アレンジも色々できます
さらにこのレシピは簡単にアレンジできるので、自分だけの「エルヴィス○○」を作るのも楽しい。例えば「エルヴィスピザ」はどうだろう?
ピーナッツバターとクリームチーズを混ぜてピザクラストに塗り、その上にベーコンとバナナとチーズを乗せて焼いてみた。構成要素はエルヴィスサンドと殆ど同じなので、問題なく美味しかった。
以前、DPZで私の蕎麦がき普及活動を取り上げてもらったが、「エルヴィス蕎麦がき」も作ってみた。
水の代わりにバナナジュースで作った蕎麦がきをバターで焼き、その上にピーナッツバターと生クリームをあわせたものを乗せる(ベーコンは使ってないが、横に添えても良いだろう)。
ハワイをこよなく愛したエルヴィスのために、フルーツを盛り付けてハワイ風パンケーキっぽく仕上げてみた。日米文化を融合させたこのメニューは、エルヴィスに憧れて歌手になった坂本九を思い出させる。
他にもホットサンドやお餅で作ってみても良いだろう。え?どれもカロリーが気になる?心配はいらない。カロリーなんて概念は平成に置いてきたのだから。
「私の寂しさを分かってくれるのは、エルヴィスだけかも」
台湾の映画監督、故エドワード・ヤンの代表作に『牯嶺街少年殺人事件』という作品がある。行き場のない少年たちを優しく包むようにエルヴィスの『Are You Lonesome Tonight?(今夜はひとりかい?)』が使われているのだが、エルヴィスの魅力はまさにそれだ。
今よりずっと繊細だった若かりし頃。鮮やかなクリスマスイルミネーションで彩られた町を、一人ぼっちで歩いた夜。家に帰ってからエルヴィスの『Blue Christmas』を聞いて、(誰とも共有できない私の寂しさを分かってくれるのは、この人だけかも)と涙した。彼の歌声には、そんなマジックがある。
常に私のそばに優しく寄り添ってくれる存在を得たおかげで、なんだか1人でいるのも辛いこととは思わなくなった。で、気付いたら家の中にエルヴィスが数百人いるような状況に。
エルヴィスサンドが食べられるお店も探してみよう
勿論、自分で作るだけではなく、お店でプロの味を楽しむのも良い。エルヴィスサンドを提供するお店は割とあるので、「お住まいの地域+エルヴィスサンド」で検索してみて欲しい。エルヴィス好きの方がやっているお店では、彼の曲を聞きながら食べたりもできる。
先日は京都のエルヴィスサンドを出すサンドウィッチ屋さんに行ってみた。
美味しそうなアメリカンサンドウィッチが並ぶメニューの中にあった!
美味しいエルヴィスサンドを頂きながら店主の方と色々お話したのだが、若いお客さんだと「エルヴィスサンドって何ですか?」と聞かれるより「エルヴィスって何ですか?」と聞かれる方が多いそうだ。
一瞬残念に思ったが、やっぱりエルヴィスサンドをきっかけに「エルヴィスって何?」という疑問が生まれてるじゃないか!そうそう、それで良いんだ。その中から例えひとりでも「曲でも聞いてみるか」なんて思う人が出てきたら最高だ。
エルヴィスサンドはエルヴィスそのもの
長年エルヴィスの魅力を伝え続けてきた、音楽評論家の湯川れい子さんはこう語っていた。
「エルヴィスの汗だけは涙に見える」
情熱的な汗が悲しい涙に見えてしまうような、相反する魅力を同時に携えるエルヴィス。甘さとしょっぱさが同居するエルヴィスサンドは彼そのものだ。
京都のSUBSサンドイッチストアのエルヴィスサンドは皆が頼むというよりは、固定客がついている感じだそうだ。はじめは怖いもの見たさで頼んだ人も、はまってしまうと次からはエルヴィスサンド目当てで来るようになるという。
怖いもの見たさでも良い。その悪魔的魅力の一端を味わってみたら…。きっと、あなたも好きにならずにいられない。