外国在住の興味関心や悩みは今も昔も変わらなかった
50年弱の月日が経過した雑誌だが、今の外国在住日本人と当時のブラジル移住日本人で、悩むことや関心事はほとんど変わっていなかった。日本国内における外国人との共生のヒントや知恵も、実はこの雑誌にあるかもしれない。
日本にいるブラジル人の多くが日系ブラジル人だ。彼らに会って話を聞くと、この雑誌のことを思い出して語ってくれるかもしれない。
見たこともない古雑誌に出会った。日本語の雑誌だが、どんな雑誌だろう?と検索しても、古すぎるのか詳しい情報が見つからなかった。
雑誌の名前は月刊セクロ。
ブラジル・サンパウロでおよそ45年前に発刊された雑誌だ。古いだけではなく、海の向こう、いや、地球の裏側で発刊された日本人移民向けの雑誌だった。
僕は夢中になって読み進めた。
1975年頃の雑誌というだけでも面白いのに、さらに地球の裏側の日本の移民がブラジルで発刊していた日本語雑誌であり、二重で面白い。面白いに決まってる。
当時30歳の人が記事や漫画を書いていても、今では75歳ということになる。
いったいどんな内容なのだろうとページを開いていく。
それぞれの号をパラパラとめくる。
日本の雑誌同様、記事と日本語の広告があって、中には漫画もある。
記事の内容は有名人スキャンダル、酒と食事、色に溺れた男女の話と定番だ。探検系もあり、本当に「一行はアマゾンの奥地に行ってみた」記事がある。
加えてブラジル在住ならではの苦労話や記録の話がある。今も外国で発刊される日本人向け雑誌にはよくあるネタだ。
「ブラジルは物価は安いけれど、日本食の値段は物価高の日本と変わらない。昼食は日本のサラリーマンランチ(800円)並みで、生魚は高くて、かといって板前の腕がいいわけでもない」と書かれている。今も世界中で日本人が愚痴りそうなことが書かれている。
それにしても当時の日本円で800円となると、今よりも高いのではないだろうか。
また当時の日本料理屋の習慣で、頼んでなくてもあれもこれもとどんどん料理の小皿を出してくるので、結果高くつくといったことが書かれていた。
いつの時代も、海外の日本料理屋のちょっと異なる習慣に合わせる努力が必要みたいだ。
ネットがない当時、人間関係でいいたいことはおそらく食事の席や、ご近所さん同士で噂話として発散していたのだろう。そしてこの雑誌でも。
日本的な人間関係が嫌とか、若い人は駄目だとか、奥さんが素敵だとか、女房には文句は言わせないとか、現地で騙されたとか、今でもありそうな話がもりだくさんだ。
月刊セクロの広告を見ると、ソニーやナショナル(現パナソニック)やNECやサンヨーなどの家電メーカーの名前があった。テレビはまだ白黒テレビとカラーテレビがどちらも売られている、と書かれていた。
あとは飲み屋の広告や、業務用の工作機械、それにブラジル国内旅行や日本帰国のための旅行社の広告が目立った。地球の裏に移動するには途中で何回も乗り換えねばならず、費用も時間もかかるのだ。
他にも有名人のブラジル秘話的な記事があるんだが、なにせ50年近くも前で、よく知られてそうに書かれている人でも、アントニオ猪木の真相記事くらいしかわからないのだ。
それ以外の当時のブラジル日本人社会を感じるおっ!と思えた記事を紹介しよう。
50年弱の月日が経過した雑誌だが、今の外国在住日本人と当時のブラジル移住日本人で、悩むことや関心事はほとんど変わっていなかった。日本国内における外国人との共生のヒントや知恵も、実はこの雑誌にあるかもしれない。
日本にいるブラジル人の多くが日系ブラジル人だ。彼らに会って話を聞くと、この雑誌のことを思い出して語ってくれるかもしれない。
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