酸素缶の効果は二通り
酸素缶には、酸素不足を解消する効果と、吸っているだけで激しい運動を伴っているように見せられる効果のふたつがあることがわかった。
だからといって、食事をしながらの酸素缶を吸うと「そこまでして食べなくても…」と心配されかねないので注意したい。
昔から、テレビ番組でマラソンや大縄跳びチャレンジなどの激しい運動のあとにタレント達が吸っている酸素缶に憧れている。
視聴者からすると、酸素缶を吸うタレントは楽になっているように見えるからだ。
実際のところはどうなのか試してみたい。
2017年のオールスター感謝祭の赤坂5丁目ミニマラソンで使用していたのと同じタイプの酸素缶を購入。森脇健児がゴールと共に仰向けに倒れ込み、この酸素缶を抱えるようにして吸っていたのをYouTubeで観たので間違いない。
酸素缶を持ってみて驚いたのはその軽さである。中身は空気なんだから軽いのは当たり前なのだが、同じ気体が入っているカセットコンロ用のガズボンベと比べても明らかに軽い。
逆に重かったら、酸素を吸うまでに力尽きてしまう恐れがあるので正しい軽さと言える。
では、憧れの酸素缶を吸ってみるために、まずは激しい運動をしよう。
これまで数十種類のダイエットを試してきたなかで、一番短時間で息が上がった経験のある縄跳びを10分行うことにする。
10回の一回のペースでひっかかかりながら縄跳びを続ける。
開始30秒で既に辛い。
小学生のころ、学校で冬によく縄跳びをさせられ、冷えた太ももに縄が当たって痛かったことを思い出す。
酸素缶には憧れるが、激しい運動には憧れない。というか激しい運動をできるだけ避けてきた人生を送ってきたことが悔やまれる。
時間をみるとまだ開始から1分しか経っていない。
あとこれを9回くりかえせばいいんだ、と思うと逆効果で10分の長さが重くのしかかってくる。
とてもじゃないが10分なんて無理。
酸素缶の効果をあじわうために、息さえあがればいいのだと自分への甘さを出して設定時間を半分に変更。
運動時間が半分になったことで、気が楽になり縄跳びを継続。
ウォーキング中の女性に挨拶を交わしたり、
せっかく初めて酸素缶を吸うのだから、目いっぱい息を切らして確かめたいと二重飛びでラストスパートをかける。
あああ、終わったあああ。さて、いよいよ酸素缶の出番であるぅぅぅぅ。
目標時間をクリアし、息も完全に上がっている。疲労度を計る機械があればミニマラソン直後の森脇健児よりも疲れているはずである。
はやく、酸素を…
多くの有名人が吸ってきたこの酸素缶をいよいよ吸えるときがきた。
吸います!
メガネは曇ったものの、酸素缶の効果を実感できない。
酸素缶は吸い口が小さく、深呼吸のほうがたくさん体に空気を取り込めるような感覚があった。
念のため、休憩を挟んで更に5分跳んで試してみたが結果は同じ。
今回分かったこととしては、運動不足の人間が5分縄跳びをした後では、吸って瞬時に元気が出るといった変化は見られない、ということになる。(条件によって結果は異なると思います)
酸素缶は酸素を取り込むだけでなく、テレビを観ていた私が感じたように、真剣であることをビジュアル的に示す、記号としての役割もあるのではないか?
スポーツだけではない。例えばただ新聞を読んでいるところへ
酸素缶を吸ってみると
オセロでも
ガチャガチャでも
すべてが真剣さを伴っているように見える。
しかしシャボン玉の場合は
真剣さが薄れる結果となったが、概ね記号としての役割はあると言えよう。
酸素缶には、酸素不足を解消する効果と、吸っているだけで激しい運動を伴っているように見せられる効果のふたつがあることがわかった。
だからといって、食事をしながらの酸素缶を吸うと「そこまでして食べなくても…」と心配されかねないので注意したい。
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