いちど食べればその魔力の虜に
沖縄に旅行で訪れたなら、おしゃれなカフェやおいしい沖縄そば屋に行くのもよいだろう。
だが、ぜひキンタコにも行ってほしい。きっとその不思議な魅力の虜になるはずだから。
沖縄のソウルフード「タコライス」の老舗チェーン店、“キンタコ”こと「キングタコス」。その不思議な魔力をここで語らせてほしい。
沖縄のソウルフードであり、全国でもカフェメニューなどとして定着した「タコライス」。諸説あるが、1984年に沖縄本島北部にある金武(きん)町で儀保 松三(ぎぼ まつぞう)氏が考案したのが始まりと言われている。
その儀保 松三氏が営んでいたお店「パーラー千里」(現在は閉店)からはじまったチェーン店が「キングタコス」(通称:キンタコ)。2026年現在、沖縄県内に6店舗あり、県民や観光客でいつも賑わっている。
ソウルフードといわれるだけあって、おいしいタコライスやタコスを提供するお店は沖縄にたくさんあるのだが、それでも最後にはやはりキングタコスに足を運んでしまう。そんな怪しい魔力めいたものがあるのだ。
まずはキングタコスの代表的なメニューをご紹介したい。写真は沖縄本島中部の宜野湾(ぎのわん)市にある長田(ながた)店。大学に近い立地でもともとは24時間営業だったが、現在はテイクアウト専門店(イートインスペースも若干ある)となっている。
かくいう私も大学時代にはキングタコスに本当にお世話になった。意味も無く研究室に夜中まで友達といて、小腹が空いたら誰かが原付でキンタコを買いに行く…あの頃からキングタコス愛は変わらない。

オーダーは食券制なのだが、実はここに初見殺しのポイントがある。私たちが通常「タコライス」と認識しているものは、キングタコスでは「タコライスチーズ野菜」である。キングタコスでは「タコライス」を頼むと、タコスミートがごはんにのっただけのもの、「タコライスチーズ」を頼むとごはんにタコスミートとチーズがのったものがでてくる。ミート、チーズ、レタスがのったものは「タコライスチーズ野菜」なのでご注意頂きたい。
今は価格改定でかなり高くなってしまったが、私が学生だった20数年前はタコライスチーズ野菜で600円くらいだった記憶がある。

話が長くなってしまった。こちらがキングタコスの「タコライスチーズ野菜」。

店舗や日によってフタの閉まらなさ度合いは異なるが、勢いがすごい日はこんな感じである。このワンパクさがキングタコスの魅力のひとつであることは間違いない。

スプーンを入れるときれいに地層のようになっている。

これに付属のソースをかけて食べるのだが、このソースに不思議な中毒性がある。ちょい辛のサルサソースなのだが、おそらく結構な量のニンニクが入っておりパンチがすごい。タコライスを食べているとごはんだけが残ってしまう場合があるのだが、その際は白米とサルサソースだけでもめちゃくちゃごはんがすすむ(ソースが足りない人は追加で注文もできる)。キングタコスの怪しい魔力はたぶんこのソースが大部分を担っているんじゃないだろうか。
このタコスソースを商品化するべきじゃないかとずっと思っているのだが、残念ながら実現されていない。

キングタコスのもう一つの定番メニューがタコス。

トルティーヤはカラッと揚げられたハードタイプでサクサクといけてしまう。反面、時間が経つと食感が変わってしまうので買ってすぐ食べるのがおすすめだ。沖縄にはオシャレなタコスや豪華な具材のタコスを出すお店もたくさんあるのだが、キンタコのタコスが食べたいという日が確実にある。

野菜がこぼれ盛りみたいになっているので、きれいに食べるのが難しいのもキンタコのタコスの特徴である。さいごは付属のスプーンで野菜だけをかき集めて最後に食べるのだが、もっとうまい食べ方があるのでは…と20年くらい思案している。
なんだかちょっと興奮気味に書きすすめてしまったが、キングタコスの魅力が少しは伝わっただろうか。
そしてキングタコスはサイドメニュー(というかタコライスとタコス以外)もすごい。いかれたメンバーを紹介するぜ!
チキンバラバラ
こちらは一度聞いたら忘れられないネーミングの「チキンバラバラ」。パックのフタはタコライス同様、閉まる気配はない。
いわゆるフライドチキンなのだが、注文してから出来上がるまでに20分かかるので「今日はチキンバラバラを食べるぞ!」と強い決意のもと注文するメニューだ。ちなみに店員さんが使用していた略称は「チキンバラ」。

大人のこぶし大の骨付きフライドチキンの塊が5ピース。ケンタッキーのようにドラムやサイなどさまざまな部位が入っている。
揚げたてのアッツアツで提供されるので、食べるのは少し冷めてからにしなければ口の中が大変なことになってしまう。
カリッとした分厚めの衣に塩コショウのシンプルな味付け。タコライスの味が濃いぶん、サイドとして一緒に食べるとバランスがよくなるように味付けを調整しているのかもしれない。
プリッとした鶏肉がジューシーでうまい。
タコバーガー

タコス、タコライスときて、キングタコスにはバーガーもある。タコスの具をバンズに挟んだ「タコバーガー」だ。写真では伝わりにくくて恐縮だが、手のひらにのせるとずっしりとした質量を感じる。これで500円なのだから驚きだ。ちなみに、チーズを加えた「タコチーズバーガー」もある。
ビニール袋に入ってくるのも気取りがなくていい。やわなペーパーなどではこぼれ落ちてくる具を受け止めきれないのだろう。
以前はタコミートではなくパティが入った「ジャンボバーガー」というバーガーもあったのだが、近年は見かけなくなってしまった。

ふっかふかのバンズに挟まれたたっぷりのタコミートとレタス。ソースもたっぷりかかっていてうれしい。
タコライスとタコスに押されてあまり目立たない存在だが、バーガーはバーガーで食べやすくてうまい。
ポテト&チーズ
ファストフード店のサイドメニューと言えば、ポテトだろう。安心してください。キンタコにもありますよ。
こちらは「ポテト&チーズ」。揚げたてポテトにチーズがのったすごいビジュアルである。あとやっぱりフタは閉まっていない。
写真を見て気づいた方も居るかと思うが、このポテトは明らかによくある冷凍食品のやつである。悪い言い方をすれば何のこだわりもないのだが、キンタコのポテトは揚げたてなので不思議とうまい。さらにそこにチーズをのせているのだから、不味いわけがないのだ。
なぜか店舗によってはポテト&チーズがメニューにない場合もあるのだが、チーズがのっていないポテトフライは全店舗にあるので、ぜひタコライスと一緒に食べてほしい。
タコチキンフライライスチーズ野菜
タコライスを食べているとごはんだけが残ってしまうという話を先に書いたけれど、こちらはその問題に真っ向から取り組んだ意欲作である。見た目はタコライスチーズ野菜なのだが、
ごはん部分が白米でなく炒飯的なもの(チキンライス)になっている。これによってごはんだけが残ってしまってもチキンライスを楽しむことができるのだ。こちらも金武本店と長田店にしか存在しないメニューなのだが、まさにキングタコスのキングなのだが価格も1,200円とそれなりである。
最後におすすめのタコライスの食べ方についても紹介しておきたい。
現在は小分けにされたソースが付いてくるのみなのだが、かつてイートインの場合はソースがボトルで提供されて好きなだけかけることができていた。しかも、辛いものが苦手な人用にサルサソースの他にケチャップも用意されているという親切さ。
ソースをかけてタコライスを食べて、さらにソースをかけて食べて…というソースシャバシャバスタイルが最もよい食べ方だと個人的には思っている。
そんなソースシャバシャバスタイルを行える店舗が1店舗だけある。宜野湾市にある喜友名(きゆな)店である。

喜友名店のイートインでは、カウンターにデカいタコスソースが置かれており、自由にかけることができるスタイルとなっている。
「ソースでタコライスを食べる」体験はここでしかできないので、ちょっと思い切ってドバドバかけてみてほしい。ちなみに他の店舗でも商品を手渡しされるときに、「上にソースかけて!多めに!」というオーダーが可能だそうだ。まぁ持ち帰り用のパックだとビニール袋の中が大変なことになってしまうのだが…。
沖縄に旅行で訪れたなら、おしゃれなカフェやおいしい沖縄そば屋に行くのもよいだろう。
だが、ぜひキンタコにも行ってほしい。きっとその不思議な魅力の虜になるはずだから。
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