特集 2018年9月18日

和菓子の入り口を探してました

こちらは溜池山王の浅田家の豆大福。和菓子の入り口の一つです
こちらは溜池山王の浅田家の豆大福。和菓子の入り口の一つです
デパ地下にも街にも和菓子屋があって一個200円くらいで1つだけ買ってもいい。そしてどこで食べても大体おいしい。

和菓子を好きになると便利でいいなと思いついたのだが、一向に和菓子を好きになれない。なぜか。A店もB店もどれもうまい。差が生まれないので愛着がわかないのだ。

和菓子にどうやってハマったらいいのか、その入口を探した。
1980年生。明日のアーというコントのユニットをはじめました。動画コーナープープーテレビも担当。記事はまじめに書いてます

前の記事:私が裸で恥ずかしいのはあなたがパンツを履いているから

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

ところが取材は難航した!

ということで和菓子の識者に話を聞いた。それはもう根掘り葉掘りあらいざらい聞いた。へえへえうなって目からうろこが落ちまくった。

ところがそれがまずかった。あまりにもぶっちゃけすぎて「こんなものを載せるわけにはいかない!」となってしまったのだ。こっちはひっくり返ってそのまま着地したのだった。

どうしたものかのう、と言ってその後和菓子屋さんを訪ねたりして一ヶ月が経った。担当編集者の古賀さんと今現在わかっていることをお伝えする。
和菓子を食べ比べられるようになりたい!とちょこちょこ買って食べたりしていた。しかしどちらもうまくて「こっちが好き!」という感情が生まれない…
和菓子を食べ比べられるようになりたい!とちょこちょこ買って食べたりしていた。しかしどちらもうまくて「こっちが好き!」という感情が生まれない…

担当編集の古賀さんにこれまでを報告します

大北
一回目のインタビューは古賀さんと一緒に行って、そこからさらに調べたり、街の和菓子屋さんに行ったりしました。あっちこっちへ考えが飛ぶんですが和菓子を追ったこれまでをまとめようかと

古賀
結構迷走というか、本当にとっかかりがなかったんですよね。

大北
ないですよね。 そもそもは「和菓子っていいな」って思ったことなんです。デパ地下にたくさん売ってる。しかも超有名店。安くて一個からでも買える。これはいいかもと思ったんですが、A店もB店もC店もうまい。まあどれもうまいんだよなーと思っちゃったら足が向かなくなってしまいました。

古賀
違いが分からないってことですかね

大北
その辺をインタビューで識者にぶつけたりしたんですよね。で、すぐわかったのは「甘いものにまずいものはない(=差が生まれづらい)」こと。そして「和菓子は材料が少なすぎて違いが出ないのでは?」という疑念も生まれました。

和菓子といえばあんこでしょ

大北
和菓子の基本はあんこですよね。これに入ってるのが小豆と砂糖。塩なども入ってるかもしれませんが。主にこの2つですよね。2つだけ。
話を聞いてわかったのが、砂糖は上白糖だということなんですよね(あとで調べると正しくは白ザラメらしいんですが)。え、スティックシュガーと同じなの!? となりましたが、それが「成分として純粋」ということでした。

古賀
お菓子づくりって「素材を厳選する」みたいなイメージあったから。

大北
そうですよね。いい和菓子屋は全部最高級ってイメージがあったんですが、砂糖となると成分として純粋なふつうのお砂糖になると。和三盆は和三盆の味を出したいときに使うと。

識者に聞いたはなし「白砂糖の価値は逆転した」

和菓子の識者「余計な味がつかないので小豆の味だけを楽しむには上白糖が一番いいんです。

和三盆糖はアイボリー色をしてますよね。精製はするけど言ってみれば雑味が残ってるんですよ。それを完全に消したのが上白です。

そもそも戦後までは上白糖が一番高い砂糖でしたが、時代がかわって和三盆や黒糖は手間で高くなって価値が逆転しました。

歴史的にも日本には南国でとれる黒糖と和三盆しかなくて、砂糖は南蛮貿易で入ってくるものであって殿様にしか入らなかった。

庶民一般が食べてるきんつば大福お餅、そういうのはぜんぶ黒糖です。黒糖すら手に入らなかったこともあるので昔の大福はしょっぱかったそうです。未だにしょっぱい大福は埼玉の久喜のほうと新潟、福島あたりに残ってますね」

――塩あんびんだ!!(塩あんびんを取材したことがある興奮の著者)
しょっぺえ大福、塩あんびん(記事『甘くないどころか塩辛い大福を見つけた』より)
しょっぺえ大福、塩あんびん(記事『甘くないどころか塩辛い大福を見つけた』より)

となるとあんこの素材は豆だけだ

大北
で、あとは豆ですよ。豆の素材に関してですが、街の和菓子屋さんによると国産と中国産、大きくわけてこの二択だと。一般にスーパー・コンビニで売られているもので「国産」の表記がないものは中国産だそうで、豆の値段でいうと3倍くらいちがうそうです。

古賀
そこも二択しかないんだ!

大北
国産は国産で細かく分かれるんだとは思いますが、最初の二択がそこ。
で、国産/中国産のちがいは街の和菓子屋さんは「そのままあんこだけ食べたらたぶんみんな日本を選ぶ」と言ってます。けっこうちがうみたいですね。
和菓子屋さんでいろいろ食べ比べた結果、コンビニ最中(中国産表記)とスーパーのオリジナルブランド最中(国産表記)のあんこの差が一番わかりやすかった。
和菓子屋さんでいろいろ食べ比べた結果、コンビニ最中(中国産表記)とスーパーのオリジナルブランド最中(国産表記)のあんこの差が一番わかりやすかった。

街の和菓子屋さんは意外と知らない

大北
街の和菓子屋さんに関してはお砂糖の認識もぼくらと同じ感覚でした。「高いところは和三盆とか入ってんでしょ?」って

古賀
え、そうなのか。思うんですが、街の和菓子屋って違いを出す必要これまでなかったんじゃないかな。街に1軒あって、大福と羊羹と団子を売る。人は大福と羊羹と団子を買いにきてるんで、店にブランドを求めていないという。

大北
街の和菓子屋さんはよその和菓子のことあんまり知らないんですよね。修行で渡り歩いたりしないし、親や修行先で技術をおぼえてそれを守ってるだけで。

古賀
ええ、そうかも。競合がなかったのかもしれません。

あんこのマッピング

大北
あんこの話つづけますね。みんな国産使ってるとなるとあと大きく左右するのは調理法ですね。
素材的に国産で最高、甘くておいしい、と確定してるのであとは個性でしかない。じゃあそれってマッピングできるものではないかという話になり、「渋切り」「甘さ」の二軸が出てきたんですよね。

古賀
好みってことですよね。
あんこ自体の優劣というよりは特性があるだけならマッピングできるようなもの?
あんこ自体の優劣というよりは特性があるだけならマッピングできるようなもの?
デパ地下で買った仙太郎の豆大福。紫色をしたあんこで渋切りの回数が多いように思われる(聞いてないからわからない)。小豆の色が薄いというのは赤福みたいな紫色のあんこで、もっと色をなくした薄い茶紫色くらいまでいくものもある
デパ地下で買った仙太郎の豆大福。紫色をしたあんこで渋切りの回数が多いように思われる(聞いてないからわからない)。小豆の色が薄いというのは赤福みたいな紫色のあんこで、もっと色をなくした薄い茶紫色くらいまでいくものもある

絶対的なうまさは存在しないのかもしれない

大北
あんこにどれだけ豆っぽさ、豆の匂いやうまみを残すかはアク抜きである「渋切り」の回数で決まる。そして甘さは砂糖の量で決まると。そこに優劣はないと。どれも最高!ってことで我々はうれしい限りですが…

古賀
いろんなタイプのあんこがあって、どれも様々にうまい。でも、実はそういうことすら知らなったですよね。

大北
はい、あそこの若い人らが始めたパン屋のパンはうまいな~みたいな、そもそものうまさがあるものだと思ってました。(もちろんそういう名店もどこかにあるんでしょうが)

そしてあんこ作りというのかなり労力がかかるものなんだそうです。こしあんはつぶあんに比べてさらに手がかかって同じ値段で売ってるのもおかしい、とか。お菓子の種類によってあんこを変えるとか。

古賀
言われてみれば確かに甘いのとしょっぱいのがあって、薄くてサラサラしてるのと、濃くてむちむちしてるのがあるなあ、くらいは思ってましたが、そこに手間の差というのがあるんですね。

大北
街の和菓子屋さんに関してはあんこを自分たちで作るとなると一週間のうちの作業がそればっかりになるので、業者から買っていると言ってました。それは先代の味と一番近いところのを買っているのでそれで満足していると。

古賀
業者があるっていうのはそれだけ小さい店が多いってことなのかな。

大北
大福とかどら焼きとかそれ一種類しか作ってない有名店っておそらくあれもこれもやってられないんでしょうね。
しかしあんこを自分たちで作ってないという告白があったのでこれまた素性をあかせなくなってしまい…

古賀
OH...

大北
和菓子の業界は暗部が多いですね…
すあまは「基本的に生地と同じ重さの砂糖入ってます」と。あんこも小豆に同量かそれ以上の砂糖を。これだと大さじでいうと4くらい入ってるのでは。
すあまは「基本的に生地と同じ重さの砂糖入ってます」と。あんこも小豆に同量かそれ以上の砂糖を。これだと大さじでいうと4くらい入ってるのでは。

和菓子好きな地方はそこに好きな殿様がいたかどうか

あんこは北に行けば行くほど、南に行けば行くほど甘くなるそうで出身地によってあんこの好みは変わるらしい。

和菓子屋はもちろん全国に昔からあり、公家(京都)のお菓子か武家(その他)のお菓子かでまず分かれるそうだ。

となると概ね地方は武家のお菓子であり、お殿様がどれだけお茶やお菓子が好きかで文化がちがうらしい。

金沢や松江には熱心な殿様がいて未だに和菓子消費量が日本一だったり、お店ですぐお菓子を出す文化があったりするそうだ。松江は紳士服のアオキでスーツ作ってるときでもお菓子が出てくると言っていた(真偽は不明)。

和菓子は自分にとってのベストを探せ

大北
あんこの違いは個性なので「自分にとってのベスト1はあるけどそれは全員にとっておいしいものにはならない」ということになったんです、結論として。

古賀
自分が一番すきなやつは、もう自分で探すしかないと

大北
それむっちゃ大変ですよね、考えたら。

古賀
何しろ驚くほど見た目が同じですからね。
羊羹なんて、どれも黒い四角だから。ソリッドすぎる

とらやとコンビニの羊羹を和菓子屋さんが食べ比べたらその差は!?

大北
あんこの話もう少し続けさせてください。街の和菓子屋さんに他店のを持ち込んで味を比べてもらったんです。

一番安い羊羹がコンビニやスーパーで売ってる常温日持ちするやつ。同じメーカーがOEMで作ってることが多くて、一個売りだと50円くらい。それに対してとらやの羊羹一番小さいのありますよね、あれが200円ちょっとこえるくらい。

そもそもスーパー・コンビニのお菓子に関しては「日持ちをさせるために甘くする」というのがあるんですね。大福も甘くするから硬くならないとか。そこから「高いお菓子はあんまり甘くない」というイメージがぼくはつきました。で、ところがとらやというのも実は甘めなんですね。昔の製法を守っているのか食品の安全性を高めるためかとにかく甘めだと。

そして甘いものは味がわかりにくくなる。そうすると羊羹の最低と最高を食べ比べたときに街の和菓子屋さんは「とらやの方が豆の味がする」とだけ言ったんですね。

古賀
へー!!

大北
でも、ぼくもそれくらいしか違いがわからなかった。「こっちのほうが豆の味しますね」としか。

古賀
ウォォ

大北
その豆の味をさせるのがどれだけ大変だと思ってるんだ!!と怒られると思いますが、無粋ないち消費者としては「豆の味」くらいにしか思わない。

古賀
「渋切りの回数」「日/中の素材の違い」も言ってみれば「豆の味」なのでそれでいいのかもしれません。
デパ地下やらスーパーやらでたくさん買ってきて和菓子屋さんに食べ比べてもらった。結果としてあんこの個性の違い(豆の風味が強い、つぶが残らない)などはわかったが、これがおいしいというのはなかったようだ。筆者は鶴屋八幡が好きでした。
デパ地下やらスーパーやらでたくさん買ってきて和菓子屋さんに食べ比べてもらった。結果としてあんこの個性の違い(豆の風味が強い、つぶが残らない)などはわかったが、これがおいしいというのはなかったようだ。筆者は鶴屋八幡が好きでした。

和菓子のよさは塩梅、バランス、総合値

大北
でもまあぼくらはあんこあんこ言い過ぎてるってのがまずあると思います。

街の和菓子屋さんは和菓子のおいしさについて「和菓子は塩梅。塩と砂糖の甘じょっぱさから酸味も感じるじゃないですか。甘じょっぱさのあとですっと酸味を感じる。それが品物全体の邪魔しないくらいで引っ張ってくる。そこの感覚だと思うんです」と答えています。

古賀
酸味! その発想なかったね

大北
酸味とか考えたことなかったですね。
でも組み合わさったときにそういう色々な感覚が生み出されるのではと。

「大福ならおもち、柏餅ならお団子なんですけど、周りの素材そういうのが」と。基本的なパンがうまいパン屋ってのはあるけど和菓子屋はちがう。各商品の総合的なよさでしかないのかもしれない。考えてみればあんこだけ食わされるのはないんですよね。

古賀
きんつばもうっすいあの皮がギリギリ大事だもんね

大北
なんか一枚まとっただけですよね(笑)
最中のあんこだけを食べ比べたりしてみたのだが、和菓子屋さんはやっぱり皮についても言及していた
最中のあんこだけを食べ比べたりしてみたのだが、和菓子屋さんはやっぱり皮についても言及していた

洋菓子には絶対的なうまさがある?

大北
で、あとで覆されるかもしれませんが和菓子の識者のインタビューで「絶対にこっちがおいしいという感覚は和菓子で起こりにくい」「そういうのがあるとしたら洋菓子」という話を聞きました。
洋菓子には人間が絶対にほしいであろう「糖分」に加えて「油分」もあるんですよね。パンチ力がちがう。

古賀
チョコレートはカフェインも入ってるもんね。攻撃力高い。

大北
近年の和菓子で有名な博多通りもんは「和洋菓子」と名乗って、乳脂肪分や卵の味がしますし、パンチ力が違う

古賀
確かに和菓子に洋の要素入れるとパンチ入ってきますね。

大北
そうですよね、キャッチーです。
我々は洋菓子の方になじみがある世代
我々は洋菓子の方になじみがある世代

洋菓子にはパンチがある

大北
一般的にギフトの世界では今は洋菓子が強いらしいです。誰かにあげるのはそりゃパンチきいてたほうがいいだろうと。即効性があるだろうと。
大阪のたこ焼きは「マヨネーズかけとくで」が普通、みたいなところかなと。そのほうが人間が喜ばしいだろと。

古賀
人を甘やかした味っていうのがあると思うんですよね。砂糖がそうだと思うんですが、油分がまたそれですよね。その合わせ技が洋菓子。

大北
旨味と油分の甘やかしの追求が近年ラーメン界に起こってましたが、ああいう「こっちの方がそもそもうまいだろ」が洋菓子にはあったと思うんです。

父親世代が洋菓子に魅了されて、和菓子ロスジェネな我々

大北
そもそもなぜ我々が和菓子のことを知らないかというとそこに断絶があるからなんですね。

祖父母の世代は和菓子で育った世代、でも父母(6~70代)の世代は和菓子もあったけど洋菓子を選んできた世代。

戦後、冷蔵庫が普及して(※昭和27年家庭用小型冷蔵庫発売)、洋菓子を家に置けるようになった。それ以降みんな洋菓子に夢中になったと。

その世代が親になったときにはクリスマスをケーキで祝ったりバレンタインにチョコを贈る文化ができる。

古賀
和菓子はもういいよっていう雰囲気がそこでできて、意外にそのまま来てるってことでしたよね

大北
その後海外渡航しやすくなって外国修行から帰ってきたパティシエブームがあり、洋菓子の普及も行き着いて洋菓子店第一世代も店じまいしはじめて、今度はパティシエも一段落して、そのあとなんかないの? その子供である我々が、そういえば和菓子どうなの? って言ってるのが今なんですよね。
和菓子界の革命はいちご大福だとみんなが言う
和菓子界の革命はいちご大福だとみんなが言う

和菓子界の革命、いちご大福は

大北
で、その間和菓子は何をしてたんだ…ということになりますね。

今と昔のちがいを街の和菓子屋さんに聞くと「昔はとにかく甘かった」と言ってます。30年とか前は和菓子屋さんでもかなり甘くしてたようですね。それが現代は軽減されてるようです。

洋菓子が入ってきて圧倒されていた和菓子業界にも80年代に入って革命が起こった。それがいちご大福だったと。いちご大福は「ショートケーキがあったからこそ生まれたもの」なんですよね。

革命っぷりは街の和菓子屋さんも言ってました。今もとにかくよく売れるって。この店は品種で売っててあまおうがとにかくよく売れるそうです。年がら年中やりたいけどあまおうも手に入らなくなるからできない。でも、他のフルーツ大福でもよく売れてますということでした。
お茶席で出てくる上生菓子。季節にもとづいた「菓銘」がついていて、その名の通りの造形になっている。和菓子はお菓子の芸術であり、アイスホッケーは氷上の格闘技だ!
お茶席で出てくる上生菓子。季節にもとづいた「菓銘」がついていて、その名の通りの造形になっている。和菓子はお菓子の芸術であり、アイスホッケーは氷上の格闘技だ!

和菓子の変わらなさは文化を守る意味も

古賀
イノベーションですよね。いちご大福によって和菓子屋にバリエーションが生まれてる。油分に加えて「目新しさ」も洋菓子のパンチの一つかもしれませんね

大北
ああなるほど。その新しさ、斬新さということも含めてなんですが…

今年のはじめの方にTV番組『マツコの知らない世界』で和菓子特集がありました。そこでとらやの社長のインタビューがあり、語られてたのはとにかく製法を変えない、伝統を守るのが使命だと。

和菓子の識者インタビューで「とらやは何がすごいんですか?」と聞いたんですよね。その中に「色んな和菓子を全部やる」というのがありまして。和菓子は季節ごとに細かくラインナップが変わるんですがそれを全部やるらしいんですね。

街の和菓子屋さんがあんこを業者に頼ったりする事情から考えるとたしかにそりゃ偉い。ほっといたら誰もやらんものを昔の製法で作る、それはもう文化ですよね。

古賀
伝統芸能みたいなものか

大北
そうそう。マツコの知らない世界に出てた和菓子マニアの方が語ってたのは文学的な背景を想像したりして食べるのが好きと。街の和菓子屋さんでは上生菓子も作ってたんですけど、細工されてある練りきり部分って全部白あんらしいんですよ。

古賀
白いんげんですよね

大北
基本的には味一緒です、って街の和菓子屋さんで言ってて。だから今まであれになんの感動もなかったのかと思ったんですが。でもそれをみんな教養で味わってるんですねえ。ハイカルチャーですよね

古賀
理屈で味わうんだ
街の和菓子屋さんでも上生菓子を作ってる。練りきりはすべて味同じだそうで、より「見て楽しむ」もの感が強い。和菓子はそもそもハイカルチャーなもので、違いがわからない!と言う我々が野暮なんだろう
街の和菓子屋さんでも上生菓子を作ってる。練りきりはすべて味同じだそうで、より「見て楽しむ」もの感が強い。和菓子はそもそもハイカルチャーなもので、違いがわからない!と言う我々が野暮なんだろう

和菓子側から寄ってきてくれないものか

大北
和菓子の上の方はハイカルチャーでがんばってくれ、そこは任せた、と。しかし教養のない我々は依然として和菓子の入り口がないままです。

街の和菓子屋さんも生クリーム入りの大福をいい場所に置いてるんですよ。やっぱりパンチあるんですよ、乳脂肪分で。博多通りもんみたいにこれならとっつきやすい、もっとこっち側の甘やかされた口に寄ってきてくれないかなと思ったんです。和菓子が。

なんで色んなことしないんですか?って聞いてみたんですけど、「やりたいんですけど失敗したときに全部捨てるのが忍びないんで」と。

古賀
むきだしの実情!! しかし共感が強い!!

大北
ごはん捨てるとか人間のやっていいことではないですしね(笑)

でも新しいことをやってる世代はいるらしいんですよね。全国に。リキュール入れたりスパイス入れたりしている和菓子屋さんはあると。そこでいちご大福くらい一般化するヒットが出たらまた和菓子が盛り上がるんでしょうね…


古賀
小さいお店でやってたら、今やってる商売そのままやるんで十分というのはぜんぜん理解できますしね……。

大北
そうですね、大きい店は大きい店の味と文化を守ってるし。

古賀
なんだかんだいって、羊羹、大福、団子が売れてるってことでもあると思うんですよね。だから変わらないというのも事実なんじゃないかな。

大北
和菓子って新しいもの受け入れられなさそうですよね。コールド・ストーンのアイスとか、大福だったら売れてない気がする

最先端の和菓子屋さん

大北
とらやとか有名店は伝統を守るもの、そして街の和菓子屋さんは我々と同じくらいあんまりよそを知らない、ときて、そのうえで街の「意識高い」若手の和菓子屋さんともちょっと喋る機会があったんです。

古賀
おお、ぬかりない!

大北
そこの人は高校生のころに和菓子屋になろうと思って何店か修行して自分のお店を開いている。
で、洋菓子の油分に関してその人は「おれは(油分)いらないと思ったから和菓子を選んだ」と言ってました

古賀
かっこいい

大北
でもおれ油分やっぱり好きです。

古賀
大北くんは甘やかした味が好きなんだろうねえ。

大北
ええ、そうですね…。悲しみの愛を見せなきゃいけない腑抜け側の人間ですね

古賀
……元気出して

SNS時代の和菓子

今までの洋菓子店はお店単位で目立っていたが、パティシエ時代に入り屋号もパティシエ個人名、自らも店頭に立ちパティシエ個人のキャラクターが際立った。

今では洋菓子和菓子どちらも職人にファンがつくようになった。彼らの活動をファンが足を運んでSNSでまた波及するといったような。

また、SNSでウケそうな見栄えのいい商品や希少性のある価値も需要が高まっている。

バブル期は贈答品の日持ちのするお菓子で成り立っていたお菓子屋も、時代が変わりなんでも通販で手に入るようになった。そうすると取り寄せ不可の商品の価値が上がった。

作り手も消費者も個の時代になってきたんだそうだ。
浅田家というところの豆大福が有名だそうだ。なんでもよかったが一番アクセスがよかった有名店に行った
浅田家というところの豆大福が有名だそうだ。なんでもよかったが一番アクセスがよかった有名店に行った
有名店でも1個190円なのでケーキなどに比べると安い。でも比べるべきはプリンやシュークリームとかの材料の少なそうなものだろう
有名店でも1個190円なのでケーキなどに比べると安い。でも比べるべきはプリンやシュークリームとかの材料の少なそうなものだろう

入り口は「おいしい店に行きなさい」

大北
で、まああんこはどこもおいしいよねとかそれまでの話は大体ふんふん聞いてくれてたんですが、でもやっぱりおいしい店はおいしいよと。あんみつの豆っていらないと思ってたけど、梅むら(※浅草の豆かんの店)の豆かん食べたときに、意識が変わったと。甘い味わいがあることに気づいたそうです。

総合的にこの店がうまいというのはいろんなものを食べないとわからないけど、たとえば雑誌に載ってるようなお店に行って名物を食べてみるのがいいんじゃないかという話になったんです。

古賀
すごくわかりやすい答えだね

大北
ものすごく当たり前ですよね……いろいろきいて振り出しに戻った感はあるんですけど。

ということで、先程食べました、東京三大豆大福の一つと言われている溜池山王駅の浅田家の豆大福。
豆大福と草餅。どっちも今までの話はなんだったのだろうと思うくらいしっかりうまかった
豆大福と草餅。どっちも今までの話はなんだったのだろうと思うくらいしっかりうまかった

名店の逸品はパンチがきいてた

古賀
おいしかったですね。しょっぱかったよね。あと餅が餅だった。

大北
一瞬でまとめましたね

古賀
私は最高の気分でした。

大北
でもそうなんです。豆大福おいしいなと思いました。豆おいしい、餅おいしい、あんこおいしい、いや全部おいしい、と。

古賀
和菓子のパンチって塩なんですよね。そこがちゃんとしてたよ。

大北
ああ、塩も人間が必要なものだ。でもぼくはパンチは餅かなと思いました。すぐ食べたからか餅つき大会の味でしたよね。つきたての餅ってそういえばおいしいよなと。

古賀
やわらかいしね、つきたての餅って和菓子屋行けば食べれるんだよね

大北
餅つき大会のよさはバター生クリームの乳脂肪分と変わらないなと。「つきたて!」の感動はそのレベルかもしれないなと
餅はつきたての味がして、あんこはねっとりしててクリーミーでさえある。「つきたて」の餅というのはそもそも魅力があるが買ってすぐ食べる大福で達成されると知った
餅はつきたての味がして、あんこはねっとりしててクリーミーでさえある。「つきたて」の餅というのはそもそも魅力があるが買ってすぐ食べる大福で達成されると知った
まほろ堂蒼月の栗のお菓子はポクポクして好きになった。つきたての餅であったり、なにか一つ感動があると和菓子は好きになれそうだ。あんこから調べていたが、その感動をあんこ自体が達成することはあんまりないんじゃないかと今は思う
まほろ堂蒼月の栗のお菓子はポクポクして好きになった。つきたての餅であったり、なにか一つ感動があると和菓子は好きになれそうだ。あんこから調べていたが、その感動をあんこ自体が達成することはあんまりないんじゃないかと今は思う

右往左往してふつうの結論

大北
お話を伺った意識の高い和菓子屋さんのもいくつか食べてさすがにどれもおいしかったんですが、栗きんとんがすごくおいしかった。栗ぽくぽく菓子!って感じで。

古賀
岐阜のすや みたいなやつですかね

大北
なにかの感動があるもの、和菓子の入り口になるような逸品がどこかの店のラインナップの中に散らばってるんだろうなと思いました。
結局は探さなくちゃならない。和菓子のよさは「高くても200円300円で買えるところ、これがケーキなら500円600円」って話がありましたし

古賀
買いやすいですよね。浅田家も1つ190円でしたもんね。

大北
和菓子ってやっぱり茶道あってのものだったりクラシック音楽みたいなものというか、格調高くて変えてはいけないという気持ちもわかるんです。でもどんどんへんなもの生んでほしいしですよおれは!

古賀
少年マンガっぽい終わり方だ。
茶碗になる和菓子。伝統のある変なものもある。
茶碗になる和菓子。伝統のある変なものもある。
▽デイリーポータルZトップへ

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ

↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓