おやつに境界線なし
この記事を書き始めた時はどこかで全員が合意するおやつ境界線が出るだろうと思っていたが、全くそんなことはなかった。
今後、人生のどこかで「バナナはおやつに入りますか?」と聞かれたら、万感の想いを込めて「おやつだと思えばおやつ!」と答えたいと思う。
そして逆に私が影響され、今までおやつだと思っていなかったものをおやつだと認識するようになってしまった。人生の拡張だ。どうぞウエストはこれ以上拡張しないことを願いつつ、記事を締めたいと思います。
先日、麻婆春雨をおやつに食べる人の話を聞いた。麻婆春雨が好きで家でも当たり前におやつとして出てきたので、おやつだと思って客人に出したら驚かれたらしい。
その話題で別の人が「辛ラーメンはご飯だけどおやつにもなる」と言い、その場にいた全員が微妙に頭を悩ませた。味はご飯寄りだと思うが、確かにサイズはおやつになるかもしれない。
もしかして私が当たり前におやつだと思っているものはおやつではなく、ご飯だと思っているものはご飯じゃないのではないだろうか。
みんなのおやつ基準が知りたくなったので、調べてみた。
・スーパーやコンビニに行って棚にある平均的なものを買う
・友人たちに各食品を「おやつ(+2)」「おやつにもなるけどごはんにもなる(+1)」「ごはん(-1)」で判定してもらう
・一番合計点が高いものが最もおやつで、低いものがごはん
結果から言うと、おやつとごはんの基準はとてもファジィということがわかった。
そして、私が思いもしない方法でおやつを識別している人がたくさんいた。
まずはカップ麺的なものを集めてみた。デカさが売りのコッテリ系から定番品、可愛いのでおやつに見えるかもしれないポケモンヌードル、小腹にありがたい春雨。そして子供の頃おやつに食べたであろうブタメンやMAGヌードル。
味が同じでもサイズが違えばおやつになるかもしれないと思い、緑のたぬきは2サイズ用意した。
大体サイズ通りに並ぶかと思って買い揃えたが、概ね予想通りの結果が出た。
■辛ラーメンはおやつではなかった
この場において、おやつとごはんの境界線は辛ラーメンとカップヌードルの間にあった。
サイズで言えばほぼ同じなのだが、激辛好きでない限り辛いものはごはんのイメージが強いのかもしれない。
■ブタメンの圧倒的好成績
ほぼ全員がおやつだと回答していた。カップ麺はもちろんこの後に出る他のジャンル全ての中でも突出しておやつ度が高い。子供の頃に食べたおやつの偉大さを知る結果となった。
■ローカロリー推しならおやつ
クリームパスタや春雨などローカロリー推しのものは、それなりのサイズでもおやつと認識されやすいようだ。
逆に私が「これはおやつだろ!」と思って買った緑のたぬきやワンタンはサイズこそ小さいものの、おにぎりやパンのお供としてごはんと認知している人が多かった。
平均するとこうなるが、回答者別に見てもそれぞれクセがある。
協力してくれた友人の1人から「極貧時代はカップ麺も贅沢で買えなくてささやかな幸せにコーンスープをごはんとしていた」という泣けるエピソードを聞いた。
彼女がモリモリごはんを食える生活になってよかったと心から思った。
カップ麺は基本的にしょっぱい。ならば甘いものが混ざっていたらおやつ指数はどう変化するのだろう、と用意したのがパンだ。
判断に困りそうなむしケーキやミニクロワッサンを入れてみたところ、「甘いものをご飯にできるorできない」「パンという概念そのものが全てご飯orおやつ」など、個人の基準によりかなりバラけた回答が出力された。
■現れるおやつ概念の個人差
カップ麺編と違い、おやつとごはんの境界線が完全に溶け合ってしまった。
強いていうならむしケーキとカレーパンの間にうっすら境界線があるような気がする。
■混乱する判定ライン
・パンケーキやイチゴサンドなど甘ければおやつ
・焼きそばパンなどしょっぱければごはん
・でもいくら甘くとも大きいメロンパンはおやつにはデカすぎる、カロリーが心配
という回答が多かった。
しかし一口もちチーズなど少しずつ食べられるものはしょっぱくともおやつ寄りになるというバグが発見された。
■おやつに大事なのは「ポップさ」概念
両方ともふわふわで甘いのにむしケーキとイチゴサンドでおやつ指数に差がついたことを不思議に思った。
友人に聞いたところ「ポップさ」と言われた。なるほど、ポップさ。それはおやつにおいてすごく大事な概念かもしれない。
おやつと呼ぶからには甘くてワクワクしなければいけない気がしてきた。
言われてみればコッペパンたまごよりはチーズホイップとりんごのパンケーキの方がワクワク指数が高い気がする。すまないコッペパンたまご、お前のことはごはんとして愛しているんだ。
カップ麺編パン編と我々は規格によりおやつの基準を左右されてきた。
なので突然に規格を統一し、ランチパックの登場だ。この調査では純粋に味のみによる判定を出すことができる。パン編で惑わされた「ポップさ」「ワクワク度」もこれにて完封されるのだ。
■パンはパンでもランチになるパンはなーんだ
突然「ランチパックは全てごはん」という判定が増えた。
なぜだ、同じパンなのに突然ごはんになってしまうのか。”ランチ”パックと書いてあるからか。あなたは午後の紅茶を午前中に飲まないのか。一本満足バーを2本食べたことはないのか。
マジレスすると2枚組で中身が詰まっているので量が多いと言われた。本当にその通りだ。
■やはり重要なのは甘さ
全体で見ると、チキンナゲットとピーナッツバターの間にうっすらおやつとごはんの境界線が見えた。
■新たな判定基準は脂
ここに来て判断基準に「脂」があることがわかった。言われてみれば、上のパン編でも上位2パンはチーズホイップなどがっつり脂を示唆する表記があった。
■中身がごはんであればごはん
面白い回答に「料理としてナポリタンはごはんだけどチキンナゲットはおやつ」というものがあった。彼は次に調査したコンビニホットスナック編でもチキンナゲットはおやつだと認識していた。一貫している。
■肉があればごはん
ちなみに私は肉を見ると他のどんな条件があってもごはんだと思ってしまうので、ハム&エッグを「ごはん」、たまごを「おやつ」と回答してその場にいた友人から一斉にツッコミを食らった。
言われてみればどう考えても私が理不尽である。人は時に思いもよらぬ基準でおやつとごはんを判定している、そう実感した瞬間だった。
最後に、主食から離れてホットスナックを用意した。えもいわれぬ魅力を放つホカホカの肉類たち、どうだ、おかずにもなるしおやつにもなるだろう!
…とドヤ顔で出題したところ、質問者から
「同じコロッケでも肉屋で買えばおかずになる」
などのツッコミが続出したため、急遽”コンビニの”ホットスナックと限定させて頂いた。
ちなみにささみ揚げは買う予定がなかったのだが、たまたま目の前を通り過ぎた男子中学生二人組が「腹減ったからささみ揚げ買おう」と話していたのを聞いて、そうか、ささみ揚げはおやつになるのか…と思わず手に取ってしまった。
■おでんはおやつではなかった
これも境界線がイマイチわからない結果となった。
■繰り返すが、甘みは重要
目立つところだと、あんまんが飛び抜けておやつ係数が高い。やはり「甘い」という要素は大きい。ランチパック編の小倉&マーガリンも上位にいたし…と思ったが、パン編のあんぱんは中堅クラスだった。あれ!?
■ささみ揚げ梅しそはおやつ
意外だったのはメンチカツより春巻よりコロッケより、ささみ揚げ梅しその方が僅かにおやつ指数が高かったことだ。
揚げ物だけどサッパリしている方だし、揚げ鶏にちょっと飽きた頃に手を出す「ちょうどいい揚げ物」なのだろうか。
そして結構な人数が揚げ物をおやつとしていたことに私は驚いていた。
人間のおやつに対する感性は多様だ。私にない発想は私の知識を豊かにする。空は青く地球は美しく揚げ物はおいしい。
そういえば、数人から
「肉まんはおやつにもならないけどごはんとして買う選択肢もなくてどうしていいかわからない」
という意見があり、しょっちゅう肉まんをキメてる私には衝撃だった。私の実家は冬になると朝ごはんに肉まんが出る家だ。刷り込みだ。
ここからは個々の印象的だったおやつ判別法。
Mさんは肉まんや甘いランチパックなどをおやつと認識していた。確かにまんじゅう類は外で食べてもいいオーラを感じる。
ミニクロワッサンやアメリカンドッグをおやつと認識していた。私もパソコン仕事が多いため、しみじみ「その基準めっちゃわかる」と思った。
全編を通してほとんどの項目をごはんと判定した。企画の根底から覆すおやつ観!!
新たなおやつの概念を提唱された。さらに「ごはんの時間にごはんの量を食べれば全てごはん」と言う。彼女の仕事が穏やかなになることを祈った。
ホットスナック編で指摘された通り、おやつには「買ったシチュエーション」という項目が存在することがわかった。
コンビニで1つ売っている肉まんとスーパーで買う6個入りの肉まんは確かに心構えが違う。商品は同じでも、確かに違う。不思議だ。
具体的には銀だこがそれだ。およそ1個85kcal、6個入りで510kcal。これにトッピングなどしよう日には最高に興奮してしまう。さよなら理性、こんにちはマヨネーズ。ありがとう株式会社ホットランド(運営会社)。
・その他の判別法
「結局実家で何をおやつと出されていたかが全て」
「甘かったらおやつ」
「炭水化物が入ればご飯」
「サイズ感」
「片手で食べれたらおやつ」
「おやつとして売られていたらおやつ」
「甘くてもデザートとしてご飯になるものとおやつになるものがいる」
など。
この記事を書き始めた時はどこかで全員が合意するおやつ境界線が出るだろうと思っていたが、全くそんなことはなかった。
今後、人生のどこかで「バナナはおやつに入りますか?」と聞かれたら、万感の想いを込めて「おやつだと思えばおやつ!」と答えたいと思う。
そして逆に私が影響され、今までおやつだと思っていなかったものをおやつだと認識するようになってしまった。人生の拡張だ。どうぞウエストはこれ以上拡張しないことを願いつつ、記事を締めたいと思います。
【おまけ】ちなみに全てのジャンルを並べるとこうなった。
カレーパンとカップヌードルの間にうっすらおやつとご飯の境界線があるような、ないような…?
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