パン屋で1個だけ
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もっと悩むかと思いきや、即決。たしかに、1個だけとなると、定番商品よりも一期一会な季節商品の方を選びたくなる気持ちはわかる。
決めきれないわたしは、もう一度店内を回ってみる。「サンドイッチいいね」「明太フランスも美味しそう」などと言ってはみたが、心の中で答えはもう決まっていた。わたしは加藤が選んだパンの隣にあった、同じく季節限定の春野菜のピザを選んだ。
ミスドで1個だけ
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最早、人生で何度行ったかわからないミスドである。
ずっと前から、本命は決まっている。だから、「1個だけ」と言われても、迷うことはなかった。
いつもはなんとなく複数個買ってしまうが、自分の中のナンバーワンを1つだけ、目にもとまらぬ速さで買う日があってもいい。
デパ地下スイーツを1個だけ
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加藤がフィナンシェ好きで、しかも普段の買い物でもレジに行くスピードが早いのは知っていたが、それにしたって、である。
もしこれが恋愛リアリティーショーだったら、視聴者驚愕の決断力だ。
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せっかく1個だけなら珍しいものを。もしピンと来ない味でも体験としておもしろそうなものを、という考えだ。恋リアならスタジオコメンテーターからブーイングが飛ぶであろう、打算が多分に入った選択である。でも後悔はない。
デパ地下の惣菜売場で一個だけ
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今までと比べると圧倒的に多い選択肢を前に、何も考えられなくなる。
「黒毛和牛入り肉みそのジャージャー麵…」「サーモンとアスパラのキッシュ…」など目を輝かせていた加藤も、次第に疲れの色が出て来て「なんかもうカレーとか食べたい」と言い出す始末。
気をしっかり持ってくれ!と思いつつ、しばらく歩いていると、ある店の前で足が止まった。
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自分のレビューを信じた手堅いチョイス。デパ地下らしいツヤツヤの質感もすばらしい。
一方のわたしは、加藤の会計待ちをしている間に覗いた隣の店の商品にビビっときた。
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ゆばあげ。見たことあるようなビジュアルに、聞いたことのあるワードの組み合わせ。しかし、明確に知らない食品だ。
「ロール状にした湯葉を揚げたものかな?」と思って原材料を見たら、一番最初に「魚肉すり身」の表記。想像と違いそうだけど、これは絶対美味しい。直感を信じて、レジに直行した。
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一個だけパーティー
全部の店を周り終えたので、公園で実食する。
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ここにあるのは全て、数多ある選択肢の中から1つだけという縛りの元、厳選した逸品。高倍率を勝ち抜いて来た猛者たちである。そう思うと、一層輝きが増す。
どれから食べよう。なにせ全部イケているから困ってしまうが、ここはやはり、中でもひと際イケイケなゆばあげからだろう。
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食べた瞬間、3個入りを選んだことを後悔した。隣に置いてあった5個入りにすればよかった。
味と食感は、さつまあげと厚揚げの良いとこどりした感じ。しっとり、むっちりな噛み心地を堪能しながら咀嚼していると、程よい魚肉の旨味が口に広がる。これはビールにも合う。
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加藤の穴子弁当も一口もらったが、期待を裏切らない美味しさだった。
悩みぬいた分だけ旨味もアップする。
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一個だけフィルター
買い物とはたくさんある物の中から選ぶ行為である。だからどうしたって、手に取ったものは特別なのだが、「1個だけ」のフィルターをかけると、より宝物感が増した。
もっと慎重に、時に大胆に買い物を楽しむためにも、「1個だけ」の縛りは有用かもしれない。
あらかた食べ終わった頃、どこからともなく現れた小学一年生女子が会話に参加してきた。
子どもがやや苦手な二人である。ランドセル何色?どこ小?今何流行ってんの?てか1人?大丈夫そう?など、ありきたりなことを問いかける。
彼女は芝生の上を転がりながら『だり〜』と言わんばかりの顔で質問をかわし、そしてほふく前進でこちらに近づく。
「なんで飲み物2本飲んでんのー?」
さっきコンビニでバカスカとカゴに突っ込んだ氷結と麦茶を目の前に置く加藤に、クスクスと尋ねた。
たしかに子どもって飲み物2本同時に開けることないか。加藤は「こっちは毒で、こっちは解毒剤」と説明した。

