特集 2023年4月11日

飴色に炒めてうまい野菜を探す

じゃがいもだけ様子が違う

さて、ラスト2品はじゃがいもとマッシュルーム。きのこ界からの唯一の参加となったマッシュルームは、その他の和風きのこだとなんとなく結果が想像できそうだったので、いちばん読めないという理由で選びました。

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じゃがいもは細切り
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マッシュルームはスライスに

おもしろかったのはじゃがいもで、炒めはじめてからすぐ、

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このように

透明感が出だし、中華料理屋の前菜なんかにある、しゃきしゃきのじゃがいも炒め的な食感に。しかしその後、フライパン内の油で揚げ焼き状態となり、いったん完全にフライドポテトになりました。

変化はそれでも止まらず、豊富なでんぷん質のおかげ(?)か、1本1本がくっつきあおうとし、

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こんな料理、ありましたよね

ガレット? だっけ? こんどは“不完全ガレット”みたいな感じにと、味見をするたびにどんどん違う料理に変化していきます。

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一方そのころ、最速で飴色になるマッシュルーム

で、じゃがいも。このままだとそのまま固まってしまいそうなので、いったんほぐすために水を投入。

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じゅわーっ

すると、水分によってじゃがいもがぽろぽろと崩れはじめ、そして水気が飛ぶころには、またまたいくつかのまとまりになろうとし、

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またかよ
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最終的に、ハッシュドポテトになりましたとさ
いったん広告です

ついに食べ比べ

長かった。ここまでくるのに、なんだかんだで2時間弱。こんなに手間と時間をかけて料理すること、ふだんないですよ。

ではいよいよ、お楽しみの実食タイムといきましょう。

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まずはプレートにごはんをよそい
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周りに飴色野菜を配置していく

すべてを盛りつければ、

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完成!「飴色に炒めた9種の野菜のプレート」

いや、達成感あるわ。皿の上、ぜ〜んぶ野菜だけど、でもこれ、

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健康志向のおしゃれカフェなら1800円はとれますよね?
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じゃあまずは「玉ねぎ」から
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いっただっきま〜す!

と、料理の完成に浮かれ、若干油断しつつごはん&玉ねぎを口に運んだ瞬間、全身に衝撃が走りました。

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これは……うますぎる……

実態は、ただ塩をふって炒めた玉ねぎでしかない。なのになんでこうも甘いのか? 砂糖と塩、間違えてないよな? いや、きちんと塩気もあるからそんなはずはない。いつも食べてる野菜炒めの玉ねぎだって、そりゃあ甘いんですよ。けどこの飴色玉ねぎは、軽くその10倍は甘い。不思議すぎ。

さらに、旨味もめちゃくちゃに凝縮されている。質量に対する情報量が多すぎる。スプーンの先にほんの少しで、ごはんがばくばくいける。考えてみればこれ、“いつも作ってるカレーの途中”でもあるんだよな。だけどとてもそうは思えないし、こんなにうまい料理を自分で作ったという事実が信じられません。

みんな今夜にでも作るべき! だって、炒めるだけなんだもん! ちょっと時間はかかるけどさ。

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「長ねぎ」

これまた甘みがすごいですね。そして、玉ねぎよりもさくさくっとしていて、香ばしさが強い。あと、美味しいねぎ油の味がする。考えてみれば当然だ。

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「にんじん」

このあたりからもう、だいたいぜんぶおんなじ感想になりますが、とにかく甘くて、旨味が凝縮されていますね。加えてにんじんは、ならではの華やかな香りもしっかり残っていて、かなり好きです。

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食べすすめると境界が曖昧になっていくあたりはインド料理の「ミールス」っぽくもある
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「なす」

おぉ、なすはけっこう、なす味がそのまま残っているな。それと、身が一体どこに消えてしまったのか、皮の割合が多く、食感はちょっと固め。もちろん、味はぎゅぎゅっと凝縮されていてうまいですが。

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「大根」

しっとりとした柔らかさと甘みがいいですね〜。そして大根もまた、ならではの香りとほんのりとした苦味がちゃんと残っている。

鶏肉や豆腐の煮物に大根を入れたとたん、急に“おでん味”になりますが、大根ってそのくらい、実は個性の強い味なんですよね。

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「ピーマン」

あ〜、これはうまいな〜! ねっとりとろりとした食感と甘み。独特の青くささは華やかな香りに変化していて、そして苦味のアクセントや香ばしさのバランスも絶妙。いい。

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「キャベツ」

焦げ風味をいちばんはっきりと感じるのはキャベツかもしれません。とろりと甘く、火を通したキャベツの持ち味もきちんときちんと生きている。

というか、こういう料理、どっかで食べたことある気がするぞ。ただ塩で味つけしてじっくり炒めただけなのに、どこかエスニックな雰囲気を感じるというか。そっち方面に強い方に、キャベツのこういう料理が実際にあったりしないか聞いてみたいくらいだ。

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「マッシュルーム」

あ! これはいい発見かもしれない。そもそもの体積が少ないせいか、しっとりと飴色に炒められたというよりは、揚げ焼きになった感じ。

見た目はフライドガーリックのようであり、だけどそこまで強烈なパンチがあるわけではなく、きのこならではの旨味が凝縮された超うまいスナック「フライドマッシュルームチップス」とでも呼びたい料理になっていますね。そのままおつまみにしてもいいし、サラダやパスタにかけたり、ごはんにふりかけのようにかけたり、用途も幅広そう。いちばんすぐできたし。はい、オリジナルレシピ帳にメモメモ。

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「じゃがいも」というか「ハッシュドポテト」

これはもう、美味しいハッシュドポテトそのものでした。作ったことはないんだけど、たぶん正式な作りかたとはぜんぜん違いますよね? なのにゴールが一緒ってのがおもしろい。

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最終的にぜんぶを混ぜて

ひととおりをじっくりと味わったら、最後は写真のとおり、すべてを混ぜてごはんと一緒に食べてみたのですが、うまいはうまいものの、ちょっと旨味が過剰すぎますね。濃い。やっぱり飴色野菜は、一品をじっくりちびちびと味わってこそなのかもしれません。


どれも驚くほど美味しかった今回の飴色野菜検証。

個人的に特に好きだったのは、玉ねぎ、にんじん、ピーマンかな〜。その3種類だったら、大きめなフライパンならば同時調理もできちゃいそうだし、わりと手軽に作れますよね。そこにフライドマッシュルームチップスを添えて、余裕があればサイドメニューとしてハッシュドポテトを作って。うん、じゅうぶん満足できるばんごはんになるな。

みなさんも、試しに一度どうですか? 飴色野菜オンリーディナー。

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