次に調べる研究は、こちら!
物理学をパスタに応用!?科学的に正しいカチョエペペレシピ
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2025年物理学賞受賞
『Phase Behavior of Cacio and Pepe Sauce』
(パスタソースの物理学、特に不快感の原因となるダマの形成につながる相転移に関する発見に対して)
こちらの研究もとっても興味深いね!
くまちゃん、パスタ大好き~!
受賞論文を読んでみよう
パスタソースを完璧にクリーミーに仕上げることは難しい。失敗すると、チーズが分離し、ダマになってしまう。
この実験は、ソースの安定性にでんぷん濃度が影響していることを実証し、さらにチーズ濃度と水の関係がソースに与える影響を検証している。
最終的には家庭で再現可能な科学的レシピを論文中でまとめているよ。
レシピ???
論文にパスタレシピ載せていいの?
このレシピ、要約したものをこの記事の後半に載せているよ。
気になる人は見てみてね
通常、ソースにでんぷんを加えるためにパスタのゆで汁を使うことが多いよね。
この論文では、ゆで汁だと温度や濃度の調整が難しいから、かわりに片栗粉やコーンスターチを使うとうまくいくよってことを言っています。
ちなみにソースにでんぷん(コーンスターチ)を入れるレシピはキング・オブ・カルボナーラの異名を持つLuciano Monosilio氏の動画からヒントを得たとのこと。
この論文が引用している文献は51本。面白い論文ばかり!
さてここからはこの論文の先行研究を紹介していくよ。
紹介する論文は、
- チーズフォンデュのうまさの流動学!?
- ラザニアをMRIで検査!?
- カエルから学ぶアイスクリーム
の3本です。
論文①『チーズフォンデュのうまさの流動学!?』
「Rheology of Swiss Cheese Fondue」
(スイスチーズフォンデュのレオロジー)
フォンデュの材料とそれらの相互作用がチーズフォンデュの安定性とレオロジー(流動学)に及ぼす影響を評価した研究。
ひらたく言うと、チーズにでんぷんを入れることで、分離しにくくなり、パンによくからんでおいしくなる、ということを科学的に検証した研究だよ。
味に関わる要素をレオロジー(流動学…ざっくりと言うと液体と固体の中間ぐらいのものを物理学で研究する学問)で検証しているのがおもしろいね。
検証の結果、総水分量に対して3%の重量のデンプンを入れることで、チーズの分離を防ぐことができる、という結果が出たんだって。
また、ワインを加えるとphが下がり、フォンデュがサラサラになってしまうらしい。
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アルコールは消化を助けると言われているけど、逆に胃の中で分離し、消化・吸収を妨げて、遅れて満腹感がやってくるらしい。
フォンデュを食べた後、満腹すぎて苦しくなる理由はこれかもね。
でんぷん、チーズ、今回の受賞論文のまさに直系の先行研究と言っていいでしょう。
この論文は『チーズと水の混合物は加熱すると分離しやすい』ということを示した先行研究として受賞論文で引用されています。
もう1つ別の先行研究も見てみよう。
論文②『ラザニアをMRI検査!?』
「Textural and structural changes in lasagna after cooking」
(調理後のラザニアの食感と構造の変化)
調理後のラザニアが、時間経過でどのように食感が変化していくかを、NMR(核磁気共鳴…MRIに似た機械)などで調べた実験だよ。
この実験では3種類の茹で時間のラザニアが用意された。
- ゆで時間「9.5分」
- ゆで時間「11分」
- ゆで時間「15分」
の3種類のラザニアの状態変化を計測し、比較する。
結果、長くゆでるほどパスタ内の水分が中心に移動していき、表面が乾き、弾力が失われ、やわらかくなるということがわかった。
「のびのびふやふやのパスタはおいしくない」ということはみんな知ってるけど、そのメカニズムを解き明かしたということに価値があると言えるでしょう。
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この論文はパスタが調理中にどのように変形するかを実験的・理論的に研究した論文の1つとして受賞論文に引用されているよ。
さらにもう一つ先行研究を見て行こう。
論文③『カエルから学ぶアイスクリーム』
「Phase separation in food material design inspired by Nature: Or: What ice cream can learn from frogs」
(自然に着想を得た食品材料設計における相分離:あるいは:アイスクリームがカエルから学べること)
アイスクリームやチョコレートは温度変化に弱い食べ物だけど、水、ゼラチン、脂質結晶などを加えることによって安定させている。でもまだ十分に強いとはいえない。
一方、カエルは卵を守るために体液を分泌しているんだけど、その体液は複合タンパク質でできていて、様々な変化に強い構造を持っている。その構造を応用することで、アイスクリームをより安定させることができるのではないか、という提案をしている論文だね。
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論文の末尾で、「化学、物理学、生物学、数学の境界を越え、これらの原理をさらに解明する学際的なチームを結成する必要がある」とあるよ。
研究が研究に与える影響は、時に分野のカベも乗り越えていき、新しい可能性を生み出していくんだね。
この論文では料理の世界において、相分離(というのがあるらしい。「熱力学的な状態」が分離する、みたいな意味)が重要であることを示した論文の1つとして引用されているよ。
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コーナー
さて…ここからはコーナーです。
せっかくなので、今回の受賞論文のレシピでカチョエぺぺを作っていくよ。
比較対照するために、普通のレシピと、イグノーベル賞レシピの両方を作って食べるよ。
まず、ソースにでんぷんを入れない、普通のレシピで作ってみるよ!
結果から言うと、普通に大失敗しました!
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ダマができる、というかダマしかない…
作る前は「普通のレシピでおいしくできちゃったらどうしよう♪」とか考えていましたが、全然心配なかったですね。
- チーズにパスタのゆで汁を入れた時点でもうダマになっていた
- 全然、乳化せず、チーズが固くなっていった
- どうにかしようと思って、ゆで汁を足せば足すほどチーズが固まっていった
材料がシンプルな分、作り手の技量が問われる料理と言えるでしょう。
イグノーベル賞カチョエペペのレシピ
さて、いよいよ真打登場。
イグノーベル賞のカンタンレシピです。
※論文中のレシピを要約し作成しました
カチョ・エ・ペペ(空腹の人2人前)
■材料
- パスタ(トンナレッリ推奨) 300g
- チーズ(できればペコリーノ・ロマーノ) 200g *量はお好みで。最後にふりかける用に分量外のチーズも用意しておく
- 粉末でんぷん(片栗粉やコーンスターチ) 5g
- 水(粉末でんぷん用) 50ml
- 水 100ml
- 黒コショウ 少々
- 塩 少々
*「トンナレッリ」は「マッケローニ・アッラ・キタッラ」とも呼ぶ。普通のスパゲッティやリガトーニでもよい
*チーズについてパルミジャーノ・レッジャーノを30%まで使用してよしという意見もあり
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■作り方
【A】ソース
- チーズは事前にハンドブレンダー等で均質化しておく *手作業ですりおろすとバラつきが生まれるため
- 粉末でんぷん5gを水50mlに溶かす。
- 「1.」を弱火で加熱し、とろみがついて濁った状態からほぼ透明になるまで加熱する。
- 100mlの水を入れ、温度を下げる
- チーズを入れ、均一に混ぜ合わせる
- 仕上げに黒コショウを加える *事前にフライパンで炒っておくと風味がよくなる
【B】パスタ
- 塩を軽く振ったお湯でパスタをアルデンテになるまで茹でる。
- 湯切りをする。この際、ゆで汁を少量残しておく
- 1分ほど冷ます
【C】仕上げ
- パスタとソースを混ぜ合わせ、均一に絡めます。
- 必要に応じて取っておいたパスタの茹で汁を少しずつ加えて濃度を調整する。
- お召し上がりの前に、すりおろしたチーズとコショウを添える
レシピの通りに最初に水に片栗粉(じゃがいもでんぷん)を溶かし、そこに水を加えたものでソースを作っていくよ。
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大成功!! 1回目と同じ料理だと思えないね。
- 普通のレシピより全然ラク!
- 片栗粉でソースを作ると、タイミング合わせもゆるくて大丈夫
- 苦労することなくあっさり乳化に成功
イグノーベル賞レシピ、めちゃくちゃすごいです!
これは素晴らしい。
ところでソースに片栗粉(じゃがいもでんぷん)でとろみをつけて、コショウを利かせたパスタソースを、もちもちの太いパスタに絡めるのって何かに似てるような。
これって名古屋のソウルフード、あんかけパスタじゃない…!?
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名古屋とイタリアの意外な共通点に気づいたところで、またね。
この記事は読者投稿でお送りいただいた記事です。
編集部より寸評
デイリーにはあまり載ってないタイプの、論文を掘っていく記事です。後半には実践パートもあり、とても面白かったので掲載することになりました。
単に面白い論文の紹介ではなく、それらの関連まで紹介していくことで、論文の(あるいは学術の)世界の面白さが垣間見られるいい記事だったと思います。
個人的には「ここからはコーナーです」が好きなんですよね。何?と思ったけど面白かったのでそのまま載せさせてもらいました。(編集部・石川)
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