特集 2023年2月21日

京都のスーパーコンビニFRESCO(フレスコ)の町並みへの浸食ぷりがすごい

京都に馴染みすぎるFRESCO

さきほどはドイツ風の建物だったが、いかにも京都っぽいFRESCOもいる。

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京都堀川店はステレオタイプな「京都の町家風」。さっきとまるで違うな!

のれんがかかり、お味噌屋さんとか漬物屋さんと勘違いしそうな外観だ。

看板も木の板になっちゃって、FRESCOの横文字が京都のまちに馴染んでいる。

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電球も可愛い!

しかし中に入ってみると和テイストはすっかり消え、所せましと商品が並ぶ。100均コーナーもあり、やはり生活感であふれていた。

ちなみにこちらのお店はグーグルストリートビューで一番過去に遡ってみてもすでにこの外観なので、これ以前が何だったのか(そもそも居抜きなのか新築なのか)は詳細不明だ。

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こちらではオリジナル味噌を購入。お味噌屋さんのような外観に完全に引っ張られた。

なんにせよ、ドイツ風の河原町丸太町店と京都の町家風の京都堀川店の2店舗を見ただけでも、FRESCOのユニークさは把握できた。

他にもまわってみたい。

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うなぎの寝床スタイルのFRESCO

京都ではむかし、間口の広さによって税金が決められていたため、間口が狭く奥行きが長い「うなぎの寝床」と呼ばれる建物が多かった。

そんな、むかしの名残を感じられるFRESCOもあるのだ。

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「うなぎの寝床」スタイルが見られるFRESCO烏丸店。一番都会にあるFRESCOだそう。

グーグルマップで見ると建物の形がすごく分かりやすい!細長いのだ。

お店の中が細長いため、自然と一方通行のような流れになっていたのが面白かった。

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FRESCOクイズ:元は何の建物だったでしょうか?

このようにFRESCOは、元の建物や寄生する建物の雰囲気にリスペクトして調和する傾向があるという。
なので、FRESCOを見つけたら「このお店は元々なんだったのか?」と予想するのも面白そうだ。

さて、いきなりですがここでクイズです。
こちらのFRESCOは元々なんだったと思いますか?

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FRESCO五条大橋店。
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ヒントその1。元々あったでかい看板をそのまま再利用している。
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ヒント2、隣はガソリンスタンド。ヒント3、車がたくさん通る幹線道路に面している。

弁慶と牛若丸の像があることで有名な五条大橋にあるお店は、交通量が多い交差点の南東にある。
メインの大通りのため、車がバンバン走っている。
車を乗る人にとってはかなり使い勝手の良い場所というわけだ。

そんな場所に、FRESCO以前にあったお店とは…?

正解は…



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元はレンタカー屋だったFRESCO

正解は、トヨタレンタリースである。

大きい看板はそのまま再利用。
また、レンタカー・リースと書かれていた軒先部分の看板も、色は変わったもののしっかり面影が残っているのが分かる。

ストリートビューで昔の姿を見てみよう。トヨタレンタリースだ!

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もう一度現在のFRESCO

トヨタレンタリース時代の看板

見比べるの楽しいなあ。

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思い出の地もFRESCO化

さて最後に、morichinさんはじめ、学生時代を京都で過ごした人たちの御用達だった思い出のお店に向かおう。
その思い出の場所がまさかのFRESCO化しているというのだ。
…複雑な気持ちだな。

バスに乗ってお店(FRESCO北白川店)につくと、辺りはすっかり暗くなっていた。

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20年以上前に、morichinさんがよく通っていた場所。今はFRESCOになっている。

暗くて写真だと全貌が分かりにくいが、看板が一文字ごとにわかれているのが特徴的だ。

これもやはり、元々あった建物をそのまま活用したのだろうと予想がつく。
ここなんだったか分かりますか?

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明るい時の写真はこちら(morichinさん撮影)

そしてFRESCOになる前の姿はこちら。丸山書店という本屋さんだった!

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本屋がFRESCO化

聞けば京都市内には、大学の数の割に本屋さんが少ないそうだ。
そのため丸山書店はこの左京区あたりの大学に通う多くの学生たちに頼りにされていた。
しかもFRESCOと同じく深夜まで営業しており学生の味方だったのだ。

そんな貴重な丸山書店が無くなったのを知った時はmorichinさんはとても悲しかったという。

しかしそこに今はFRESCOが浸食し、今度は知恵ではなく胃袋を満たすことで学生を支えてくれる場所になったのだ。

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morichinさんが学生当時からあった「昔のコロッケ」 3個入りで141円。素朴!

看板を踏襲するFRESCOが最高にエモい

丸山書店は4文字で、FRESCOはロゴマークを入れて7文字ある。
つまり、わざわざ丸山書店の看板を踏襲しているのだ。
丸山書店の存在や思い出を残してくれているところにグッときてしまう。

morichinさんと一緒に店内に入り、学生時代、どの辺りの本棚をよく見ていたのか聞いた。
今は生鮮食品が並んでいた。

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うまそうに食べてる

まちに調和するFRESCOたち

morichinさんは他にもたくさんFRESCOの浸食っぷりをリスト化してくれていた。
画像検索すれば、色んなFRESCOが見られる(こちら)

どのFRESCOもまるでカメレオンかのように町並みに調和しているじゃないか。

またFRESCOは、外観だけでなく実は品ぞろえも周りと合わせているようだ。

例えば東山安井店は外国人観光客を意識して外貨両替機を設置していたり、過去にあった祇園店ではお花や果物など「夜の人」を意識した品揃えで、田舎から京都にやってきた18歳のmorichinさんにとってはドキドキする場所だったという。

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都会的なFRESCO五条店。マンションの下に昔からあるフレスコだが、最近外装をリニューアルしたそう。

学生時代からお世話になっているスーパーが、元の建物をリスペクトしつつ浸食していく様子。確かにすごく気になるし、面白い。

京都に久々に里帰りする人、もしかしたら思い出の場所がFRESCOになっているかもしれませんぞ。


浸食、そしてリニューアル

「新鮮・みずみずしい」という意味のFRESCOは、その名にふさわしく店舗年齢を若くするのも目標だそうだ。
激戦の流通業界を乗り切るために商品だけでなく店舗も新鮮に保つ努力をしているとのこと。リニューアルをどんどん進めていっているのだ。

いつでも地域や時代に合わせて変化していこうという気概を感じる。
私も見習おう、と思った。まさかスーパーでそのような事を思うなんて。

これから京都に行ったら私もFRESCOに注目しようと思う。

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