ちょっと聞いてよ 2023年2月25日

世界に「気づく」星空観察用双眼鏡

最近、星空用の双眼鏡を持ち歩いている。

星空用だが昼間にも使っている。

これがおもしろいのだ。
 

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

前の記事:昭和の駅の吸い殻入れが未使用で発見された

> 個人サイト webやぎの目

「見える」というよりも「気づく」双眼鏡

まず、双眼鏡なのに倍率が低い。大きく見えるというよりもくっきりするぐらいである。そのぶん視界が広い。
普通の双眼鏡は視界が狭くて対象物をすぐに見失うが、この双眼鏡は覗きながら対象物を探すことができる。

言ってみれば、よく見えるメガネのようなものだ。 

僕が使っているのはビクセンのSG2x40fというタイプだが、いろんなメーカーから出ている

移動中の電車や乗り換えの駅のホームで時間があるときに遠くを見たりしている。

使ってみると「へえ、あそこにあんなものあるんだ」と思うことが多い。

低倍率なので、双眼鏡を外しても見える。でも、肉眼で見ているときには気づかなかったものが見えるのだ。

これを使うと「見える」というよりも「気づく」のだ。

見え方のニュアンスを写真で説明するのが難しいのだが、こういう景色があるとする 

三軒茶屋のキャロットタワー展望台から

この双眼鏡を使うとこの中央にゴリラがいることに「気づく」 

こんなに大きく見えるわけではないが、これぐらいはっきりと気づく(これは望遠のカメラで撮った写真)

双眼鏡を外すと、ゴリラはいる。

ゴリラがいることに気づいているので、もうこれはゴリラがいる景色だ

でも肉眼ではゴリラがいることに気づかなかった。

伝わっているだろうか。双眼鏡のあとはゴリラ後の世界になるのだ。もちろんゴリラ以外にも気づく。

都心の景色だ。この双眼鏡で見ると
ニトリに気づく。どこのニトリだろう

双眼鏡を外してもニトリは見える。 

さっきからあったのに気づかなかった

視界の情報量が増えるのだ。 見える世界のすべてにピントが合う。

いったん広告です

「肉眼のドーピング」

僕が使っているのはビクセンというメーカーのものだが、笠井トレーディングという会社の同タイプの双眼鏡の説明には「あたかも肉眼がドーピングされたような独特の見え味が楽しめます」と書いてあった(リンク)

そう、初めからこれを引用すればよかった。視界のドーピングだ。

メガネを新調した帰り道のような、Photoshopで輪郭だけシャープをかけたような、4Kのテレビにしたような視界が味わえる。
これで視力検査を受けて2.0を叩き出してみたい。

いったん広告です

もちろん星空も見える

夜空を見上げると「気づく」ではなく、見えない星が「見える」ようになる。夜空がエンタテイメントになる。

肉眼だとこれくぐらいのオリオン座が(肉眼での見え方を再現)
これぐらいは見えるようになる(双眼鏡での見え方を再現)

2枚めの写真はコンデジでシャッタースピード20秒で撮った写真を色補正したものだが、それぐらいの明るさで星が見える。
天体観測は知的でロマンがあっていいとかそういうの抜きにして、縦動画のように何も考えないで見てしまう。

月は影になっている部分まで見える
いったん広告です

この世ファンの我々に

この世を隅々までよく見たい、そんなこの世ファンの人には勧めたい。買って配りたいぐらいだけど無理なので自分で買ってください。 

▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ