豊島屋で購入したのは、鳩サブレ…ではなく、鳩ごよみ。
四季折々の図柄が描かれた麩焼きせんべいだ。
大人向けのベビーせんべいみたいな味で美味しかった。
海岸沿いのアスファルトに腰掛け、黄昏る。子どもが遊んでる。カモメが飛んでる。サーファーが波に乗ってる。ちょっと雨が降ってきた。アスファルトって硬いな。尻痛いかも。
実体のないものが出現することや、またその逆に耐性がない。
昨年、当サイトが開催した『砂糖水スタンド』というイベントがあった。
貸店舗にライターや読者が集い、砂糖水を飲む、というイベント。わたしは、その店のすぐ近くまで行った。横断歩道越しに見た店には、おそらく読者と思われる人たちがたくさんいて、大変繁盛していた。で、なんか『ワッ…』てなって帰った。
『ワッ…』というのは、決して嫌だったとかそういうことではない。今まで実体のなかったフンワリした存在が突如肉体を持って現れたことに対する驚きの『ワッ…』だ。みんな、実在する人物だったんだ。そうか。そうですか。了解です。帰ります。
要するに、ICカードに2万円チャージする行いは、その逆なわけである。
この例え、下手ですか?
10分ほど経ったところで尻の痛みが限界に達し、由比ヶ浜を後にした。尻の肉がなければ、黄昏れるのもままならない。
電車に乗って、もっと遠くまで行こうかと思った。内心かなり悩んだ。嘘。即決で帰ることにした。目的地を2、3件ハシゴするのは困難。体力が無いから。外出は、帰る元気があるうちに帰った方がいい。
2万チャージしたとて。したとて…。
チャージ額を使い果たすほど遠くまで行く体力はないし、『2万円がチャージされたICカードを持っているんだ』ということも一瞬で忘れる。
変わらない。人間。
変わらない人間がいつもと変わったことをしたって、その人に変化がない以上何の展開もないし。
以前、友達の加藤(10年来の友達。いつも記事を手伝ってくれる)に、『Suicaに2万円チャージするって記事を書こうと思うんだよね』と相談したことがある。加藤は即座に『そんなことしても佐伯は何も変わらないよ』と言った。
わたしのことをよく知っているな。すごいな。
そんな加藤も今度結婚する。多分、引っ越しとかもする。なんか、いろいろあるんだと思う。
変わっているのか。わたし以外、みんな。
まぁそういうこともあるか。
帰り際、豊島屋の本店でお買い物。もちろん会計は交通系ICカードで。
店頭に顔はめパネルがあった。
わたしには、いつか顔はめパネルに臆せず挑める人になりたいという、うっすらした願望がある。
そしてこの瞬間、今がその時かもしれないと思った。
やってみた。初めての顔はめパネル。
顔はめパネルって、顔をはめるだけだから疲れない。結構いいもんだな。顔面も涼しいし。穴に顔をかざすだけで陽気そうな演出が出来るのは、かなり得。発明だ。
またやろう。顔はめパネル。
高額チャージはもういいかな。
豊島屋で購入したのは、鳩サブレ…ではなく、鳩ごよみ。
四季折々の図柄が描かれた麩焼きせんべいだ。
大人向けのベビーせんべいみたいな味で美味しかった。
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