特集 2020年8月10日

じゃんけんの「グリコ」、グーが弱い気がするのでルールを再考する

人体がかなり斜めになる瞬間もありました

じゃんけんの「グリコ」という遊びがある。主に階段などを戦いの場とし、じゃんけんで勝ったものが出した手に応じて進んでいくものだ。わりとみんな遊んだだろうこのゲームだけど、幼少期から疑問に思っていることがある。

「グーだけ弱くないか?」

この永年の疑念を晴らすべく、大人たちが寄ってたかってルールを再考したら楽しかったので報告します。

埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

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グーだけ3歩しか進めなくてかわいそうだ

遊んだことのない方もいると思うので始めにルールを説明すると、グリコはじゃんけんを派生させたすごろくのような遊びだ。
グーで勝つと「グリコ」で3歩、チョキで勝つと「チヨコレイト」で6歩、パーで勝つと「パイナツプル」で同じく6歩進める。

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所定のゴールまで先にたどり着いた人が勝ち、というもの

グーとチョキ・パーで進める歩数には実に2倍の差があるのだ。「グリコ」自体はゲームのタイトルにもなっているのに脇役感が溢れているだろう、かわいそうじゃないか。

というわけで。今日はみんなでグーを救おうと思います。

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左からライターのトルーさん、ほりさん、筆者(北向ハナウタ)。そして撮影役に編集部 林さんです

グリコで遊ぶなんて数十年ぶりだ。最終的に大人でも、というより大人だからこそ楽しむことができるルールも生まれたと思う。

それでは新ルールを5つ6つほど、どんどん紹介していこう。

いったん通常ルールで遊んでみよう

改善点を洗い出すため、まずは通常ルールでグリコをしてみよう。今回は歩数ぴったりでなくてもゴールできるルールにした。

ほり:チョキが強いですよね

普段からゲームを作っているほりさんはさすが察しが早い。
そう、チョキは強い。勝つと6歩進めるのに対して、負けても相手は3歩しか進めない(グーに負けるため)ローリスクハイリターンの手なのだ。このあたりを調整したいよなー。

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チョキが強いという刷り込みにより全員初手でチョキを出す。人間は愚かでかわいい
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スタート地点から動けないほりさん(ほりさんの右下、水色のポールをスタートとし、左回りに進む50歩程度のコースだ)
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ゲームへの素養とじゃんけんの強さは比例しないな

その後も淡々と前の二人が歩みを重ねてゴール。ふうむなるほど、反省点をあげよう。
※「階段じゃないのか」「コースが適当だ」という声もあろうが、今回勝敗は重要ではないので目を瞑ってほしい

やっぱりグーが弱い。そして緊張感が生まれづらい

林:ほりさんが弱い
ほり:泣きそうになりました

ほりさんが泣かなくてよかった〜。
確かに普通のじゃんけんと比べて、負けていることが目に見えてわかる(置いてきぼりになる)のがおもしろいところであり泣きそうになる要因だと思う。

北向:逆転が起こりづらいかも
トルー:ぼんやりジャンケンしてしまったので、意識するぐらいゲームバランス崩した方がいいかもしれないですね

▼改善点
・やっぱりグーが弱い
・戦略を考えなくてもどうにかなる
・逆転が起きづらい

よーし、このあたりを改善していこう。
まずは単純にグーを強くするところから!

かわいそうなグーを強くしよう

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グーを強くする、ということで試しに林さんが考案した”グーを「グリコーゲン」にする”案に挑戦してみよう。単純にグーで進める歩数を増やす、という平和な作戦だ。

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トルーさんが楽しそうで筆者はうれしいよ
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グーで勝ったトルーさんに「いいなーグリコーゲン」と羨望の眼差し
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グーで勝つと出る、無意識のガッツポーズ

写真を見返すとすでに楽しそうだ。
どれでも6歩進めるこのルール、始める前は

北向:言ってしまえばただのジャンケンですよね

なんて話をしていたのだけど、意外とみんなの心に”グーで勝ちたい”という気持ちが生まれ、そこに駆け引きが発生したようである。

▼感想
・ちょっとおもしろかった、平和だ
・グリコーゲンで勝ちたくなる

実は、地方ルールとしてグーで勝つと「グリコのおまけ」や「グリコス」で進むというルールもあるらしい(グリコスとは?)。やっぱりみんな調整したかったんだ。
興味深いものでは「パイナップル」を「パイナップルー」と7文字に調整するルールもあるらしい。地味に弱いからな、パー。

まあ、でもこれはグリコーゲンに慣れたらまた普通のジャンケンに戻るだろうな。ちょっと歩数調整以外で考えてみよう。

戦略性とランダム性があると盛り上がる

次は、ほりさんが事前に上げてくれた「グーで3回勝つと人生ゲームのルーレットを回せる」を試してみたい。

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人生ゲームは持ち運びづらいので、12面体のサイコロを持ってきた
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これでだいぶゲームバランスが変わってくるのではないか
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開始早々みんなグーを出す。そりゃそうだ

林:(みんなグーを出すのを見て)強欲な感じがすごい
トルー:グーと別の手を交互に出しちゃいますね

グーの過剰なボーナスに参加者の目がくらみ、明らかに戦略が生まれた。
そして筆者がいち早くグーで3回勝ちサイコロチャンス。トルーさんの「1を出せ!」コールが鳴り響くなか出た目は…

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11が出た!筆者の運が強くてすみません!
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深いガッツポーズも出てしまうというものだ

これはかなりのリードである。そして次の手でほりさんがグーで勝ち、

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出た目は、5

ほり:なんとも言えない

強くも弱くもない5に渋々と進むほりさん。あるある、ゲームのこういう瞬間。
一方、サイコロチャンスに依然たどり着かず焦ったトルーさん。あと一回グーで勝てればサイコロを振れるが…

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やっぱりグー出した!

トルーさんのグーを見越して、ほりさんと筆者のふたりが出した手はパー。恥ずかしがるトルーさんを尻目に二人は進み、ほりさんのゴールで勝負あり。これは…これはゲームっぽいぞ!

トルー:これ面白いですね
北向:何考えて戦ってました?
トルー:恥ずかしさ、ですかね
北向:あの、グーを出したときだ
ほり:パーで勝った時のしてやったり感は、今までにない戦略のおもしろさでしたね

▼感想
・読み合いが生まれた
・サイコロを振るのが楽しいし盛り上がった
・負けるとはずかしかった
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はずかしさ

ボードゲームは「戦略性とランダム性」のバランスが良いと繰り返し遊ばれるものになると言われる。このサイコロルールは今までにない戦略とランダム性が生まれたと同時に、参加者の性格も垣間見えたのが良かった。

このあと”改善案3:グリコだけは大股ルール”というのをやってみるも、「大股のグリコは頑張ってもチヨコレイト(6歩分)とほぼ変わらない」という事実がわかり消沈する。

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すごい頑張ってるけど、大きな成果はナシ
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戦略×身体能力の戦いになると思ったんだけどな。我々の運動神経の問題か

トルー:大股グリコでもこれくらいかー、とわかるとドキドキしなくなりますね

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大逆転を可能にしたいのだ

さて、課題のひとつとして”一発逆転が起きづらい”というものがあった。何かどんでん返しが起きるような、負けている人に有利なルールでもあれば…

林:離された人はジャンケンのあいだ歩いて良い、っていうのは?
ほり:盗塁みたいな

よーしやるぞ。全部やる。

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この場合、一番後ろの筆者が「最初はグー」と言っている時だけバレないように進む

バレたら一回休みという厳しいルールである。
最初は慎重ににじりよっていた参加者も、だんだんとエスカレートしていく。

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そうなるともう、下を向きながらのダッシュである
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こんなグリコ見たことない

ほり:差は縮まりましたけど
トルー:逆転はできないですね
林:ズルしてる!って感じはして良かった
林:でも、ゲーム性はないですね

▼感想
・接戦にはなる
・とはいえ、逆転まではできない(抜いた時点でバレるから)
・ズルするのは楽しい
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最終的にはこの角度だ(このターンはバレてトルーさんが一回休みになった)

あれこれルールを議論するのが単純に楽しい

林:離された人が有利になるような感じだといいですよね
ほり:マリオカートみたいな
北向:最下位だと強いアイテムが出る的な…

北向:そしたら、”グーで勝った時、ひとり1回だけ相手と自分の位置を交換できる”というのは?
ほり:あ〜、それはいいなー
トルー:最後まで盛り上がりそうですね

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ゴール直前でトップと最下位が入れ替わる番狂わせが!?

これは逆転があってめちゃくちゃおもしろいぞ!…と思ってはじめるも、結果的には消化不良に。なぜならトップを走るひとが終盤グーに負けるのを避けるためにチョキを出さなくなったからだ。

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企画者、つい本気で戦う

結局グリコによる一発逆転は発動せず。うーむ、「同じ手を連続で出してはいけない」などルールを加えればよかったのだろうか。何か妙案ないものですかね。

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ついに出る。普通に楽しいルール

ほり:グーのときだけ、「ぐ」ではじまる好きな言葉で歩いて良いっていうのはどうですか
北向:あ、それ良いですね!

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戦略×知識の戦いだ。さあどうなる、できるだけグーでたくさん進みたいけれど…

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こんなに白熱するんだな。夏の思い出にしよう

北向:「ぐ」か〜…具志堅用高。8!
ほり:グリフィンドール。8!

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トルーさんはグランバザールで7歩進む

長い言葉を出したいけれど、とっさに出ないものだ。具志堅用高よりもっと長い言葉はないのか、グーが出ると焦る。

北向:勝った!「ぐ」か!どうしよう!
トルー:グミグミあるよ!

グミないよ、グリコより弱いよ。
プレッシャーに負け「群馬」で3歩すすむ。なんも出ん。

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グラップラー刃牙(8文字)だ!着実に進めるほりさん

北向:あ!

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ひらめいた!グレートブリテン及び北アイルランド連合王国!(27文字)

林:最初に言えば良かったのに

ゴール直前に思いついたの勿体なかったな…考えることが多くて混乱するのだ。

▼感想:
・よりゲーム性が増した
・知識量が試される、楽しい

どれだけ長い文字数の言葉を出せるか。負けたら完全に自分の実力不足という感じがするなー。これ、楽しいのでチョキ、パーでも適用してみよう。

「ちょ」で始まる長い言葉、すぐに出せますか

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この5秒以内に答えるルールを追加したことにより、さらに緊迫感が増した。とにかく言葉が出てこないのだ。

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トルーさん、チョキで勝ち「チョキ」と答える。焦ってこの表情

北向:次、ほりさん!
ほり:じゃぁ、朝鮮民主主義…
北向:あっ、やばい!
ほり:人民共和国!

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もう勝ちじゃん、賢い

しかしネタを出し切った我々は苦戦する。

ほり:ちょんまげ
トルー:グリセリン
ほり:ちょうちん

だんだんみんな5、6文字しか出なくなる。言葉の出がらしだ。普段のしりとりでちょんまげとかなかなか出てこないよな。

林:歩数と歩幅がめちゃくちゃになってる
北向:いっぺんにいろんなこと考えられない

このあたりからトルーさんが「パ」で完全に行き詰まる。

トルー:パ…パ…「パー」
トルー:パ…「パン」

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2文字。行き詰まるのにパーで勝ってしまうトルーさん

トルー:パ!リ!

最終的に大股で「パリ」と歩いてゴール。
大股だめだって。

▼感想
・一番おもしろい
・「ぐ」も「ちょ」も「ぱ」もそれぞれ難しい

なんなら「ぐ」が一番答えやすい感じがあった。ここにきて課題だった「グー」の弱さ・不憫さを図らずも回収できたぞ。

林:その回ごとに急に頭文字決められるといろいろできそうですね。「グー」で勝ったひとは今回「へ」です。とか
トルー:「へ」と「びゃ」と「ぴょ」
北向:出るだろうなー、意外なワードが

こりゃ良いや、無限に遊べるやつだ。
小学生の時にやっても語彙力は限られるだろう。大人になった今だからこそ楽しめるルールにようやくたどり着いた。

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大人でも追い詰められるとパンを出す

他にもいろいろ考えました

グリコで遊ぶことも楽しかったけど、改善点を拾いながらみんなでルールを乗っけていく議論自体がとても面白いものだった。他にもいろいろ生まれたので最後に記載します。

・案1:あいこのあとにグーで勝てたら3倍進める
・案2:グーで勝つとグリコが食べられる
・案3:少ない手を出した人の勝ち(4人以上推奨)
・案4:チョキで進んでもいいけど、そこにはウミガメの卵があって横で親ガメが泣きながら見てる

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このグリコおいしい

 

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