特集 2018年9月10日

カンピョウを作ってその正体を知りたい

カンピョウを戻す

カンピョウが無事に干しあがったことにすっかり満足してしまい、すぐ冷蔵庫にしまいこんで放置してしまったのだが(自作加工食品あるある)、もちろん食べこそのカンピョウである。

無添加なので早く食べた方がよかろう。よし、苗から育てたカンピョウを食べてみようではないか。なんだか味という結果を知るのが怖いけど。
まずカンピョウを水でよく洗う。
まずカンピョウを水でよく洗う。
カンピョウ自体を作るのが初めてなら、市販のカンピョウを買ったこともないので、調理するのも初めてとなる。

『カンピョウ=甘辛く煮て寿司に巻かれたもの』だったので、この工程もなかなか新鮮な体験となった。
ごしごしと力を込めて、弾力が出てくるまで塩で揉む。すごく丈夫になっているので簡単に切れたりはしない。
ごしごしと力を込めて、弾力が出てくるまで塩で揉む。すごく丈夫になっているので簡単に切れたりはしない。
下準備の手順は、水で洗って汚れを落とし、塩をたっぷりと掛けて揉み洗いして、塩を洗い流して水にしばらく浸けて戻すというもの。

あれだけ頼りなかったフカフカのユウガオが、干すことでしっかりとしたカンピョウになっている。編み込めば切れた下駄の鼻緒の代わりになるのではっていうくらい丈夫だ。乾物っておもしろい。
水で戻したカンピョウ。すったもんだを経たユウガオだけが持つ芯の強さを感じる。これはうまいんじゃないですか。
水で戻したカンピョウ。すったもんだを経たユウガオだけが持つ芯の強さを感じる。これはうまいんじゃないですか。

カンピョウを甘じょっぱく煮る

ここからは調理の本番。作るのはもちろんカンピョウ巻である。それ以外の食べ方がまったく思いつかない、それがカンピョウ。

濃いめに甘じょっぱく煮る訳だが、まず和風ダシで柔かく煮て旨味を含ませてから、醤油と酒とたっぷりの砂糖を加えて煮詰めてみた。
初めて手打ちでつくったうどんを思わせるヴィジュアル。
初めて手打ちでつくったうどんを思わせるヴィジュアル。
こう見えて麺類ではない。
こう見えて麺類ではない。
この時点でちょっと味見をしてみたのだが、滑らかな高野豆腐みたいにフワッフワ。なんだこれ、もううまいじゃないか。

ピーラーで剥いた薄い部分は、口に入れるとオブラートのようにとろけていく。この鍋には甘じょっぱく煮詰めるだけがカンピョウの食べ方じゃないんだぜという発見が詰まっている。

でもとりあえずはカンピョウ巻だ。
甘じょっぱく仕上げていきましょう。
甘じょっぱく仕上げていきましょう。
はい、煮えました!
はい、煮えました!

とうとうカンピョウ巻を作る

さあ、ようやく最終の仕上げである。半分に切った海苔を巻き簾に置き、なるべく薄く酢飯を広げ、煮汁を軽く絞ったカンピョウを置いて巻く。

人生で巻きずしを作った経験はほんの数回だが、たまにやると楽しい作業だ。
このカンピョウ、苗から育てて作ったんですよ!って自慢したい。
このカンピョウ、苗から育てて作ったんですよ!って自慢したい。
一本目はカンピョウだけ、そして二本目はワサビをたっぷりと入れてみた。

しっかりと甘じょっぱいカンピョウと通常では考えられない量のワサビという組み合わせ。これぞ手作りだからこそ味わえる個性派海苔巻だ。
回転寿司では回っていないタイプのカンピョウ巻。
回転寿司では回っていないタイプのカンピョウ巻。
くるっと巻いたら真ん中でストン、さらに各片を三等分して、あわせて6つのカンピョウ巻にする。これがワサビの有無で2セット。
左がワサビなし、右があり。
左がワサビなし、右があり。
まずワサビなしから食べてみると、カンピョウ部分がこれぞ甘じょっぱいの最高峰という味。ベースとなるカンピョウに味がほぼ何もないからこその純粋な甘じょっぱさ。まず甘さが口に広がり、それを追い掛けてくる醤油のしょっぱさ。この時間差攻撃はカンピョウという味の吸収王に含まれているからこそだ。

そしてとろけるような食感が堪らない。カンピョウってこんなに柔らかく煮ることができるのか。これはカンピョウにおけるトロだ。これはまだ種が熟す前の若いユウガオで作ったからか、桂剥きが薄かったからか。なんにせよカンピョウを苗から作る意味、これは大いにあるぞ。
香りがすでにツーンとくるワサビ入り。
香りがすでにツーンとくるワサビ入り。
そしてワサビ入りがまたうまいんだ。甘じょっぱさから一瞬遅れてやってくる強烈な辛味。喉の奥から鼻にかけて勢いよくツーンときやがる。こんちくしょう。

これが新鮮な魚なんかだと味がわからなくてもったいないよとなるけれど、ネタが甘じょっぱさだけで成り立っているカンピョウなので、ワサビの辛さが好きならこれこそが正解だ。

どんな料理でも美味しい

カンピョウ巻がうまいのはよくわかった。やっぱりカンピョウは甘じょっぱくして巻物だ。だがこうなるとやっぱり他の料理に使ってみた時の味も気になる。

そこでカンピョウがあるだけ試してみたところ、海苔巻きでしか輝けない一発屋などではなく、どんな料理でも組み合わせた素材の味を引き立てる名脇役であることがわかった。すごいぞ、カンピョウ。
かき玉汁にしてみたところ、天女の羽衣を髣髴とさせるフワフワのカンピョウがうまいのよ。
かき玉汁にしてみたところ、天女の羽衣を髣髴とさせるフワフワのカンピョウがうまいのよ。
せっかくの長さなので、ロールキャベツを包むのに使ってみた。食べられる紐、それがカンピョウ。
せっかくの長さなので、ロールキャベツを包むのに使ってみた。食べられる紐、それがカンピョウ。
サッと茹でたカンピョウを、トマトとバジルでサラダに仕上げてみた。しっかりとした歯ごたえがうまい。
サッと茹でたカンピョウを、トマトとバジルでサラダに仕上げてみた。しっかりとした歯ごたえがうまい。
ツナ缶と合わせてマヨネーズと合わせてもうまい。クラゲなのかイカなのか大根なのか、まるっきり正体がわからない感じが楽しいんですよ。
ツナ缶と合わせてマヨネーズと合わせてもうまい。クラゲなのかイカなのか大根なのか、まるっきり正体がわからない感じが楽しいんですよ。
2個分のユウガオを使ってカンピョウを作ったのだが、すぐに食べ終わってしまった。全然足りない。

もはや記事とか関係なく、食材としてもっと欲しいし、いろいろと試してみたい。炒めても揚げてもうまいんじゃないだろうか。来年まで待てないので、市販品を買ってこようかな。

カンピョウの正体はユウガオを細長く剥いて干したものであり、それは調理法次第で自在に変化する万能食材だった。まさかカンピョウにここまで心を持っていかれるとは思わなかった。

巻物に欠かせない具という確固たる地位を確立しつつ、実はどんな食材とも合せられる柔軟性を併せ持つカンピョウ。もはやカンピョウのような人間になりたいなとさえ思っている。
我が家のロールキャベツの具は、挽肉とご飯が半分ずつ。
我が家のロールキャベツの具は、挽肉とご飯が半分ずつ。
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