社会人になりたての頃に作った下駄ができました
24歳の頃に完成することができなかった下駄が平成から令和と年号をまたいで完成した。サイズは小さいがちゃんとはける品物なので、記念に大事に取っておこうと思う。
会社の掃除をしていたときのことだ。誰のものでもないバッグから木の工作物が出てきた。捨てようと思ったが思い出した。これ自分のだ。
7年前に会社にあった工具を使って作ろうと思ったのだが、ある理由で放置していた。せっかくなので完成させようと思う。
今から7~8年ぐらい前、自分の中で下駄を履きたい欲求に駆られたときがある。値段が高かったり、デザインが気に入ったものがなかったりと色々考えながら見ているうちに「せっかくだから自分で作ろう!」と思ったのだ。その様子をブログにまとめようと写真を撮りつつ作り始めた。
そして、ほぼ完成のところで「楽しみはあとで取っておこう」と次の日に完成させようとした。それが絶望へのカウントダウンであった。
次の日、カメラを使う仕事があり、使おうとしたところ「メモリーがいっぱいです」と表示されたので、全件削除を押した。「あ、しまった!」と思ったが、時すでに遅しとはこのことである。下駄作りの写真も消えて、やる気も消えた。遅しってお寿司に似ていると今思いました。お寿司食べたい。
そのまま放置していたのだが、このままじゃただのごみになってしまうので、完成させようと思う。
まずはどのぐらいまでできていたのか。みんなで見ようよ。
未完成っぷりを見てもらったところで、過去を乗り越えるために下駄を完成させよう。
もしかしたら、あのとき下駄が作れていたら工作ライター兼靴職人として生きていたかもしれない。今はチャーハンやカレーを無限に食べたりしている。人生わからないものだ。
とりあえず、鼻緒代わりのひもを通すための穴がせまいので、広げていこうと思う。
昔はきりを使って時間をかけて穴を開け、会社の床を木くずだらけにして問題になったこともあったが、今ではいい思い出である。2020年は電気の力を使って一瞬で穴を開ける時代です。未来だ。
この後、ちゃんと使い方を説明書で確認したら「強く押せば回転します」と書いてあった。強く押して回転させよう。
レンコンぐらい縁起がいい穴が開いた気がする。ここの穴にひもを通せば頭の中では完成だ。
つま先しか固定がされていないので、とても歩きにくい。どうすればいいのかと思い、下駄を画像検索してみたら解決した。
ひもを通すための穴を大きくしたりしながら試行錯誤を重ねて1時間ぐらいで完成した。なんやかんやで構想8年の大作です。
正直な話、「できなかったです!」という記事になる気がしていたが、かなりいいものができてしまった。
さっそくはいてアパート内を歩いたら、音がかなり響いてしまう。木のきれいな音もあるが、何か金属音のような音が。あ、下に付けた釘のせいだ。騒音騒ぎを心配しながら外に出るまでは靴で行った。
歩くとコツンコツンと気持ちのいい音がして、歩くのが楽しくなる。いい下駄だが、どのぐらいまで動いても耐えられるのか。走ってもいいが写真ではわかりづらいと思うので反復横跳びをしてみた。
普通の靴を履いているような軽やかさ。これだけ動いても壊れないのだ。長時間の歩くのは無理かもしれないが、近所を歩くぐらいならこれでいい。
下駄を履いたらやってみたいことがある。子どもの頃よくやった天気占いだ。
24歳の頃に完成することができなかった下駄が平成から令和と年号をまたいで完成した。サイズは小さいがちゃんとはける品物なので、記念に大事に取っておこうと思う。
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