やっぱり子供はえらい
いつの間にか日が暮れた。いやがおうでも探検に出発だ。虫除けを顔にまで吹きかけて肌を覆いつくす。ズボンのすそを長靴の上で縛る。虫が入ってきませんようにと星にお願いする。
「深いところに入っていきます。覚悟しなさい」というような主旨のことを2人から言われ、後ろからついていく。とにかく人家もまばらな山の中だ。この日は曇りで星明りも見えない。懐中電灯持参とはいえ、何があっても2人から離れないようにしよう。
さいわい、両氏の言うように「目の前にいきなりムカデ」という目にはあわなくて済んだ(8センチもあろうかという肉厚のアシタカグモはたくさん見かけたが)。まあ、暗くてあまりよくわからなかったというほうが正解かもしれないが。
そんな漆黒の闇の中、近所の少年が通りかかった。虫捕りに来た我々に、つかず離れずでついてくる。そういう子供、たまにいるよね。
この子は真っ暗な森に灯り無しでずんずん入っていくし、頼んでもいないのに木にすぐ登ろうとするし、それも何がいるかわからない木の上の穴にざくっと手をかけるし、しばらくしたら下のほうを流れる川に下りていくので「そこ川だよ!」と注意すると、
「うちに帰ります・・・」
と言って、川伝いに帰っていった。かっぱの子供だったのだろうか。
このへんが遊び場なんだろうが、とにかく地元の子は強い。こういうことを当たり前のように処理するのがかっこいい。「俺ら、これでも大人になっちゃったんだなあ、ああいうことできないなあ」と、男2人が嘆く。
虫夏フェス
暗い森の斜面を注意深く進む。私は枝を掻き分け、ふんばって歩くだけで精一杯だったが、両氏は懐中電灯で木々を点検しつつゆっくり進む。
と、そこここで声が上がる。「カブトいた!」「オニグモ!」「あ、コクワだコクワ」
そのたびに集合してしばしウォッチング。
さらに奥深く分け入って歩くこと2時間。じつにしばしば、宴(うたげ)が催されている場面に出くわす。樹液飲み放題サービスなのだ。そんなのが夏、そこここの木で同時に催され、そしてここぞとばかりに異性と出会う。虫にとってのフェスだ。そりゃチョーアガるぜ。

