空のボトルでちょっと良い酒を買う（デジタルリマスター）

ボトルを返しに酒屋へ運ぶ

さぁ、ボトルを返還すべく酒屋に持っていこう。

ちなみに、ボトルの重さは一本約380g。10本で3.8kg。 270本ともなると、その総重量は102.6kgにもなる。 なんと、100kgオーバー！私は相撲取りと暮らしていたというのか！

当然、これらを一回で持っていくことは不可能なので、 何回かに分けて持っていくことにする。

しかし、それでもなかなか持ち上がらない。 ザックを背負って持ち上げようとしても、後ろに倒れてしまう。 なんせ60本で22.8kgもの重さがあるのだから。

私はなんとも情けない格好で出足をじたばたするのみ。まるでひっくり返ったカメ状態だ。

それでもなんとか壁に手を付いて立ち上がることができた。 さらにボトルを20本入れたリュックサックを前に抱え、 両手にそれぞれ20本づつ入れた紙袋を手にする。 しめて120本、総重量にして45.6kg。物凄く重い。

足を前に出すたびに肩にザックが思いっきり食い込んで痛い。 痛いし、重い。痛重い。

ミクロネシア連邦のヤップ島では、今もなお巨大な石の貨幣が使用されているという。 それよりはましだとは思うが、それにしても重い。頑張れ、頑張るんだ、俺。

酒屋で270本のボトルを返したいというと、 意外にも店員さんは「はい、分かりました」と笑顔で快諾してくれた。 量が量だけに、最悪拒否されることも考えていたのだが、なんとまぁ、ありがたいことか。 これからもここで買い続けよう。

レジではちょっとムリだということなので、裏口へ行きボトルを渡す。 その量を見た店員さんは、ただただ笑っていた。 一応、空いている時間帯を狙って行ったものの、それでもめんどくさい客だったことだろう。 いやはや、ごめんなさい。

これを3往復して全てのボトルを返した後、レジでまとめて清算してもらい、 その返還された2700円で、2680円のとある酒を買った。

その酒とは……

コツコツためればそれなりの額になる

たかが10円。されど10円。ボトル一本がわずか10円にしかならずとも、 270本集まればボージョレー・ヌーボーを買うこともできるのだ。 しかし、既にその7倍の金額を割り物代として使っていることにもなるが…… まぁ、それは突っ込まないであげてください。切なくなっちゃうから。

しかし、これだけのボトル、我ながらよくため続けられたものだ。 270本は一日一本として9ヶ月分。毎日10円貯金を続けていたようなものか。

そういえば、先日10億円を神奈川県南足柄市に寄付したおばぁちゃんがいたが、 インタビューでその人は、節約しながらコツコツ金を貯め、10億円という金額に達したと言っていた。 それもこれと同じようなことではないだろうか。いや、ぜんぜん違うか。