モスバーガーよりマクドナルドが好きだった
いつもの、知ってる料理を食べたい。それが子ども心だ。少なくとも、私はそうだった。
ハンバーガーといえばマクドナルドのハンバーガーだったから、モスバーガーのハンバーガーを見て「これじゃないんだよな」と思った記憶もある。子どもの私め……!
ボンゴレそばも、おでんカレーも今なら全然アリだ。
ウニとかビールとかをおいしいと思うようになった以上に、ボンゴレそばやおでんカレーを食べられるようになったことに、強く、大人になったなあと思う。
ボンゴレそばが美味しかったのは思わぬ事態であった。が、母の伝説的料理はこれだけではない。いくつかある中でボンゴレの次に覚えているのが おでんカレーだ。
余ったおでんを、翌日のカレーの具にしたのだ。
今 考えても えっと思わざるを得ない。そしてこのことについては完全にアナウンスされずに供されたことを覚えている。誰もがおでんが入っていることを知らずに、普通のカレーだと思って普通のカレーとして食べ始めたのだ。
うっかりコンニャクが顔を出してしまっているが、見た目は思った以上に普通だろう。知らなければおでんが入っているとは思わない。これがこの料理のミソだ。
当時はとにかくびっくりしたことだけしか覚えてない。味のことは忘れている。
今回の再現をもって、ボンゴレ同様15年以上ぶりに味を確かめることになる。
食べてみると、味は、おでんとカレーの味であった。
カレーの中におでんが入っている味である。めくるめくそのまんま感が口の中に広がる。
どうなのかといえば、「どちらも好きなので、悪くはない」というのが素直な感想だった。
確かに入っていることを知らないとギョッとなるかもしれない(ジャガイモだと思った具がおでん味の大根だったときはがっくりきた)が、味としてはそれほど恐ろしい化学反応を起こして食べられないような状況になっているということもない。
普通だ。
前ページのボンゴレについては「覚えてない」「そんなことしてない」の一点張りだった母だが、おでんカレーについてはちょっとだけ覚えていたというか、主張があるようだった。
私「ボンゴレについて覚えてないのは分かったけど、おでんのカレーも覚えてない?」
母「そんなこと、したかねえ」
私「やっぱり覚えてないんだ」
母「だって、おでんは食べきるでしょう。大抵」
私「そうだったけどさあ、珍しく余ったんじゃないの?それで」
母「うーん」
私「カレーに大根が入ってるのをすごくよく覚えてるんだよ」
母「大根? 大根だったら、よくカレーの具に入れるよ」
私「ええっ?」
母「叔母さんが『あら、カレーに大根入れるの? おいしいわねえ』って言ってくれたことあったもん」
なんと、私が食べたのは、おでんカレーではなく、大根入りのカレーだったのか?
前ページで少し紹介した通り、昨年実家にやっかいになった私は滞在中母の料理の写真をたくさん撮った。
その中にはカレーの写真もあった。大根こそ入っていなかったが、油通ししたチンゲンサイが乗っていた。
これを見て、ちょっと「あっ」となったのだった。
大根カレー同様、チンゲンサイもきっと子どもの私だったら嫌がるんじゃないかと思った。むかしは葉物の野菜が苦手だった。
もしかして、昔の母の料理がエキセントリックだったのではなく、私が大人になったことで、いろいろな料理をおいしく楽しく食べられるように成長したんじゃないか。
さらにたたみかけて、最近の母の料理からこちらの写真。
きゅうりが温かいスープに入ってる。おいしそう! あ、でも、これも子どもの頃の私だったら受け入れられないかもしれない。
母の料理の腕が年月を経て上がったのは確かだと思う。同時に、私の食べ物に対する理解も成長していた。
でもやっぱりスパゲティがないから急遽そば、ってそりゃないよなあ、断りもなしにおでん(大根だけ?)をカレーに入れるってないよなあとは思うのだった。
いつもの、知ってる料理を食べたい。それが子ども心だ。少なくとも、私はそうだった。
ハンバーガーといえばマクドナルドのハンバーガーだったから、モスバーガーのハンバーガーを見て「これじゃないんだよな」と思った記憶もある。子どもの私め……!
ボンゴレそばも、おでんカレーも今なら全然アリだ。
ウニとかビールとかをおいしいと思うようになった以上に、ボンゴレそばやおでんカレーを食べられるようになったことに、強く、大人になったなあと思う。
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