特集 2025年2月6日

沖縄風炊き込みごはん「ジューシー」について語りたい

沖縄県外の人にとって謎めく沖縄料理のひとつ「ジューシー」。その字面からは南国フルーツ的なにかが出てきそうなのだが、その正体は沖縄風の炊き込みごはんである。
沖縄そばのサイドメニューとしてよく提供されており、沖縄そば屋さんで店員さんに「ジューシーってなんですか?」と質問する観光客の姿もよく見かける。

そんなジューシーの魅力について語りたい。

沖縄B級ポータルDEEokinawaです。沖縄のおもしろネタを平日毎日更新しています。

前の記事:巳年なので沖縄のハブ酒のハブを喰う


おいしい、ヘルシー、ジューシー

jushi03.jpg

「ジューシー」を一言で表すのであれば「沖縄風炊き込みご飯」という説明が最も適しているのではないかと思う。日本本土の炊き込みご飯との違いは基本豚肉を使って作られるのと、炊き込む際の出汁も豚を使ってとられていることだろうか。たいした違いは無いようにも見えるが豚肉を使って炊き上げたジューシーはほどよく油をまとっていてこってりとした仕上がり。これがまたうまいのだ。

一般的なジューシーの具材としては豚肉、ひじき、人参あたりが基本なのだが、昆布が入ったりカマボコが入ったりとお店や家庭によってそれぞれの味がある。

沖縄のソウルフードといえば「タコライス」や「沖縄そば」がよくあがるが、ジューシーもめちゃくちゃよく食べられている。沖縄そば屋では沖縄そばの出汁を使って炊き上げたジューシーが サイドメニューとしてメニューにあることが多い。沖縄そばとセットで提供されていたり、ランチタイムで無料でついてくるところもある。

なんなら内地系列のうどんチェーン店でも沖縄ではジューシーが提供されていたりする。麺類とジューシーは沖縄ではほぼセットなのだ。

また、ジューシーは個人商店やファーマーズ・マーケットなんかでおにぎりにされて販売されていることも多い。

このツヤを見てほしい。そば屋で提供される温かいジューシーもよいけど、おにぎりにしてもジューシーはうまい。このジューシーおにぎりも具材が違っていたり、色々個性があってたまに目を見開くくらいうまいやつがある。

お店だけではない。ジューシーは家庭でも日常的に食されており、沖縄県内のスーパーへ行けばたいていこういったレトルトの「じゅーしぃの素」というのが売られている。
お米に混ぜて炊飯器で炊くだけでおいしいジューシーが出来上がる便利なもので、沖縄県外で暮らす家族への仕送りの段ボールに入っている率が高い定番品である。

給食にも登場

さらには沖縄県内では給食メニューとしてもよく登場しており、具材がたっぷり入って栄養満点。もちろん味もおいしいので、子どもたちから人気があるメニューのひとつだそうだ。
コンビニでは鮭、昆布、ツナマヨなどとならんで「じゅーしーおにぎり」が定番として並んでいるなど、沖縄県民にとってジューシーは非常に身近な存在である。

パックごはんのジューシーもある

つまり沖縄県民にとってはあたりまえすぎて話題にもならないが、そば屋で、総菜屋で、家庭で、すごい頻度でジューシーを食べている。
ケンミンSHOWは「沖縄の人は飲み会の締めにステーキを食べる」とかよりもジューシーの特集をすべきだと思う(既にしているかもしれないが)。

いったん広告です

ボロボロ、イカスミ、ばくだん?ジューシーにもいろいろありまして

そんなジューシーには雑炊タイプの「ボロボロジューシー」というものも存在する。
ボロボロ、というのはおそらく柔らかいごはんの状態のことを指すからだろうが、にんじんシリシリーといい、擬音語がそのまま料理名に使われているのがなんとも沖縄らしい気がする。

今みたいに寒い季節には無性に食べたくなるジューシーだ

見た目はほぼ雑炊なのだが、豚肉なども入ったしっかり味でガッツリとした食べ応えがある。沖縄県民はここにたっぷりバター(マーガリン)や生卵を落として食べる人という人も多いらしい。

そしてジューシーは時としてチャーハンにも進化する。炊飯器で炊きあげたジューシーをさらにフライパンで炒め「じゅーしーチャーハン」として提供している沖縄そば屋があるのだ。

玉子も入って見た目はほぼチャーハンなのだが、ごろっとした豚肉やひじき、かまぼこなども入っており、味わいにおいてもしっかりと“ジューシーみ”をとどめている。添えられた沖縄そばだしのスープとも相性抜群だ。

沖縄ではよくイカスミ汁として使われるイカ墨が入ったジューシーもある。イカ墨の濃厚な旨味が加わってこれも美味しい。

最後は割った写真がなくて恐縮だが、かまぼこの中にジューシーがはいった通称ばくだんかまぼこ(中身は黒米のものもあります)。
大きなまるいかまぼこをかじると中からジューシーが。おかずもごはんも栄養も片手でとれる完全食である。


冬至といえばジューシー

今回は沖縄県民が身近すぎて意識ができないほどの存在「ジューシー」をとりあげた。
こんな風にしょっちゅうジューシーを食べているわけだが、実は沖縄では冬至とお盆の初日にも「トゥンジージューシー」「ウンケージューシー」と言ってジューシーを食べる風習がある。普段からスーパーにはジューシーが並んでいるわけだが冬至とお盆ではさらに大量にジューシーが並んで圧巻である。
こう考えると実はジューシーが沖縄のナンバーワンソウルフードなのかもしれない。いいすぎか。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
沖縄風炊き込みごはん「ジューシー」が、おにぎりになっていることは知っていましたが、雑炊タイプの「ボロボロジューシー」まで進化していたのは驚き。 今、沖縄は寒いそうで、執筆したmiooonさんは昨日食べてきたそうです。(橋田)

▽デイリーポータルZトップへ

store_20250112.jpg

> デイリーポータルZからのお願い  買って良かったものを教えてください
> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ