自由ポータルZ 2020年9月25日

オンリーワンのメンバーカラー・中野の大正時代の刑務所の跡~自由ポータルZ

こんにちは、編集部 石川です。

ご投稿いただいた記事に編集部員がコメントするこのコーナー、取り上げる作品やコメントは打ち合わせをして決めているわけではなくて、林・古賀・石川の3人が自由に決めて自由に書いています。書くタイミングもバラバラ。なので全然違う作品を選ぶこともあれば、逆に内容がかぶることもあります。

今日は2本目に紹介するあわうみさんの記事を林と石川がコメントしていますが、同タイミングでほぼ同じ内容が編集部チャットに流れ、思わず変な声が出ました。

結局、林がちょっと書き換えてくれたので違和感なく仕上がっていると思います。サンキュー、編集長!(上司へのお礼をサンキューで済ませられるフラットな職場)

では今週の自由ポータルZです。

自由ポータルZは毎週金曜日に更新の記事投稿コーナーです。読者の方が執筆した記事をご紹介しています。

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【もう一息】約1700人のアイドルの「メンバーカラー」を調査してランキングにした

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[投稿者]塩田きいさん (note
[コメント]初めての投稿です。アイドルが好きだという気持ちだけで 、Wikipediaの「日本の女性アイドルの一覧」を網羅しました。

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古賀及子のコメント

調査対象自体が「アイドル」の「被り避け」とかなりニッチなものの、テーマが「色」とかなり一般的なので入っていきやすいです。


1740人を調査するところですでに本気度は伝わるんですが、

>次あたりから、本題の「マイナーカラー」になってきます!
>色の区分が細かくなってきました!!いいよいいよ!!!!!

このへん、流れにのって文章にも興奮があって引き込まれました。

急なビッグバンによって「多い」が生まれたのも最高です。

調査後のまとめもしっかりしていて、読むと本当にアイドルのメンバーカラーについて知見を得てしまう記事でした。

ただ、後半とくに感じるんですが、どうしてもテーマの性質上つっこみ待ちをつっこんでしまう流れなんですよね。

もちろんそういう記事はあってぜんぜん良いと思うのですが、デイリーポータルZの編集者としてはつっこまれたい人は誰かが存分につっこむだろうから、私たちはそうじゃない、致し方なくやむを得ず面白くなっているものを探すのが良いんじゃないかと思ってます。

そういうネタを見つけたらぜひぜひ! また投稿してください!

 

【もう一息】中野に大正時代の刑務所の跡が残っていた

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[投稿者]あわうみさん (足跡を辿る
[コメント]中野に刑務所があったとは知らなかったので跡地の公園に行ってみました。

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石川大樹のコメント

40年も前のレンガが公園に適当に転がってるの、めちゃくちゃ面白いですね!しかもそれに誰も気づいてないという…。これは興奮しました。

発見のある良い記事だったと思うのですが、たまたまひとつ前のエントリ(新人賞落選の話)が目に入りまして、「おもしろいことをおもしろく伝えるにはどうしたらいいか」ということが書いてあったので、改善点を中心にコメントさせていただければと思います。

まず現状、自分の体験したことが時系列で書いてあると思うのですが、そうすると記事にメリハリつけるのって難しいんですよね。うまくやればできるのですが、技量がいるというか。なので時系列を崩すことを勧めています。具体的にどうするかっていうと、一番書きたいところ/一番面白いところがどこかを考えるといいと思うんです。

僕がこの記事で一番面白いと思ったのは、先ほども挙げたレンガのくだりです。そうすると例えば、記事の最初にレンガが転がってる公園の写真を何枚か出して、「これは近所の公園の地面に落ちてるレンガなのですが、実は40年近くここに転がっていることがわかりました。というのも…」的に話をスタートさせると、ぐっと興味を引くと思います。

で、残りの3つは「正門」「土塁」「塀」ではっきり章を分ける。これで記事全体が構造化されて見通しやすくなります。

あとはわかりやすくするだけでなく、意識的に「おもしろくする」のが大事です。神社の移転のくだりで「今はどこ住み?」って書いてあるのが面白かったのですが、こういう冗談をじっくり考えてたくさん入れていきます。

こういう練習をやっていくとぐっとエキサイティングな記事が書けるようになると思います!ぜひまた自信作ができたらご投稿ください…!

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林雄司のコメント

あんな住宅地に監獄があったこと。そしてそのカケラがまだ残っているのが意外です。地図で調べて、実際に行くと興奮しますよね。

なんでもない景色が知識があると意味を持って迫ってくるのが。僕も地図や歴史は好きなのでこういう記事を書きますが、地味なんですよね。もとから興味を持っている人しか読まないジャンルではあります。

その点、「中野に大正時代の刑務所の跡が残っていた」というタイトルはキャッチーだと思います。もうちょっと工夫するとしたら…現地に行くまでの地図や写真はカットしてレンガから始めるのはどうでしょう。(ここは石川の指摘と丸かぶりですね)こういう地味な題材をかんたんに魅力的に見せる方法は人(はしゃぐ人を連れて行く、はしゃいでいる自分の姿を入れる)なんですが、協力者がいないと難しいですよね。でも、文章で人を出すこともできます。

レンガを持ってみて、肌触りとか重さがなにのようだとか。持って帰ろうとしてカバンのなかがジャリジャリになったとか。個人の感想をばんばん書いてください。読んでいて印象に残るのって知識じゃなくてエピソードなんですよね。あと数字。数字は比喩を入れて面白くできるチャンスなので、立ち止まって考えてもいいかも。

「40年近くこの場所に誰にも見られずいた」この40年を、「バスの旅に出てる太川陽介がアイドルだったぐらい昔」「新幹線が丸っこい車両しか走ってなかったころ」とか。

かなり僕のやり方で汎用性があるか不安ですが、ちょいちょいサービスを挟むと記事が柔らかくなると思いますよ。

 

Tips:読者とドキドキを共有することの難しさ

今日のあわうみさんの記事に限らずですが、何かを探しに行って、あるかな、あるかな…って興奮して、やっと見つけた!という体験は、自分にとってはすごい興奮です。でもそのまま文章にしちゃうと、その体験って意外に伝わらないんですよね。なぜかというと、現場で探している自分が知っている背景や、その場で見て/聞いている情報と、文章を介してそれを読んでいる読者の持っている情報では、情報量が違いすぎるんです。読者は2分前に記事を読みに来たばかりのお客さんなので。一緒にドキドキさせるのは無理ではないけど、難しい。

と考えると、「読者のドキドキのために、あとから見つかる事実を隠しておく」というのは実はあまりいい手ではなくて、「おもしろい発見は先に見せてしまう」というのが正解だったりします。

ポップミュージックはサブスク時代になってサビ始まりの歌が増えたと聞きますが、Webも同じですね。ブログ単位で熟読する時代から、SNSで流れてきたのを記事単位で拾い読みする時代になったので、面白いところから始める記事が強いです。

ではまた来週!

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