トーナ麺トの飾りつけ
盛り上げようと思って「トーナ麺ト」と大きく書いたロゴのようなものを子どもと一緒に作った。
子どもは「何の役に立つのか」「なぜ作るのか」「本当に必要なのか」など一切の疑問を持たずに夢中で手伝ってくれた。
様々な個性を持つものが一堂に会した時に「最強は誰なんだろう」と考えるのは自然なことだと思う。そう、麺の話だ。
種類の違う麺を戦わせる方法を考えた。
「最強」には色々な側面がある。人間のスポーツにだってあんなにたくさんの種目があって足の速さ「最強」もいればアイススケートの演技「最強」もいるのだ。今回は麺の『混ぜた時の存在感』最強を決めたい。
この戦い方だと結局太い麺が強いのではないかと思うかもしれないが、重量が同じになるように混ぜるので、太い麺はその分本数が少なくなる。これによってフェアな存在感の戦いができるのではないかと考えた。
8種類の麺を用意して、トーナメント方式で競った。エントリーした麺はこちらである。
乾麺で、かつ同じぐらいの長さと太さがある麺にエントリーしてもらった。そのため、きしめんやほうとうという太すぎる麺は今回は出場を見送った。
そして麺といえば焼きそばのことを考えたくなるが、あれは蒸し麺のため麺のコンディションが違いすぎるということで、こちらも出場を見送った。
味の似ているそうめんとひやむぎがそれぞれ両端に位置したところに運命を感じた。「決勝で会おうぜ」のやつだ。
そしてうどんとそば、パスタと中華麺も別のブロックになり決勝戦でしか戦えない。
誰が優勝するか分からない良い対戦カードになったと思う。気になるのは最も太いうどん、そして最も細いそうめん。あとは春雨の異質なツルツル感も気になる。
咀嚼中は「パスタ」と思った。しかし舌触りとのどごしはそうめんだ。そうめんの味、風味も感じる。しかし食感はパスタ。パスタの麺の香りもある。
難しい。どっちだどっちだと思いながら食べていたらお椀が空になっていた。
そしてこのトーナ麺トの意義に立ち返った。存在感ナンバーワンの麺を決めるのだ。だったらのどごしの評価の比重は歯ごたえより重いんじゃないか。麺としての存在感、それを考えるなら…
そうめんの勝利となった。これ、すごく繊細な勝負だ。食べる人によって、そして対戦カードによって結果が変わると思う。人の数だけトーナ麺トがある。
ここからテンポをあげて紹介します。
講評
似た太さの麺どうしだったが、食べ慣れてないからかフォーを強く感じた。そしてフォーの方が歯ごたえがあり、うどんが「ちょっと柔らかいフォー」ぐらいの存在感に甘んじていた(その時の茹で加減か)。米と小麦で材料が違うはずなのに一体感があって、食べ合わせておいしかった。
講評
香りや味で、圧倒的にそばが強い。春雨は、やはり味をつけてこその麺なのかもしれない。ツルッとした舌触りも感じたが、唯一戦えていたのはそれぐらいだった。食べ合わせは、まずくはないのだが、どう味をつけたらいいか全く分からないうちに食べ終わった。
講評
太さがほとんど同じ分、味や風味の差がはっきりした。中華麺独特のあの風味が強い。同じ小麦の麺だからか、食べ合わせておいしい。
なんて言ったらいいんだろう。中華麺のあの独特の味は強い。
パスタ、うどんとそれぞれ強敵をくだしてきた選手の戦いである。
あのうどんに勝ったフォーが、今度は「茹でる時くっついちゃったそうめん」ぐらいの存在感しかない。うどんと戦ってあんなに強かったフォー。どうしちゃったんだ。
そうめんが主役になる組み合わせだったのだ。トーナ麺トは奥が深い。
「そばとラーメンどっちの味がする?」と聞くと即答で「ラーメン!」だった。
分かる。僕も食べてみたがラーメンだ。ラーメンが強い。中華麺のあの風味やコシはなんと表現したらいいのだろう。インターネットで調べて「かんすい」を使っているため、というのは分かったが、味自体への表現は見つからなかった。とにかくラーメンのあの味がして、それがそばより強いのだ。
トーナ麺ト、いよいよ決勝戦である。
この場限りの最強にはなりそうだが、とにかく「最強」が決まる。そうめんも中華麺も強かった。両者、正面からぶつかってもらおう。
どちらにも独特の風味や香りがあって、どちらもちゃんと感じる。
子どもに言われたから、という訳ではないのだけど勢力が拮抗した時のそうめんののどごしが強い。パスタと戦った時と同じだ。これがあるから後味がそうめんになる。
優勝はそうめんです! おめでとう!
パスタ、フォー、中華麺と個性的な麺を破り、そうめんが優勝した。しかし春雨と戦っていたら、うどんと戦っていたら、もしかしたらあっさり負けていたかもしれない。相性が大きく影響する戦いだったと思う。
とにかく今回の優勝はそうめんだ。エキサイティングなトーナ麺トだった。そうめんおめでとう。
分かったこと
盛り上げようと思って「トーナ麺ト」と大きく書いたロゴのようなものを子どもと一緒に作った。
子どもは「何の役に立つのか」「なぜ作るのか」「本当に必要なのか」など一切の疑問を持たずに夢中で手伝ってくれた。
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