他にもいろいろ考えました
グリコで遊ぶことも楽しかったけど、改善点を拾いながらみんなでルールを乗っけていく議論自体がとても面白いものだった。他にもいろいろ生まれたので最後に記載します。
・案1:あいこのあとにグーで勝てたら3倍進める
・案2:グーで勝つとグリコが食べられる
・案3:少ない手を出した人の勝ち(4人以上推奨)
・案4:チョキで進んでもいいけど、そこにはウミガメの卵があって横で親ガメが泣きながら見てる
じゃんけんの「グリコ」という遊びがある。主に階段などを戦いの場とし、じゃんけんで勝ったものが出した手に応じて進んでいくものだ。わりとみんな遊んだだろうこのゲームだけど、幼少期から疑問に思っていることがある。
「グーだけ弱くないか?」
この永年の疑念を晴らすべく、大人たちが寄ってたかってルールを再考したら楽しかったので報告します。
遊んだことのない方もいると思うので始めにルールを説明すると、グリコはじゃんけんを派生させたすごろくのような遊びだ。
グーで勝つと「グリコ」で3歩、チョキで勝つと「チヨコレイト」で6歩、パーで勝つと「パイナツプル」で同じく6歩進める。
グーとチョキ・パーで進める歩数には実に2倍の差があるのだ。「グリコ」自体はゲームのタイトルにもなっているのに脇役感が溢れているだろう、かわいそうじゃないか。
というわけで。今日はみんなでグーを救おうと思います。
グリコで遊ぶなんて数十年ぶりだ。最終的に大人でも、というより大人だからこそ楽しむことができるルールも生まれたと思う。
それでは新ルールを5つ6つほど、どんどん紹介していこう。
改善点を洗い出すため、まずは通常ルールでグリコをしてみよう。今回は歩数ぴったりでなくてもゴールできるルールにした。
ほり:チョキが強いですよね
普段からゲームを作っているほりさんはさすが察しが早い。
そう、チョキは強い。勝つと6歩進めるのに対して、負けても相手は3歩しか進めない(グーに負けるため)ローリスクハイリターンの手なのだ。このあたりを調整したいよなー。
その後も淡々と前の二人が歩みを重ねてゴール。ふうむなるほど、反省点をあげよう。
※「階段じゃないのか」「コースが適当だ」という声もあろうが、今回勝敗は重要ではないので目を瞑ってほしい
林:ほりさんが弱い
ほり:泣きそうになりました
ほりさんが泣かなくてよかった〜。
確かに普通のじゃんけんと比べて、負けていることが目に見えてわかる(置いてきぼりになる)のがおもしろいところであり泣きそうになる要因だと思う。
北向:逆転が起こりづらいかも
トルー:ぼんやりジャンケンしてしまったので、意識するぐらいゲームバランス崩した方がいいかもしれないですね
よーし、このあたりを改善していこう。
まずは単純にグーを強くするところから!
グーを強くする、ということで試しに林さんが考案した”グーを「グリコーゲン」にする”案に挑戦してみよう。単純にグーで進める歩数を増やす、という平和な作戦だ。
写真を見返すとすでに楽しそうだ。
どれでも6歩進めるこのルール、始める前は
北向:言ってしまえばただのジャンケンですよね
なんて話をしていたのだけど、意外とみんなの心に”グーで勝ちたい”という気持ちが生まれ、そこに駆け引きが発生したようである。
実は、地方ルールとしてグーで勝つと「グリコのおまけ」や「グリコス」で進むというルールもあるらしい(グリコスとは?)。やっぱりみんな調整したかったんだ。
興味深いものでは「パイナップル」を「パイナップルー」と7文字に調整するルールもあるらしい。地味に弱いからな、パー。
まあ、でもこれはグリコーゲンに慣れたらまた普通のジャンケンに戻るだろうな。ちょっと歩数調整以外で考えてみよう。
次は、ほりさんが事前に上げてくれた「グーで3回勝つと人生ゲームのルーレットを回せる」を試してみたい。
林:(みんなグーを出すのを見て)強欲な感じがすごい
トルー:グーと別の手を交互に出しちゃいますね
グーの過剰なボーナスに参加者の目がくらみ、明らかに戦略が生まれた。
そして筆者がいち早くグーで3回勝ちサイコロチャンス。トルーさんの「1を出せ!」コールが鳴り響くなか出た目は…
これはかなりのリードである。そして次の手でほりさんがグーで勝ち、
ほり:なんとも言えない
強くも弱くもない5に渋々と進むほりさん。あるある、ゲームのこういう瞬間。
一方、サイコロチャンスに依然たどり着かず焦ったトルーさん。あと一回グーで勝てればサイコロを振れるが…
トルーさんのグーを見越して、ほりさんと筆者のふたりが出した手はパー。恥ずかしがるトルーさんを尻目に二人は進み、ほりさんのゴールで勝負あり。これは…これはゲームっぽいぞ!
トルー:これ面白いですね
北向:何考えて戦ってました?
トルー:恥ずかしさ、ですかね
北向:あの、グーを出したときだ
ほり:パーで勝った時のしてやったり感は、今までにない戦略のおもしろさでしたね
ボードゲームは「戦略性とランダム性」のバランスが良いと繰り返し遊ばれるものになると言われる。このサイコロルールは今までにない戦略とランダム性が生まれたと同時に、参加者の性格も垣間見えたのが良かった。
このあと”改善案3:グリコだけは大股ルール”というのをやってみるも、「大股のグリコは頑張ってもチヨコレイト(6歩分)とほぼ変わらない」という事実がわかり消沈する。
トルー:大股グリコでもこれくらいかー、とわかるとドキドキしなくなりますね
さて、課題のひとつとして”一発逆転が起きづらい”というものがあった。何かどんでん返しが起きるような、負けている人に有利なルールでもあれば…
林:離された人はジャンケンのあいだ歩いて良い、っていうのは?
ほり:盗塁みたいな
よーしやるぞ。全部やる。
バレたら一回休みという厳しいルールである。
最初は慎重ににじりよっていた参加者も、だんだんとエスカレートしていく。
ほり:差は縮まりましたけど
トルー:逆転はできないですね
林:ズルしてる!って感じはして良かった
林:でも、ゲーム性はないですね
林:離された人が有利になるような感じだといいですよね
ほり:マリオカートみたいな
北向:最下位だと強いアイテムが出る的な…
北向:そしたら、”グーで勝った時、ひとり1回だけ相手と自分の位置を交換できる”というのは?
ほり:あ〜、それはいいなー
トルー:最後まで盛り上がりそうですね
これは逆転があってめちゃくちゃおもしろいぞ!…と思ってはじめるも、結果的には消化不良に。なぜならトップを走るひとが終盤グーに負けるのを避けるためにチョキを出さなくなったからだ。
結局グリコによる一発逆転は発動せず。うーむ、「同じ手を連続で出してはいけない」などルールを加えればよかったのだろうか。何か妙案ないものですかね。
ほり:…グーのときだけ、「ぐ」ではじまる好きな言葉で歩いて良いっていうのはどうですか
北向:あ、それ良いですね!
戦略×知識の戦いだ。さあどうなる、できるだけグーでたくさん進みたいけれど…
北向:「ぐ」か〜…具志堅用高。8!
ほり:グリフィンドール。8!
長い言葉を出したいけれど、とっさに出ないものだ。具志堅用高よりもっと長い言葉はないのか、グーが出ると焦る。
北向:勝った!「ぐ」か!どうしよう!
トルー:グミ!グミあるよ!
グミないよ、グリコより弱いよ。
プレッシャーに負け「群馬」で3歩すすむ。なんも出ん。
北向:あ!
林:最初に言えば良かったのに
ゴール直前に思いついたの勿体なかったな…考えることが多くて混乱するのだ。
どれだけ長い文字数の言葉を出せるか。負けたら完全に自分の実力不足という感じがするなー。これ、楽しいのでチョキ、パーでも適用してみよう。
この5秒以内に答えるルールを追加したことにより、さらに緊迫感が増した。とにかく言葉が出てこないのだ。
北向:次、ほりさん!
ほり:じゃぁ、朝鮮民主主義…
北向:あっ、やばい!
ほり:人民共和国!
しかしネタを出し切った我々は苦戦する。
ほり:ちょんまげ
トルー:グリセリン
ほり:ちょうちん
だんだんみんな5、6文字しか出なくなる。言葉の出がらしだ。普段のしりとりでちょんまげとかなかなか出てこないよな。
林:歩数と歩幅がめちゃくちゃになってる
北向:いっぺんにいろんなこと考えられない
このあたりからトルーさんが「パ」で完全に行き詰まる。
トルー:パ…パ…「パー」
トルー:パ…「パン」
トルー:パ!リ!
最終的に大股で「パリ」と歩いてゴール。
大股だめだって。
なんなら「ぐ」が一番答えやすい感じがあった。ここにきて課題だった「グー」の弱さ・不憫さを図らずも回収できたぞ。
林:その回ごとに急に頭文字決められるといろいろできそうですね。「グー」で勝ったひとは今回「へ」です。とか
トルー:「へ」と「びゃ」と「ぴょ」
北向:出るだろうなー、意外なワードが
こりゃ良いや、無限に遊べるやつだ。
小学生の時にやっても語彙力は限られるだろう。大人になった今だからこそ楽しめるルールにようやくたどり着いた。
グリコで遊ぶことも楽しかったけど、改善点を拾いながらみんなでルールを乗っけていく議論自体がとても面白いものだった。他にもいろいろ生まれたので最後に記載します。
・案1:あいこのあとにグーで勝てたら3倍進める
・案2:グーで勝つとグリコが食べられる
・案3:少ない手を出した人の勝ち(4人以上推奨)
・案4:チョキで進んでもいいけど、そこにはウミガメの卵があって横で親ガメが泣きながら見てる
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