出るか? スピード感
とにかく何回もチャレンジするしかない。
もう一度700円を入れて、タイミングを計る。
サン、ニー、イチ!
さっきよりは多少ましだが、まだまだスピード感からはほど遠い。
もっとダイナミックにフワッとさせなくては。
二度目よりオーバーにフワッとさせてみる。
サン、ニー、イチ!
だいぶアグレッシブな感じになってはきたが、スピード感じゃない。
もっと、こう、フワッとエアリーな毛先を実現させなければ。
事務所での練習を思い出し、四度目の挑戦だ。
サン、ニー、イチ!
なんだこのインチキなアジエンスみたいな写真は?
もうこれ以上お金を使う訳にはいかない。
スピード感のあるスピード写真を撮るために3500円も使ってしまった。
とりあえず、写真を持ち帰ろう。
結局、スピード感のあるスピード写真を撮る事は出来なかった。
スピード写真機の性能が良過ぎて、スピード感を許してくれないのだ。フワッとさせようとして手を動かすと、その手の動きを待ってからシャッターを切ってくる。
このまま終わるのは悔しいので、最後に撮った写真を使って「スピード感のある履歴書」を作ってみた。
履歴書の背景にスピード線を入れてみた。
こういう履歴書を提出したら、「お、こいつ、スピード感あるな」と気に入られるかもしれないし、「ふざけるな」と無視されるかもしれない。
僕が人事担当者だったら、多分無視します。