本日はよろしくお願いします。
早速の質問で恐縮ですが、どうして沖縄ではツナ缶が箱売りしているのでしょうか?
沖縄県民はツナ缶を箱で買う
長く保存ができ、栄養もあって美味しいツナ缶。台所の戸棚に常備しているという方も多いのではないだろうか。
ひとくちにツナ缶と言っても油漬けと水煮があったり、ソリッド、チャンク、フレークといった形状の違い、唐辛子やガーリックなどで味付けしたもの、コーンなど他の具材とミックスしたものなどそのバリエーションはたいへん豊富である。
そんなツナ缶なのだが、購入する単位でいえばだいたいバラ売りの1缶か、せいぜい3缶または4缶のシュリンクパックだろう。しかし沖縄では、これが日常の風景としてある。
バラ売り缶の後ろに積まれている箱は在庫ではなく、12缶入りで箱売りしている商品なのだ。これを沖縄の主婦たちはいたって普通にショッピングカートに積み込んでいく。車社会の沖縄では日常的な買い物も自家用車の人が多いため、持ち運びにも問題ないというわけだ。
このツナ缶の箱売りは沖縄県以外では見られない独特のスタイルらしいのだが、どうして沖縄でだけ箱売りが定着しているのだろうか。
ツナのことはツナ屋に聞けということで、はごろもフーズ株式会社沖縄営業所でお話を伺ってきた。
沖縄でツナ缶が人気の理由?それはね...
対応していただいたのはこちら、はごろもフーズ株式会社沖縄営業所、21代目所長の石川紀之さん。
沖縄はアメリカ文化の影響があったり、沖縄の温暖な気候でも缶詰だと保存がきくということで人気になっていったようです。
本土だと、お中元やお歳暮って普段自分で買わないような “ちょっといいもの” を贈ろうみたいな文化がありますよね。
すぐに食べられるようなもの、特にお米が人気です。
当時は5キロのお米が主流だったんですが、その大きさがシーチキンの24缶入りの箱と大きさが同じぐらいだったということで、お中元やお歳暮向けに売ってはどうかというのがスタートになっています。
価格もだいたい同じぐらいだったこともあり、贈り物としての箱入りツナ缶が定着していったようです。
なので最初は現在のような化粧箱ではなく、卸用の箱に包装紙や熨斗をつけてギフト用にしていました。これが1987年前後のことです。
はい。その後、時代とともにお米ギフトの主流が5キロから3キロに変化していったことから、シーチキンもそれにあわせて同じ価格帯の15缶入りの商品が発売されました。物価の高騰や家族構成の変化で24缶も要らないよ、という声があったりで時代背景に合わせた形ですね。これが1995年〜1997年頃のことです。
その後、2002年頃に現在主流となっている12缶入りが発売されています。
魚のデザインを入れたり上のほうに熨斗シールを貼るスペースを空けたりして、デザイナーさんと思考錯誤しながら作ったので個人的にも思い入れがありますね。
弊社は静岡県に本社があるんですが、やはりそれまで箱売りはやったことがないということで最初は様々な意見があったようですね。でも当時の社員が沖縄の慣習だったり食文化から、需要があるということを丁寧に説明して発売に至ったと聞いています。
ツナ缶をギフトとして販売したのは当社が初めてなので、当初は認知度を高めるために営業担当者が店頭に立ったり、立ち売りとかもしてたみたいですね。きっと最初は大変だったと思います。当時の人たちのおかげで今があるんだなと。
それで実績ができたこともあって、その後の15缶や12缶はどんどんやっていこう!みたいな流れですんなり進んでいきました。
そうですね。おそらくですけど、沖縄のような食文化が定着していないのでなかなか売れないのではないかなと思います。
たとえば本土だとシーチキンは、おにぎりやサンドイッチの具にしたり、サラダにちょっとトッピングしたりと「素材」として使っていただいていることが多く、それだと非常にメニューの幅が少ないんですね。対して沖縄ではシーチキンを「調味料」として、チャンプルーなどの炒めものに油ごと使っていただいていて消費量がとても多いんです。本土にも沖縄の食文化というか、シーチキンの使い方、食べ方が広まればということで、有村架純さんに出演していただいているテレビCMの「シーチキン食堂」ではシーチキンをいろいろなチャンプルー料理に使うというご提案をしています。
売上で言っても沖縄はもう断トツトップで、全国平均の約4倍売れているんです。年間で見るとやはりお中元やお歳暮の時期が圧倒的に多いんですが、そこに限らず日常的に見ても売り上げが高く、社内的に沖縄はかなり重要なエリアなんです。
私も沖縄の方のシーチキン愛を感じながら、日々お仕事をさせていただいております。本当にありがたいことですね。
最後にひとついいですか?(ゴソゴソ...)
だから、沖縄県民はツナ缶を箱で買う
ギフト用の5キロのお米にヒントを得て販売されるようになった沖縄の箱入りツナ缶は、今やお中元やお歳暮ギフトとしてお米と肩を並べる人気商品となっている。
油漬けのシーチキンファンシーとLフレークからスタートし、近年は健康志向の高まりによりオイル不使用のものや食塩不使用のものなどバリエーションが豊富に。また、はごろもフーズ以外の他社製の箱入りツナ缶も並ぶようになった。
これからも時代にあわせて少しずつ変化しながら、箱入りツナ缶は沖縄で愛され続けるのだろう。
シーチキンで作るチャンプルーはうまい
もし今後、有村架純効果で本土でもシーチキンでチャンプルーを作る人が増えれば、箱売りが全国展開される日が来るのかもしれないし来ないかもしれない。
とりあえず、シーチキンを油ごと入れて作るチャンプルーやにんじんしりしりーは簡単でめちゃくちゃうまいのでみんな作るといいぞ。