木彫りダリングを作ってみて
今回、安くて手に入りやすいという理由で木彫りの熊を使ったが、木彫り熊は土産物としての旬も過ぎ去り、年々職人さんも減り続けているそうだ。知らない間に貴重なものになっていたとは。申し訳ない。でも、少なくても父にとっては宝ものになりました。ありがとうございました。
クライミングウォールは結構簡単に作れてしまうことがわかったので、リサイクルショップをさらに行脚し、コケシや八幡馬など、日本各地の民芸品を集めたクライミングウォールをいつか作ってみたい。
息子のために、木彫りの熊を使ってボルタリング用の壁を作った。かわいいものができてしまった。
木彫りの熊といえば、ひと昔前の代表的な北海道土産として有名である。そんな熊をクライミングの持つところにしてみました。今回の記事で言いたいことは以上である。本当に以上なのだが、ここで終わるのは法律で違法と定められているようなので、経緯を書かせていただきたい。
息子も4歳になり、跳んだり跳ねたりそこら中を遊び回るようになった。とにかく体を動かすのが楽しい時期らしい。今までにも息子のためと称して色々作ってきたが、そろそろ思いっきり体を動かせる遊具を作ってあげたい。
滑り台・ブランコとなると大ごとだが、クライミングウォールなんてどうだろう。調べてみたところ、壁を作ること自体は簡単そうだ。
ただ、壁よりもクライミングホールド(カラフルなあの掴むヤツ)が厄介だった。買うとひとつあたり500円くらいするし、それが10個はいる。5000円は高い。自作する場合は、木を削り出し穴をあければいいようだが、手作業でやるなら凄まじい作業量だろう。
楽にできる方法はないかなと思っていたら、リサイクルショップの民芸品コーナーで「木彫りの熊」に目が止まった。
クライミングホールドは、要はそこそこの強度があって掴みやすいものであればいいはずだ(木製であれば加工もしやすいので最高)
熊の硬くて太い毛を表現するために、表面にザクザクとした筋が走っており指が引っかかりやすい。事前にしっかりヤスリがけされているので表面はツルツル。そして、何より木彫りの熊は300円~800円と激安。リサイクルショップも大量に在庫を抱えることが多いので、このような価格設定になっているのだろう。
最終的に3件のリサイクルショップをまわり、埃のかぶった木彫りの熊を10体ほど買い占めた。しめて5000円くらい。普通に売ってるクライミングホールドと同じ値段になってんじゃん、と口に出したそこのあなた。あなたは聡明な人だが、配慮が足りない。以後気を付けてください。
並べるとなんと可愛いことよ。よく考えたら熊ほど「可愛い」と「恐ろしい」が混在している生き物もいない(プーさんに「熊嵐」を音読してもらいたい)
熊はそんなたまらなく魅力的な生き物であるので、半分に切るのは忍びないのだが、穴をあけてボルトを通し壁に固定できるようにしよう(「クマにあったらどうするか アイヌ最後の狩人)もオススメの一冊です)
かわいそうだがえいやで切る。買ったのこぎりは確かによく切れるのだが、でかい熊を頭からお尻にかけて両断するためには、のこぎりを30分くらいひき続ける必要がある。なんとか両断できたら断面をやすって平らにする。
続いて、熊にボルト締めするための加工を行おう。普通のドリル刃で穴をあけてボルトを固定すると、熊からボルトの頭が突き出てしまう。そこでまず、熊に「座繰りビット」で深さ1cm程度の穴を開け、ボルトの頭がおさまるようにする。
座繰りビットで1cmほど穴をあけ、同じ中心点に今度は12mm木工ドリル刃で穴をあけて貫通させる。曲面に座繰りビットで穴をあけるのは刃が暴れるので注意が必要だ(私の指先は熊に襲われたみたいになりました)
そのままだと耐久性が怪しいので、透明ラッカーでコーティングした。熊は準備できたのでパネルを仕上げよう。
次は、壁の準備に取り掛かる。土台となるのは、板厚15mmのパネル(2000円)。強度的に分厚い方がいいようだ。よく売っているパネルは12mmくらいなので、業者さんご用達のホームセンターで購入した。木枠を組んで、接着剤を塗り、パネルを貼り付けてから、コーススレッド(インパクトで固定できる便利なビス)でとめていく
パネルの裏側の穴に「爪付きTナットM10」(50個で1300円)を埋め込み、トンカチで叩く。金具の「爪」が木材に食い込み、がっちりと固定された。この金具のおかげで、薄い板に取り付けられているクライミングホールドに体重をかけても、ぐるんと回転したりしないのだ(とはいえでかいホールドは2点どめの方がいいようだ)ねじ込みが効かない薄い板で何かを固定したい時にぴったりの金具である。
このボルト穴があるとクライミングウォール感が一気に増す。今回は屋外に置きっぱなしにするのでパネルにペンキを塗って耐久性を上げる。
熊に「六角穴付ボルト(M10×5cm)」とワッシャーを差し込み、六角棒レンチで締め上げる。全体のバランスを見ながら熊の位置を決めて固定する。ボルト固定なので位置を変えたい時は緩めてまた付け替えればいい。
最後にガレージに転がっていた2×4材や金具を組み合わせて土台を作る。
息子に「こんなの作ったんだけど……」と紹介すると、わかりやすく「ウワァ~!」と喜んだ。
垂直の壁はまだ息子には難易度が高いようで、すぐに諦めて別の遊びを始めてしまった
その後、「落ちないように手伝うから」と挑戦を促すと、もう一度チャレンジしてくれた。
息子はまだ背が低いので、普段、庭の柵より向こうの景色が見えない。頂上からの景色は(頂上と言いつつ180cmしかないのだが)遠くまで見渡せるらしく、しばらくそこで景色を見ていた。
今回、安くて手に入りやすいという理由で木彫りの熊を使ったが、木彫り熊は土産物としての旬も過ぎ去り、年々職人さんも減り続けているそうだ。知らない間に貴重なものになっていたとは。申し訳ない。でも、少なくても父にとっては宝ものになりました。ありがとうございました。
クライミングウォールは結構簡単に作れてしまうことがわかったので、リサイクルショップをさらに行脚し、コケシや八幡馬など、日本各地の民芸品を集めたクライミングウォールをいつか作ってみたい。
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