特集 2023年7月24日

バスクリン研究所のある通りがあまりにも風呂

夜の住宅街を歩いていると、どこからともなく風呂の香りが漂ってくることがある。ひとんちの生活の匂い。愛おしき散歩の醍醐味だ。

まちを歩くのと建物が好きで不動産会社に入りました。
休日は山を登り川を渡り海で石を拾います。

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道に風呂が溢れている

ある夜、散歩をしていたらめちゃめちゃ風呂の匂いがする道に遭遇した。

その場所は、大通りから一本奥に入ったところにある。

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見た目には至って普通の、車通りも少ない通り。
しかし嗅覚としてはこれぐらい風呂だ。ザブンザブン。

どこからともなくなんて儚げな風情ではなく、道幅いっぱいがお風呂になったような、風呂の水が川になったような、そんな迫力がある。

通り沿いには大きな建物があり、ゴウゴウと機械の運転音がする。

壁にはずらりとガス給湯器が並んでいて、
よく見ると「浴室」と書いてある
実験室がある建物らしい
室外機にも「浴室」の文字

ここまできてようやく、この建物が何だったのか、いつも車で通り過ぎていたときの記憶と現在地が結びついて、お風呂の匂いの正体がわかった。ああそうだ、バスクリンの匂いだ!

大きな建物はバスクリンの研究所でした!

さすが研究学園都市、入浴剤の研究所まで揃えているなんて。車で通り過ぎていたときには、BATHCLINが”あの”バスクリンだったとは全く意識していなかった。

パン屋さんから香ばしいパンの匂い、焼肉屋さんからは脂と煙の匂い、バスクリン研究所からはお風呂の匂い。

研究所というミステリアスな雰囲気と、あまりにも「生活」であるバスクリンの匂いが相まってなんだかとても愉快なシチュエーションである。

ここだ!

研究所の周りをウロウロ歩いて、匂いの出所となるダクトを発見した。吐き出された空気が風に乗って、バスクリンの香りを運ぶ。

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バスクリン研究所は何の香りか

研究所ではどのバスクリンを使っているのだろうか。

せっかくなので、ドラッグストアでバスクリンをあるだけ買って嗅ぎ比べてみた。

意外と種類があるんだなと思いきや、この何倍もの種類があるらしい。親元を離れて以来、ほとんどシャワー生活だったから馴染みのなさに驚いた。

おわ 

大人のバスクリンシリーズからは「神秘の青いバラの香り」。わたしの知っているバスクリンとは、違う世界から来たようだ……

COOLシリーズのレモン・ライム

柑橘の爽やかな香りに加えて、メントールのスーッと感がある。心なしか鼻の通りも良くなった気がするが、ダクトからあふれる香りとは違うように思う。

次、柚子!

そうそう、冬のお風呂といえばこの香りが実家の定番だった。レモン・ライムと比べて少し重ためなこっくりした香り。これもまた、ダクトから漂う香りとはちょっと違う。

そして大定番にして大本命の森の香り!

コーラの匂いの消しゴムに、イチゴやメロンの香玉、バニラの香りのラメカラーペンと甘ったるい香りばかり溢れていた小学生時代。柚子とも違う、身近に例えようがない森の香りは随分大人っぽく感じられて特別だった記憶がある。

別の日に嗅ぎに行ったら、こないだとは違うダクトから匂いがした

何日かにわたって匂いを嗅いだところ、森の香りが一番近いが、完全に同じものではないようだ。なんなら嗅ぎに行くたびに匂いも少しずつ違うような気がする。

やはりここは研究所、かつてない新たなバスクリンをつくろうと日夜研究が進められているに違いない。

こんな感じでたくさんのバスタブが並んでいたり、で~っかい浴槽があるのかな…と想像を膨らませていたら

”株式会社バスクリン つくば研究所”つくばSTEAMコンパス より

本当にバスタブが並んでいるらしい。なんなら人工大理石やホーロー、ステンレス、極めつけにひのきの浴槽、さらにユニットバスを3部屋揃えているのだという。さすがすぎる。


工場の匂い巡りをしたい

つくば市に隣接する牛久市には太田胃散の工場があり、その辺りはやはり太田胃散の匂いがするらしい。あえて工場の中を見学せず、周りで匂いだけ嗅いで想像をふくらませる工場巡りがあったら楽しそうだ。

自宅で研究所の香りを再現しよう

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