「先生にならいろんなことを聞けるんじゃないか」と思っていろんな質問をぶつけてみたが、本当に一から十まで答えてくれてとても楽しい取材だった。
インタビュー中、先生には終始「自分が好きな服を着よう」「ライフスタイルに合わせよう」とアドバイスされた。
ファッションというと頑張らないといけないと思いがちだが、もしかして頑張るものじゃないのかもしれない。
自我を持って、これからもファッションを楽しんでいきたい。
まい:
続いての質問も私からです。
古賀:
文句なのかな?
安藤:
クレーム?
角田:
洗濯を意識して、自宅で洗える服だけを売っているブランドもありますよ。おしゃれか、手軽さか、ブランドのコンセプトで違いますね
まい:
うっ……なるほど……。あ! じゃあ、追加で聞きたいんですけど……。
古賀:
まいしろさん、ファッションに詳しくない人間として遠慮がなくなってきて頼もしいな。
角田:
ウールなどの素材は、水につけるとふくらんで繊維の先が離れちゃうんです。だから、そのまま洗濯機で力強く洗うと、その繊維の先がフェルトのようにぐちゃぐちゃにからまっちゃうんですよ。
まい:
ウールを間違えて洗濯機に入れると、フェルトができるんだ
角田:
フェルトのような状態になるだけで、フェルトにはなりませんが(笑)
角田:
ドライクリーニングは水じゃなくて、石油で洗っているんです。水を使わないから「ドライクリーニング」といいます
古賀:
乾かしてるから「ドライ」、じゃないんだ!
まい:
「何がドライなのかな」と思ってました
角田:
石油を使うと、油汚れが落とせるのもいところですね
まい:
まったく知らなかったので感動しました! 解決ハイになってきますね! じゃんじゃん行きましょう、続いては
角田:
まず、服のサイズは日本産業規格、いわゆるJIS規格というのに記載されています。
角田:
そこで決められられた体型のうち、「9AR」というサイズを成人女性の「M」「9号」としてるんです
まい:
その「9AR」はどうやって決めたんですか?
角田:
産学官の専門家が協力して、全国で体型を計測し平均化した結果なんです。ちなみに、日本では58年も前から計測が始まっていて、私のような家政系の先生たちも協力しています。
まい:
そんな地道な努力が……!
角田:
昔は手で計測していましたが、今は三次元計測器という機械での計測もしているんですよ。
一同:
へー!
角田:
でも、JISは目安なので従わなくてもいいんですよ。
だからブランドはJISを参考にしながらも「自分のブランド独自の標準体型」を決めているんです。そして、その体型の服を「マスターサイズ(基準のサイズ)」として、サイズ展開をしていきます。
まい:
服のバリエーションってそうやって作るんだ……!
角田:
人の体型は、年齢ごとに変わりますよね。そのため、若い世代向けのブランドなら標準よりウエストを細くしたり、年配の方向けブランドならウエストをゆるめたり、ブランドのターゲットにあわせたマスターサイズをそれぞれ作るんです。
だから、同じMでも差が出てくるんですね。
まい:
なるほど〜!
まい:
最後は、普段の生活で困っていることシリーズです。ひとつめは
角田:
どちらに合わせたいかによります。
でも、似合うと言ってくれた人にも、その人なりの好みがあるんですよ。
だから自分が「その人みたいな服を着たい!」と思うなら意見を聞くのがいいと思います
古賀:
でも、周りの人に「似合うよ」って言われたら、好みじゃなくても買っちゃうんだよな〜
角田:
そこは自分を強く持って!
古賀:
「自分はその人みたいな服を着たいと思ってるかどうか」を考えないといけないんですね。自我を持とう!
まい:
先生と話してると、だんだんファッションの自我が芽生えてくるんですよね
古賀:
物心ついてくるよね
まい:
いま私たちのファッション年齢、11歳ぐらいです
安藤:
まいしろさんの疑問、全部解決しててすごいな。ちょっといいですか、次は僕からの質問で、
古賀:
ルールと違うのにね
安藤:
そんなことしちゃだめだよ
角田:
色は、明度と彩度が近い色をグループ(トーン)として、その組み合わせ方で考えるとだいたいかっこよくなるんですよ。
色味を統一してトーンをバラバラにする、トーンを統一して色味をバラバラにする。そうすると、いろんな色を使っていても、簡単におしゃれにまとまります。
まい:
それがそろってないと大変なことになるんだ
安藤:
彩度という発想がなかった
古賀:
「Photoshopにあるな〜」ぐらいに思ってた
角田:
「なんとなく近い色だな」と思うものでまとめれば大丈夫ですよ。
でも、本当に難しい人は、1色か2色でおさえてしまえば誰でもかっこよくなりますね
安藤:
そういうのが聞きたかったんです!
角田:
あと、モノトーンはけっこうまとまりやすいですよ。ワンポイントだけ違う色にすると、それだけで簡単におしゃれに見えます。
安藤:
本当にそれは簡単ですか?
古賀:
いけるいける!
まい:
いけるんじゃないですか?
安藤:
ちょっと自信がないですね……
古賀:
でも、安藤さんの今日の靴って「差し色」じゃない?
まい:
安藤さん、けっこう色数あるけどまとまってません?
角田:
ちょっとチェックしてみましょうか?
角田:
これ、ちゃんとトーンが合ってますよ!
古賀:
合ってるんですか? 合ってるってよ!
角田:
めっちゃ合ってますよ。完璧ですよ。
安藤:
えっなんだこれ、気持ちいい〜〜!
古賀:
安藤さん、自然に明度と彩度をあわせてるんですよ
角田:
センスある!上級者ですよ
まい:
「勉強してない」って言いながら実は勉強してた人みたいな展開だ!
安藤:
勉強するのって楽しいな〜!
「先生にならいろんなことを聞けるんじゃないか」と思っていろんな質問をぶつけてみたが、本当に一から十まで答えてくれてとても楽しい取材だった。
インタビュー中、先生には終始「自分が好きな服を着よう」「ライフスタイルに合わせよう」とアドバイスされた。
ファッションというと頑張らないといけないと思いがちだが、もしかして頑張るものじゃないのかもしれない。
自我を持って、これからもファッションを楽しんでいきたい。
<もどる | ▽デイリーポータルZトップへ | |
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |