リカちゃんサイズの服ということなので生地は幅10cmもあれば足りるだろうとたかをくくっていたが、それだとスカートの丈が微妙に足りない。20cmはいる。次は幅20cmの布とはるとくん(リカちゃんのボーイフレンド)を用意して奇面組の服を再現する予定だ。
菱沼さんが好きだ。言動の端々から溢れ出すチャーミングな人となり、飄々とした生き様、聡明な頭脳、ちょっと(いや、多分に)抜けているところ、グニャグニャの吹き出し…そしてなにより、私の心を強く震わせたのはそのファッションである。
今すぐ皆さんお手持ちの動物のお医者さんを開き、そして括目していただきたい。佐々木倫子先生の美しい線で丁寧に描き込まれた洋服のディティールを。裾が大きく広がったボリュームたっぷりのギャザースカート、細かいプリーツ、ふんだんに盛り込まれたフリル、珍妙でド派手な柄、繊細でゴージャスなレース……。
やっぱりいつ見てもオシャレだ。
私が初めて動物のお医者さんを読んだのは小学生の時だったが、当時は強く「私も菱沼さんみたいにオシャレな大人になりたい!」と思った。
時は経ち、いつの間にか自分も大人と言える年齢になっていた。
鏡を見ても菱沼さんの姿はない。
大人になった今、よくわかる。毎日オシャレ全開で生きていた菱沼さんは凄い。私には無理だ。そんな体力も財力もない。
ということで、毎日のオシャレはかなり難易度が高いので、香山リカさんことリカちゃん人形に菱沼さんファッションをしていただこうと思います。
LOOK1
最初に作るのはこのワンピース。
すみません。作業用BGMとしておっさんずラブを観ていたらそっちに夢中になってしまい、制作工程の写真を一枚しか撮影していませんでした。
…それはそれとしてまずまずの出来ではないだろうか。漫画内のものが実体として手元に現れるとテンションが上がる。
作りすぎてあと6体分あるのでさっさと次にいきます。
LOOK2
次はこちら。「菱沼さんの服」と聞いて真っ先にこれを思い浮かべる人は多いだろう
パーツを分解すると大体こういう感じ。
今回も大豆田とわ子と三人の元夫を夢中で観ていたら制作工程のほとんどを撮り忘れました。特にエンディングがかっこいいですね。松たか子さんがタクシーの車内で口ずさむところとかは今後積極的に真似しようと思います。
...と、それは置いておいて、こちらもまずまずの出来。
パイピングと型紙の作り方は大体以下の通りである。
こうして菱沼さんの服が手元に増えてくると、徐々に菱沼さんがこの身に近付いてきている気がする。…いや、しないな。すみません、しないです。早々に気付いちゃったんですけど、私がリカちゃんに菱沼さんの服を作ったところで、うちのリカちゃんが着々と衣裳持ちになるだけでした。
でもリカちゃんの服を作るのは楽しいので、気を取り直して次に行きます。
LOOK3
このコーディネートはロゼットが複数個付いているのが特徴だ。菱沼さんのファッションはシルエットがシンプルでも、装飾や柄で華やかさを演出することが多い。これもそのパターンの一つと言えるだろう。
すみません、今回も真剣にとっとこハム太郎を観ていたためほとんど写真を撮り忘れました。ヒロ子(ハム太郎の飼い主)を「ロコちゃん」と呼ぶセンス、亜美が「アミーゴ」なのと同じくらい良い。
ということでかなり進んだ状態の写真からお見せします。
様々なミスが折り重なって巻きスカートのフレア分量が足りなくなったので急遽タックを足したら、袴みたいになってしまった。ここから巻き返せるか不安である。袴になるか、スカートになるか、結果や如何に?!
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それにしてもリカちゃんの服作りは気楽で楽しい。
LOOK4
これはしるこ爆弾回で着用していた貝殻柄のセットアップ(ワンピースの可能性もあるが、今回はセットアップと解釈する)。
柄は刺繍とビーズでどうにかする。
ということで完成
バックルは竹ビーズを針金で繋ぐなどして作った。
これがしるこまみれになるんだなあ。悲しいね。
LOOK5
こちらはマリン風のコーディネート。
これは珍しく作中で色について「全身白色」と明記されていた服である。ということで白で作ろう。と思ったのだが、真っ白の布が残り少なかったので
丁度アイドルのライブDVDが届いてそっちを本気で観ながら作っていたので制作工程の写真もなければ記憶もない。「たまや~」「おけや~」の要領で、アイドルを観ながら「あらま~...」「うれし~~」などと言いながらニコニコしてたら終わった。アイドルのコンサートは毎秒ごとに最高が起きるので目がいくつあっても足りない。
LOOK6
菱沼さんの初登場回で着ていた苺柄のセットアップ。
この布を
あーだこーだすると、
先程アイドルのライブDVDを無限ループしていたら、HDDを圧迫しまくっている様々な録画を消化しなくてはいけないことを思い出したのでそれを観ていました。
LOOK7
最後はチップ取り回。
5体目あたりから「リカちゃんの服を作る」ということに対するハードルが下がってきたので腰が軽い。よっしゃ!作るぜ!
もう言う事はないですね。できたったらできたんだからできたんです。
このコーディネートは珍しくパンツスタイルだが、それまでの6体を見ていただければわかるように菱沼さんは基本的にスカートを履いている。実験中は白衣を着用しているとはいえ、薬品等がスカートの裾(ミニスカートの場合は脚)にかかってしまわないか心配である。
いっぱい作った✌ピース✌️
いや~、それにしても、作った作った。もうしばらくリカちゃんの服作りはしなくていいかもしれない。次は人間の服が作りたい気分だ。
今回、リカちゃんサイズの菱沼さんの服をちまちまと作りながら思った。「この服たち、絶対に汚したくない」と。
菱沼さんって適当な黒い無地のTシャツとか持ってないのだろうか。どうなったっていい虚無みたいなカーキ色のパンツとか...持ってないな。多分。
彼女はほぼ毎回気合が入った服を着ている。フィクションなのだからそういうこともあるだろうと言ってしまえばそれまでだが、それにしたってやっぱりあまりにもオシャレだ。
当たり前のようにオシャレをキープする根性が既にオシャレであり、私は彼女のそういった部分に強く惹かれている。
動物のお医者さんを読み込めば読み込むほど、隅々まで張り巡らされたオシャレの魂が私のへたった心を打ちのめし、憧れだけが強くなる。
ああ、やっぱりなりたい。菱沼さんみたいな大人になりたい。
漠然とそう思うだけで、今の私に出来ることといえば
架空の菱沼さんのクローゼットを作って想いを馳せるくらいである。そして、恐らく菱沼さんはこんなことはしない。
しかし、これはこれで楽しい日々である。