普通のファミチキの方が食べやすい
当たり前なのだが、従来のファミチキは適切なサイズだと感じた。好きなものはデカければデカいほど良いと思っていたが、どうやらそういうわけではないようだ。
ファミチキはいくら美味しくても、一気には食べれない。でも、昔からの夢を叶えることができて嬉しかった。
ファミチキ。それは青春の味である。
学生の頃、部活や予備校帰りなどお腹が空くタイミングでコンビニに寄り、幾度となく口にしてきた。大人になった今も、お腹が空いた時はファミチキと決まっているのだ。
だが、いつも思っていたことがある。ファミチキは小さいのだ。育ち盛りの我々にとっては少し小腹が膨れる程度にしかならない。本当はもっとたくさん食べたいのだ。
その欲望を叶えるため、デカいファミチキを自作することにした。
今日もファミチキを買う。ファミチキの味は大好きだ。ジューシーなのに重たくなくて、とってもおいしい。できればもっとたくさん食べたい。
改めて測定するとその小ささがあらわになる。このサイズ感で部活帰りの野球部員たちが事足りるわけがないのだ。
とにかく料理知識が無いなりにファミチキを作ってみたい。「ファミチキ レシピ」で検索すると意外にもたくさんのファミチキのレシピが出てきた。みんなわざわざ家でファミチキ作るのかよ…買えばいいのに…と心の中でドン引きしつつも、ネットの情報を参考に挑戦してみることに。
まず、デカいファミチキを作るためにはデカい肉が必要だ。デカい肉がなければ何も始まらないのだ!!
酒、醤油、砂糖、みりん、生姜チューブ、ニンニクチューブ、ガーリックパウダー、中華だしの粉を入れてつけダレを自作。クックパッドはなんでも教えてくれるからありがたい!すでに美味しそうな匂いがする。
これでファミチキの味が再現できるらしい。半信半疑ではあるが、おいしく味が染みわたることを祈って肉をつけておく。
ファミチキをファミチキたらしめているもの、それはパッケージである。あの黄色いパッケージがあってこそのファミチキなのだ。肉をつけている間、デカファミチキ用のパッケージを自作する。
このデータをillustratorでトレースし、拡大していく。
細かくて気の遠くなる作業ではあるけれど、こんなにまじまじとファミチキのパッケージをみたのは初めてなので発見がある。中央の英語の部分は「I am Chicken(私はチキンだ)」「Taste of soft,juicy chicken. The boneless type.(柔らかくてジューシーな鶏肉の味。骨はありません。)」と、なんのひねりもないことが書かれていた。
我ながら、なかなか再現できているのではないだろうか!小手先のillustrator技術が上がっている手応えを感じざるを得ない。発色が若干濃くでてしまったが、細かいことは気にしない。
思いのほかパッケージの作業に時間をとられてしまったが、タレはつければつけるほど良いので問題ない。さっそく揚げる準備をしていこう。
片栗粉と小麦粉を混ぜたもの、溶き卵を別皿で用意する。
漬けていた肉を取り出し、竹串を使って肉を連結する。デカいファミチキの形状を保つために必須の作業なのだ。
さて、全ての準備が整った。ここから肝心の揚げる作業になるが、実は揚げ物を作るのが人生で初めてなのだ。初めての揚げ物がデカいファミチキなんてのはどうかしている。料理経験がなさすぎる私が果たしてうまく揚げられるのかが心配だ。
あたたまってきたら、デカ肉をフライパンに放り込む。形状が崩れないように意識して、そっと入れる。
緊張の一瞬……!!
綺麗に油に投入できた!油が今までにないぐらいジュージュー音を立てている。こんなに激しい油の形相は生まれてはじめて見た。
なんとかひっくり返すことに成功。生焼けになるといけないので、両面をじっくり時間をかけて揚げていく。4〜5回ひっくり返すと表面もいい感じになってきたので、フライパンから取り出す。
そして完成したのがこちら……!
既存のファミチキと並べるとデカさがよくわかる。普通にまな板からはみ出てしまっている。デカすぎてまるで岩のようにも見えてくる。ゴツゴツした塊。まさに、これが私が求めていたファミチキ……!!!
ファミチキは100g程度だが、デカファミチキは重量500g。通常ファミチキの5倍の大きさだ。
準備も整ったので、さっそく食べてみる。待ちに待ったビックサイズ、いただきまーす!!
もっと食べたい!!爆食いお気持ちは抑えられない。ファミチキよりも満足感はかなりある。でかい肉にかぶりつけるのが幸福すぎる!
だが2分ほど食べすすめて気づいたのだが、正直デカ過ぎて絶対に全部食べられない。しかも脂っこいので既に胃にきている。食べ始めてすぐそのことに気づき、愕然とした。夢は夢のままの方がいいこともあるのだと知った。
当たり前なのだが、従来のファミチキは適切なサイズだと感じた。好きなものはデカければデカいほど良いと思っていたが、どうやらそういうわけではないようだ。
ファミチキはいくら美味しくても、一気には食べれない。でも、昔からの夢を叶えることができて嬉しかった。
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