風習に弱い。それさえやっとけばいいことありそうな気分になれる。
結局粉とクリームと卵にまみれて「注文の多い料理店」状態になってしまったが、縁起も十分に担がれたことだろう。
今回とりあげた風習はどれも聞きかじったものばかり。
改めてアメリカの友人に「歳の数だけお尻を叩く」という習慣について確かめたら、聞いたことないと言われてしまった。
えー!
ロシア連邦 |
朝になった。6時だ。
耳を引っ張るとは、期せずしてロシアの誕生日の風習は眠気をとるのにもってこいだった。
本来はパーティー会場で参加者に引っ張ってもらうものらしいのだが、早朝でまだ誰も起きていない。布団の上で自分で引っ張ることにした 。
ぎゅうっと真っ赤になるぐらい引っ張ると良いらしいので痛みをこらえて引っ張る。
なんなんだろうなこれは。
ブルガリア |
続いてはブルガリア。
学校や会社で普段お世話になっている人々にお菓子を配るらしい。しかしまだ7時なのだ。会社に行っても誰もいないだろう。
とりあえずチョコレートを手に人のいそうな場所へ行ってみることにする。駅だったら人もいるだろう。チョコを配ろう。
通勤、通学の人が通っていく。
足早に行き交う人々にチョコレートを手渡し誕生日をアピールするのもはばかられ、プッシュの弱いティッシュ配りの人みたいになってしまった。配るふりだけして帰った。
本当になんの日なんだ。
さて、風習の旅はイギリスへ、そして私は母のもとへ向かう。
英国 |
誕生日を機会に産んでくれた母への感謝の気持ちを態度ではなく、言葉でストレートに伝える。それがイギリスの風習らしい。
誕生日という日が、祝ってもらう日であるいっぽう、感謝する日であることもなんとなく心身に染み渡ってきた。
世界中で派手に祝われ、祭り上げられるつもりで計画したが、思わぬ展開だ。これが世界か。
日本時間ではもう午後になろうというところ。気温も上がってきて空も晴れてきた。
心も体もほんわか気分で旅はアメリカ大陸へ。
カナダ |
心温まったと思ったらこの仕打ち。
やっぱり世の中甘くない。母のセーターが柔道着のようなのも示唆的だった。
次、アメリカ合衆国。
アメリカ合衆国 |
うっかり風習旅行など考えたものだから、カナダ分とアメリカ分歳の倍も尻を叩かれるはめになってしまった。
近隣国なだけに風習も陸続きだ。合同開催にしてもらうべきだった。
変にテンションの上がり方をしつつ、旅はジャマイカ、ペルー、メキシコ、コスタリカへと続きます!
ジャマイカ |
こうなってしまった。いいんだけど、なってしまうのだなという静かな感慨がある。
「ビールかけ」 というのがあるだろう。やっぱり祝い事には「かけ」は外せないのだ。
次、ペルーへの旅支度に用意されたのは、待ってました! バースデーケーキ!!
ペルー |
やってみたかったんです。ケーキに顔突っ込むの。
しかもそれをちゃんと分けて食べるなんて、ペルー、素敵な習慣をお持ちだ。顔は小麦粉をまぶす前にしっかり5回洗った。
ケーキに顔を突っ込むと顔が痒くなるという噂を聞いていたのだが、私は痒くならなかった。事前にまぶした小麦粉がよかったのだろうか。
腐っても鯛。崩れてもケーキ。
私も切り分けていただきます。食べながら、次の国メキシコへ。
メキシコ |
スパイが2度死ぬように、私は2度ケーキに顔を突っ込む。
しかもお囃子に合わせて、である。BGMはマンボのCDをかけた。
コスタリカ |
ファンキーにアレンジされたマンボのBGMはまだ流れるまま、割った卵をすみやかに皿で受けて焼いた。
ここを旅の終着地点にしたい。 誕生日ありがとう世界。
平日なので、顔を洗って焼いた卵を食べたらすみやかに会社に行きます。
風習に弱い。それさえやっとけばいいことありそうな気分になれる。
結局粉とクリームと卵にまみれて「注文の多い料理店」状態になってしまったが、縁起も十分に担がれたことだろう。
今回とりあげた風習はどれも聞きかじったものばかり。
改めてアメリカの友人に「歳の数だけお尻を叩く」という習慣について確かめたら、聞いたことないと言われてしまった。
えー!
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