走りたくないメンバー大集合
静岡県浜松市にアローズジム浜松というジムがある。
閑静な住宅街にこつ然と姿を現す近未来的なジム
ジムといってもただのジムではない。
“スポーツ科学”の考えをベースに、筋力・パワー・持久力などの運動能力に関する項目を分析・測定し、その数値を元に目標に近づくための効率的なトレーニング方法を提案してくれる。
スポーツというと、泥まみれ、汗まみれになりながら我慢や根性で努力し続けなければ成果が得られない、いわゆる“スポ根”のイメージが強い。
アローズジムはいってみればその真逆を行く存在で、その測定技術や最新の設備に惹かれ、遠方から通っているプロスポーツ選手も多くいる。
そんなスポーツ界でも最先端を行くアローズジムに、できれば走りたくない、運動嫌いなメンバーが集まった。
ライター陣からわたし鈴木・乙幡さん・べつやくさんの3人、編集部から林さん・石川さん・橋田さんの3人の計6人が集合
闘争心がある場合、見た目的にも運動ができそうな格好、足が速そうな格好をしてくるところだが、このメンバーにその発想は通じない。
グアムのABCストアでこんな感じの人、見たことある
デニムであることを突っ込まれてストレッチ素材でできているというポイントをアピールするべつやくさん
教育実習に来た大学生
測定してくれるのはアローズジムの研究機関・アローズラボ責任者の中塚 英弥さん。
今回受ける、走らなくても50m走のタイムがわかってしまう測定方法「レタス測定」を開発したのも中塚さんだ。
左側にいるのが中塚さん。中塚さんの説明を熱心に聞く参加メンバー
連続ジャンプ、立ち幅跳び、 ステッピングの3つの測定を行うことで、走らなくても50m走のタイムがわかるというのだ。この3つの頭文字を取って「レタス測定」という。
ストレッチしたところで、早速測定開始だ。
レタス測定
連続ジャンプ
立ち幅跳び
ステッピング
連続ジャンプで膝をやる
まずは連続ジャンプの測定。
この黄色いバーの間に立って5回連続でジャンプする。
見たことのない測定器
黄色いバーには赤外線センサーがついていて、地面に足がついている時間がわかるため、逆にからだが宙に浮いている時間=滞空時間もわかり、そこから足のバネ力を評価していくそうだ。地面に足がついている時間が短ければ短いほど足のバネ力がある、という評価になる。
赤外線センサーがついている時点で近未来的。SF映画のレーザー光線みたいに足が切れそうでちょっと怖い(切れません)
1人目の挑戦者は学生時代社交ダンス部に所属していた乙幡さん。しなやかなジャンプを披露してくれるに違いない。
さわやかな笑顔とさわやかなランニングシャツでスタート
ジャンプ中も笑顔が崩れない乙幡さん。さすが社交ダンス部
5回飛んで一番記録が良かった回をピックアップする。
乙幡さんは2回目のジャンプが接地時間0.223、高さ18.5で一番良かった。
暫定一位である。
2番目の挑戦者は、運動はあまりしないと見せかけて密かに近所をジョギングしているという隠れスポーツマンの林さん。ジョギングの成果はいかに。
「このあいだ走った後に歩いてみたら、走ってた時とスピードが全く変わらなかったんですよ。頑張ります」
「あっ!!」
「膝がっ!!」
ジャンプに思わぬダメージを受けた林さん。
一番記録が良かったのは最後の力を振り絞った5回目ジャンプで、接地時間0.196、高さ22.9。
数値としては1番目に測定した乙幡さんより良いが、性別や身長も考慮されるので、以降の記録、気になる順位は最後に発表。
3番目の挑戦者べつやくさんは徐々に前進していき最後黄色いバー上に着地。
思いのほか疲れる…
4番目の挑戦者橋田さんは、なんと過去に水泳のインストラクター経験があるという。知らなかった!スポーツでお金をもらっている時点でプロである。
余裕の表情。さすが元プロスポーツトレーナー!
と思ったら足首を負傷し場外へ離脱
まだ1つ目の測定だがこの時点で2人も負傷している。やばいメンツが揃ったなと思った。
5番目の挑戦者石川さんは、姿勢・表情ともにジャンプ中も地上と変わりがなかった。
合成ではありません
そして最後はわたし鈴木。学生時代は女子バレー部だったのでジャンプには自信がある(ただし補欠のピンチサーバー)
楽しくて笑っている笑顔ではない。きつさを隠す作り笑いである
実際に自分がやるとわかる。きつい。たった5回ジャンプするだけだが、より高く、気合を入れて1回1回を飛ぼうとすると、結構な体力がいる。
それともうひとつ、思ったよりうまく飛べない要因がある。
ギャラリーだ。
1人ずつ測定するため待っている5人がまじまじと測定中の人を見ることになり、異様な緊張感の中測定しなければならないのだ。
みんな、
「緊張してうまく飛べなかった」
「練習でやった時はもっとうまく飛べた」
「みんなが見てるから思ったように飛べない」
と口々に言い訳していた。
そして連続ジャンプでわかる足のバネ力第一位は橋田さんだった。
ヤッター!
この測定でワースト一位だったべつやくさんは、「石川さんよりダメだった…」と悔しさをにじませていた。
ちなみに足のバネ力はなわとびやトランポリン、スキップをすることで改善できるらしいので、明日からスキップ通勤したいと思う。
ステッピングでエネルギーを使い果たす
続いてはステッピング測定。
5秒間で何回ステップできるかを測定し、足を素早く動かす敏捷性(びんしょうせい)=動作の素早さを評価する。
練習はばっちり
先ほどと同じ順番で社交ダンス部代表乙幡さんからスタート。
頭を抱えるお悩みスタイルで猛ダッシュ
あ゛ぁ゛………
FedEx代表林さんは膝の負傷が気になるところ
やはりダメージは大きかった様子
拳に気合がこもるべつやくさん
ちょっと休憩させて
エネルギー切れで笑っちゃう
笑っちゃう
やっぱり笑っちゃう
「一回目の測定が響いた」
「プレッシャーに負けた」
「速過ぎて(見えなくて)きっとうまく計測できていない」
など、自己防衛のための様々な言い訳が飛び交った。
大人たちよ、口を動かす前に足を動かしたまえ。
ステッピングでわかる敏捷性第一位は、5秒間で63回ステップを踏んだわたし鈴木だった。
ワースト一位は48回を記録した林さん。
トレーナーの中塚さんに「ダントツで悪いですね」と評価されてこの表情。
バラエティ並みのリアクション
立ち幅跳びで個性が輝く
いよいよ最後の測定、立ち幅跳び。
立ち幅跳びをやるなんて学生の頃のスポーツテスト以来だ。
これまでの2つの測定でアドレナリンが出て、疲れた半面なぜかワクワクもしている。なんか怖い。
立ち幅跳びでは、前へ遠く跳ぶための足のパワー、自分のからだを前に進める力を評価するそうだ。
立ち幅跳びは飛び方にそれぞれの個性が出てとてもおもしろかった。
基本形で美しい乙幡さん
表情で前へ飛ぼうとする林さん
空気を手でかき前進するべつやくさん
うさぎ飛びのチャーミングな橋田さん
使徒感のある石川さん
取材を忘れて必死なわたし
立ち幅跳びでわかる前へ遠く飛ぶための足のパワー第一位は、189cmでわたし鈴木だった。
2つの測定で一位をもらい喜んでいたら、
「鈴木さんはまだ20代だからな」
「そもそも若さがな」
「いるステージが違うよな」
結果発表
最後は結果発表。
3つの測定で出た数値を元に50m走の予想タイムを割り出し、そのタイムが速い順に表彰する。表彰するといっても特に賞状やトロフィーがあるわけではないので、みんなでなごやかなムードで拍手する。
ちなみにこの測定は基本的には少ない要素で予想タイムが割り出せる子どもを対象とした測定で、大人は実際のタイムと誤差が出る場合があることを追記しておく。
第一位は、50m走予想タイム7.47秒のわたし。
恐縮です
以下、
第二位 石川さん 7.75秒
第三位 橋田さん 8.50秒
第四位 林さん 8.70秒
第五位 乙幡さん 9.59秒
第六位 べつやくさん 9.61秒
という結果だった。
そしてなぜか全員、石川さんが二位に君臨したことに不満を抱いていた。
「…おかしくないすか?」
べつやくさんは一番伸びしろがあることを力説してくださるアローズジム山下社長と、二位の余裕を醸し出す石川さん
このように自分の運動能力が数値化して見えると、どこをどう伸ばせば記録が伸びるか改善ポイントがわかる。また目標までの道筋が明確になり、モチベーションも上がりやすくなる。
これからのスポーツは今回のような測定結果に基づいた科学的トレーニングが主流になるようだ。
ただ、子どものうちに知っておきたかった…!
健康診断の順番待ち
説明を聞いている時の一コマ。
これからからだを動かす測定をする前だが、用紙を持って待つ姿が健康診断の順番待ちにしか見えなかった。