一枚満足せんべい
福岡土産は有名なものがいっぱいあるが、わたしはダントツでめんべいが好きだ。シンプルにせんべいとしてかなり美味しい。その上軽いので持ち運びの負担にならない。硬さもしっかりしていて、旅行鞄に適当に突っ込んでも潰れないのも素晴らしい。
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と、いうことで、食べていこう。もちろん今回は普通に近場で購入した。
いつもなら、ありがたいありがたいと思いながら咀嚼するが、今日はやや雑に噛んでみる。
美味しいものは、どう噛んでも美味しい。だんだんと口の中が熱くなる(水分が奪われるから)。
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ただ、「好きだけ食べられる」ということを考えると、この硬さがちょっと負担になってくる気がする。めんべいの最高なポイント「一袋2枚入り」も、次の袋を開ける手を重くするだろう。
人のいない公園を見ながら、めんべいプレーン味を一袋食べ終わったわたしは、思った。
一袋で満足かも、と。
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なんか、めっちゃ話のおもしろい知り合いと連日会うのはややしんどい、みたいな気持ちと似ている。
それって、自分にとってはたまにのことだからうれしいのだ。それに、そもそも向こうのパワーとこちらのキャパがあまり噛み合っていないからそうなるんだろう。
だから「いやー、おもしろかったー…次はいつ会えるのかな」と思いながら最終電車に揺られる…という部分までが、心から幸せと感じられる許容範囲の内で…。
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めんべいも、「もう食べ終わってしまった」「また誰か福岡行ってくれー」という思いまで含めての味。
あと、めんべいを始めとした様々なばらまき土産が少し濃い目の味で作られている(気がする)のも、一つで十分満足感を与え、そして心に爪痕を残すためなのかも。
とは言えまだ胃袋の限界ではないので、他の味も食べてみる。わたしはプレーン至上主義なので、他の味は食べたことがないのだ。
まだまだ美味しい
プレーン、マヨネーズ味、かつお、玉ねぎ、辛口の5種類が入ったバラティパックがあった。
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こんなのを土産として職場に持ってくる人がいたら、心の中で祭りが始まる。例えもらうのがこの内の一袋だとしても『数種類から選べる』のは本当にうれしい。
マヨネーズは駄菓子っぽい味。ゲームとかやりながら食べたい気さくさ。家に子どもが遊びに来た際に振る舞うべきめんべいはマヨネーズ味だろう。
『もういいかな』と『まだ美味しいな』という気持ちは両立できることを実感。
満足はもうしているんだけど、それはそれとして今、めんべいを自由に楽しめている。
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かつおは旅館のお茶請けの味。わたしは海鮮感が強いせんべいを食べると反射的に「旅館だ」と思う(短絡的)。
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玉ねぎ。ここら辺から、ちょっと口の中の具合がわからなくなってきた。
たぶん玉ねぎはプレーンより甘いと思うんだけど、何枚も食べていると口内にじわじわと蓄積された辛味が広がってきて、正しい判断が困難になる。
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ばら撒いてこそばら撒き土産
最後に残ったのは辛口。ここまでで4袋(計8枚)食べたが、意外とまだ『めんべいって美味しい』という素直な気持ちは残っている。
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辛口、ちゃんと辛い。そして一気に脳内に『限界』の文字が浮かび上がってきた。辛味の腕力に満腹中枢の針が負けた瞬間だった。
これ以上食べたら、めんべいのことを嫌いになってしまう気がする。危険だ。私的には、めいべいとはこれからも末永く仲良くしたい。
もし無限に食べられたら、めんべいを主食にしかねない。それはそれでヤバいので、一旦飽きがきてよかった。
とは言え、ばらまき土産を1人で好きなだけ食べるのはうれしいものだ。今後は独り占めする用のばら撒き土産も買おうかと思ったが、やはりばら撒いてこそばら撒き土産…という気もする。
とりあえず、めんべいは一袋でいいかな。
『2枚入りを5袋…丁度10枚が天辺か…』と思いながらボーっとしていると、後ろからけたたましいカラスの鳴き声が聴こえてきた。何事かと振り返ったら、下校途中らしき高校生たちが絶叫してるだけだった。
まだ昼なのに?と思ったが、夏休み前の定期試験が終わって、テンションが上がっているのかもしれない。よかったね。めんべい食べる?
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プレーン8袋入りありません
ところで、今回めんべいを調達するにあたり、『アンテナショップなら確実に取り扱っているだろう』と、たかをくくって有楽町にある福岡のアンテナショップに行ったら、なんと、無かったのである。あの、「めんべい」と言われて真っ先に思い浮かぶ、プレーン味8袋入りの箱が。

店員さんに伺うと、『都内だと、常設のショップでプレーンの8個入りを取り扱っているのは、福太郎(めんべいの販売元)の東京本店だけなんです』とのこと。そ、そうなんだ…。
しかし、帰りに池袋東武にある全国銘菓が集結している店を見たら、めんべいプレーン8袋入りが鎮座ましましていた。多分、こういう全国銘菓のセレクトショップや物産展などに適宜卸すことはあるんだろう。
この時わたしは、「『有楽町のアンテナショップではめんべい8袋入りを売ってない』という衝撃事実、自分が古畑任三郎の犯人になった時に気付かなくてよかった」と思った。
どういうことかと言うと、例えば、あなたが池袋東武でめんべいを買った後に池袋のどこかで罪を犯したとする(食い逃げとか)。そして『犯行当時、自分は有楽町のアンテナショップでめんべい8袋入りを買った(だから自分は池袋にはいなかった)』ことを偽のアリバイとして主張する中、古畑と対峙するのだ。
(以下、架空古畑のラストシーン)
(場所:夜の池袋南口公園)
あなた「わざわざこんな時間に呼び出して…わたしのこと疑ってるんですね」
古畑「一つ聞きたいことを思い出したんです。事件があった日にあなたが持ってらっしゃっためんべい、どこで買ったっておっしゃいましたっけ?」
あなた「アンテナショップですよ。有楽町にあるでしょ、有名な…」
古畑「東京交通会館?」
あなた「そう。そこにも入ってるんです。福岡のショップが」
古畑「ああ、そうでしたか。うーん…」
あなた「ねえ、それがなんだっていうんです?古畑さん」
(古畑:懐からマリンデザインのめんべいを取り出して見せる)
あなた「へぇ、かわいいパッケージですね。どこで買ったんですか?」
古畑「アンテナショップです。東京交通会館にある、福岡の…」
あなた「………」
古畑「店に入って一番手前の棚にたくさん置いてありました。いやー、わたしもめんべいのプレーン味が好きなもんですから、店員さんに聞いたんです。『プレーンの8袋入りないんですか。あの、大きい箱のやつ』って。そしたら、うちじゃ取り扱ってないって言うんですよ。…うーん…耳を疑いました。福岡を代表する土産物ですからね、アンテナショップにあると思うのは当然です…」
あなた「……」
古畑「もう一度伺います。あなたがあの日持っていためんべい、どこで購入されたんですか」
あなた「……やっぱすごいなぁ。なんでもあるんですね、池袋って」
古畑「池袋にないものはありません」
あなた「…でも、池袋にしかないものは、一つもない」
(古畑:下を向いて微笑む)
あなた「最後に一枚食べていいですか?めんべい」
古畑「もちろんです」
(古畑:めんべいを一袋開け、一枚をあなたに渡し、もう一枚は自分の手に持つ)
あなた「(一口食べて)やっぱ美味しい」
(古畑:犯人を見つめて、無言で微笑む)
(各自脳内でEDを流す)
終
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架空古畑のハズレ回を想像して食べるめんべいは、いっそう美味しい。


