縄の人も日系人も多いね。ブラジルに行かなあかんよ(笑)遠いけど、うちまで行ったら30時間。もし行くことがあったら言ってください。娘がいる。日本語はしゃべれないけど。

――行ってみたいなー。セリアさんは日本に来るきっかけがあったんですか?

私はね、ブラジルにいい仕事があったけど、長くいたから嫌になってきたから、日本に2年ぐらい行こうと思って、その2年がこうなった(笑)もともと子どもの時から日本に行きたかったからね、子どもの頃からずっと思ったら、そうなるよ。私は子どもの頃から「絶対に日本に行きます」と言ってたからね。その頃は船で2か月以上かかった。私のおばちゃんが2か月かけて日本に行った。9人兄妹いるけど、日本に来たのは私だけ。みんな反対だったけどね。

――そうだったんですね。実現したんですね。

日本はよかったけど、もう年寄りでしょう。まだ元気だけど、130歳以上まで生きたいけど(笑)仕事できなくなったら帰りたいよ。頑張ってるけど、いつまでかわからないし。コロナになってからが(景気が)悪いね。

――今はすごくお元気そうですけど。

うん。一番、病気になるのは頭。ストレス、考え過ぎで病気になる。一番いい仕事は商売。なんでかってね、事務所で働いてたら、ずっと同じことばかりでしょう。商売だったら、色々なことを覚える。怒ることもあるけど、怒ることは少ない。怒ることは1%ぐらい。99%は笑う。それが幸せ。細かいことで怒らん方がいいよ。気にしない。それが一番いい。若い時はお酒もよう飲んだけど、もう飲まないね。

――昔はよく飲んだんですね。

よう飲んだ。33歳までブラジルにおって、毎週どっか踊りに行って、踊り好きだから。それでなんか飲んで、面白かった。でも33歳で全部やめた。

――お客さんは、みんなこうやってセリアさんとお話しするのも楽しみで来てるんでしょうね。

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セリアさんと一緒に写真を撮ってもらった

私もしゃべるの楽しい。口、止まらないから。日本のお客さんみんな優しい、ほんまに幸せ。だからやれてる。初めは大阪のお客さん、言い方キツいと思ったけど、私もキツいから、ちょうど仲良しになった(笑)

――ははは。相性がよかったんですね。

と、こんな風にセリアさんとのおしゃべりもまた、とても楽しいお店なのだった。

今度はランチも食べてみたいし、またお酒を色々飲みながらゆっくりディナータイムを過ごしたくもあるし、楽しみが増えた。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
ブラジルの魚料理も苦いお茶も茶こしストローも魅力的です。だけどやっぱり後半でナオさんが聞いている話がいいですよね。
「日本のお客さんみんな優しい、ほんまに幸せ。だからやれてる。初めは大阪のお客さん、言い方キツいと思ったけど、私もキツいから、ちょうど仲良しになった」
関西弁が混ざる口調からお店の空気が分かります。(林)

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