ボタンは想像力を養う
最近の若者は想像力が欠如してるとよく言われる。だからすぐ感情だけで動いて犯罪を犯してしまうのだ、と。それが真実かどうかは分からないけれど、今回のような「押そうと思ったら押せるけど、押しちゃいけないボタン」が子供の頃から身の回りに多いとちょっとした自制心と想像力を育てるのではないだろうか。
でも、自分が大統領にでもなってメモ帳の脇に「核 きけん」と書かれたボタンがあったら毎日押したくてしょうがないだろなぁ。でも、それを押さないのが真のオトナだぜ。
休み時間、突然鳴り響く火災警報。一瞬騒然となるも、生徒も教師も「またかよ、誰?」って表情を見せる。また隣のクラスのいたずら者が押して逃げたみたいだ‥小学校なんかでよくある一シーン。でも、自分もあの禁断のボタンを押してみたいと思ったことはないですか?
ダメと言われるからこそ押したくなる‥。オトナの常識と自制心、そして好奇心をせめぎ合わせる街のボタンを集めてきました。
※2006年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
「押してはいけないボタンを押す」定番というと、いわゆるピンポンダッシュ。だが、最近ではそういうイタズラの話もあまり聞かない。集合住宅が増えた、カメラやセキュリティ付の家が増えたというのもあるだろうが、有名人の家なんかはいまだにやられたりするのだろうか?
学校の近所にヤの付く職業の人とウワサされる自宅があり、そこをピンポンダッシュ出来るヤツは勇者だ、という伝説があった。ド田舎のくせに玄関前にカメラもあるだけに確かにチャレンジには困難を伴った。一度やったら二度とその家の前は通れないだろう‥。竜王やシドーよりもリアルで怖い存在として身近にあった。
「自転車で駆け抜けながらはどうか?」「顔隠しながらは?」いろいろアイデアは出しあったが、結局卒業まで誰も実践できなかったように覚えている。
年を追う事に夜がどんどん明るくなり、夏の頃やってた「きもだめし」が出来なくなった。闇が無くなっていく替わりの新たなきもだめしがピンポンダッシュだったのだろう。その行為の先にある闇はきもだめしより深いと知ってたからか、勇者は誰もいなかったけど。
そして前述の火災報知器、ちょっと今風バージョン。
近所の立ち飲み屋の一階にあった、ご存じ火災報知器。
とはいえ、小学校にあったような赤いマルのやつとはちと違う。火災が起きるとランプがついたり、声が聞こえたりするっぽい。「停止」ってボタンもあるから、一瞬押したら即止めれるのかも‥と思うと指先がフラフラと‥いや、イカン!押しちゃダメだ!こういう「ちょっとだけなら」と思わせるのが一番コワイ。
ただこの店の場合、ボタンを押す時のドキドキよりも上の階がニューハーフクラブ、さらに
というので、大騒ぎになった時の風景がちょっと興味ある。これ押したらどんな人が周囲のビルから出てくるのか‥いや、もちろん火災はダメ、ゼッタイ。イタズラもダメです。
これらのボタンは「押そうと思ったらいつでも押せる」のが誘惑の理由。火災報知器みたいにカバーがついてるとムリヤリ割ったりしなくちゃいけないだけに、まだ自制心が働く。このボタン一押しでこの地に混乱が‥そんなカオティックな魅力を持つボタンが意外なほど街には転がっている。
そんな「押したいけど押しちゃいけないボタン」、がゴロゴロしてるのが駅・電車の類だ。
人が線路上に転落した時のための非常停止ボタン。駅によっては結構な数が設置されている。
よく「電車を止めたら1千万円鉄道会社に支払わなければいけない」という噂を聞く。ホントかどうか知らないが、そう聞くと軽い気持ちでは押せない。そもそも押さない機会が多いにこしたことはないが。だが、そういう噂がシャレや酔った勢いで押す人を減らしてるのかも。としても、まだまだ多いよ駅のボタン!
いろいろボタンがある中で、一番押してみたいのがこのボタン。正確にはボタン&マイク。
「1番ホームより入ってきます電車は××線△△行き‥」と駅員がアナウンスする時に使われるマイク。駅によっては小さな箱に収められてるものもあるが、近所のT駅はこのようにムキ出し。駅員のスキを見て、パッと手にとることも可能そうだ。
電車が停まると「鉄腕アトム」の曲が流れるので有名なこの駅、あえて「ジェッターマルス」の歌でも歌ってみるとか?
一番押してみたいボタンが駅のマイクなら、一番しつこく誘惑するボタンがN駅のエスカレーター。「押したい気分を耐えさせるために作ったんだろ?」と思わせるような気すらさせられる。
一見普通のエスカレーター、でもこれについた、車椅子輸送用&緊急停止ボタンがちょっとすごい。
スムースにエスカレーターが流れる中、約3秒おきにセイレーンの歌声のように誘いくる緊急停止ボタンの恐怖!
ということで、30秒程度のエスカレーター乗車中に12個もの緊急停止ボタンが誘惑してくるのだ。もしこれを押したら、皆「ゥワッ!」と前のめりになるだろなぁ‥怖いけどちょっとその風景見たいなぁ‥いやいや!
しかもよく見たら、エスカレーターの上下の脇に
ということで計14個もの停止ボタンがズラリ。おかげでここを通るたびに、押したくなる衝動に駆られるわけです。そして耐えるたびに俺は強くなる。そう思うと、毎日の通勤もちょっぴり修行気分!そういう勘違いでもしてた方が、実際ボタン押して迷惑かけるよりマシというものです。
最近の若者は想像力が欠如してるとよく言われる。だからすぐ感情だけで動いて犯罪を犯してしまうのだ、と。それが真実かどうかは分からないけれど、今回のような「押そうと思ったら押せるけど、押しちゃいけないボタン」が子供の頃から身の回りに多いとちょっとした自制心と想像力を育てるのではないだろうか。
でも、自分が大統領にでもなってメモ帳の脇に「核 きけん」と書かれたボタンがあったら毎日押したくてしょうがないだろなぁ。でも、それを押さないのが真のオトナだぜ。
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