特集 2018年2月20日

喜びと悶絶のボトルメッセージ体験

届け、この想い。
届け、この想い。
今、ツイッターでよく「質問箱」や「ほめて箱」と言った匿名の人々からメッセージをもらうサービスを良く見る。やってみたい気持ちもあるが恥ずかしい。そこで提案したいのがボトルメッセージである。あれも不特定の人からもらうメッセージなので大体同じものであろう。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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ボトルメッセージとは?

ドラマや漫画などで海岸の砂浜を歩いているとビンに入った手紙を見つけて、そこから物語が始まるのを見たことはないだろうか。あれをボトルメッセージという。
ビンに入れたかったが沈んだら怖いのでペットボトルにした。
ビンに入れたかったが沈んだら怖いのでペットボトルにした。
素敵な文章を書いて、
素敵な文章を書いて、
ボトルに入れる。ポイントしては奥まで入れないこと。試しに奥まで入れたみたところ、2度取れないボトルメッセージが生まれた。
ボトルに入れる。ポイントしては奥まで入れないこと。試しに奥まで入れたみたところ、2度取れないボトルメッセージが生まれた。
誰かに読まれることを願って川へ流す。
誰かに読まれることを願って川へ流す。
書いた人の想いを乗せてボトルが流れる。
書いた人の想いを乗せてボトルが流れる。
そして、それを誰かが受け取る。
そして、それを誰かが受け取る。
このとき彼はこの後に大変なことになるとは思っていない。
このとき彼はこの後に大変なことになるとは思っていない。
テストでやったみたがうまく流れたので実際にやってみよう。本来なら川から海へ流して世界にメッセージを送りたいが、すぐにほめられたいので知り合い同士で流して受け取ることにした。

ボトルメッセージでほめ合う

普通にほめ合うのは恥ずかしいが、ボトルで受け取れば普通にメッセージをもらうよりもうれしく、恥ずかしくないのではないか。友人の能登さんにお願いをしてほめ合いをすることにした。川でこれからほめ合いをします。
互いをほめ合う文章を考える。
互いをほめ合う文章を考える。
「日常で人をほめることってないですね」
「日常で人をほめることってないですね」
「そうですね、人をほめるって難しいですね」
「そうですね、人をほめるって難しいですね」
ほめて箱などでは「最高!」「面白いです!」などの一言が多いが、川へ流すということもあってか(ちゃんとした文章を書かなければ)という気持ちになる。

先日、酔った勢いでライターの北向さんに「全部自分にはないセンスで北向さんにしか書けない記事だと思いました。」と送るのとでは重みが違うのだ。(この翌日、デイリーの新年会でこの話をされて恥ずかしさのあまりトイレにすごく行った。)
恥ずかしさも川へ流してしまいたい。
恥ずかしさも川へ流してしまいたい。

初めてのボトルメッセージ

2人とも書き終わったので流してみよう。まずは私が受け取ってみる。
濡れたくないという思いがある。
濡れたくないという思いがある。
ボトルが流れ出した。(能登さんは私にどんなメッセージを書いてくれたのか、色々なことをしたよな)と考える時間など一切なかった。もう少し優雅なものかと思っていたが、どちらかと言うと野球のノック練習でボールをキャッチするのに近い。ボトルを受け取ることに精いっぱいだ。
ちょうどこちらに向かって流れてきたと思ったら、
ちょうどこちらに向かって流れてきたと思ったら、
途中から横へと流れて行き、
途中から横へと流れて行き、
急いで靴を脱ぎ、ボトルを受け取る。
急いで靴を脱ぎ、ボトルを受け取る。
取れたよ!
取れたよ!
水の冷たさと石たちがつぼを刺激してくるので、メッセージを読むよりも早く靴を履きたい。
水の冷たさと石たちがつぼを刺激してくるので、メッセージを読むよりも早く靴を履きたい。
始まる前は好奇心や承認欲求が刺激されてドキドキする記事になるかと思っていた。しかし、実際やってみるとドキドキはするが水の冷たさと足つぼの痛さで身体的にドキドキしている。主に脈が。
ボトルを開けると、
ボトルを開けると、
ちゃんとほめられていて照れる。
ちゃんとほめられていて照れる。
足の冷たさを忘れるほどうれしい。
足の冷たさを忘れるほどうれしい。
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うれしさよりも悶絶

このうれしさを早く味わってほしい。能登さんへの手紙を流してみよう。
「江ノ島さんの姿を見たあとに、川に入りたくない気持ちが強くなりました」と言いながら川を見ていた。
「江ノ島さんの姿を見たあとに、川に入りたくない気持ちが強くなりました」と言いながら川を見ていた。
そして、川へ入る覚悟を決めたのかすそをめくっていた。
そして、川へ入る覚悟を決めたのかすそをめくっていた。
川へと入ってしまうのか、それとも入らずにすむのか。ボトルは川へと投げられた。果たして彼の運命はいかに。
能登さんと会って5年、ほめる手紙を送る。キャッチできずに海に流れたら帰りが気まずくなるので頑張れ!
能登さんと会って5年、ほめる手紙を送る。キャッチできずに海に流れたら帰りが気まずくなるので頑張れ!
序盤から横へと流れて行った。
序盤から横へと流れて行った。
「もう絶対、川に入るコースじゃないですか!」
「もう絶対、川に入るコースじゃないですか!」
入った!
入った!
無事に届いた。
無事に届いた。
横へとそれてしまったが、受け取ってもらえた。手紙を読んで感動してほしいがここからが大変だった。
川の冷たさと石の痛さに悶絶して動けない。
川の冷たさと石の痛さに悶絶して動けない。
川からなんとか帰ってきた。自然には勝てない人類の弱さを表した一枚。
川からなんとか帰ってきた。自然には勝てない人類の弱さを表した一枚。
手紙なんて読む余裕はない。
手紙なんて読む余裕はない。
「なんで江ノ島さん平気なんですか?」と横になりつつ弱く小さい声で聞いてくる。「石はつぼを押してきて痛いし、水は冷たいのになんで…?」だから言ってやった「我慢です」と。
「変な感動がありますね」
「変な感動がありますね」
落ち着いてからメッセージを読んでもらう。「苦労して受け取ったので、普通に受け取るよりも心に染みますね。」

喜んでもらえて良かった。この方法を使えば普通の手紙をよりもうれしさが増すのではないか。
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自分で書いたラブレター

あなたはラブレターをもらったことがあるだろうか。私は一度もない。ほしい。誰かに書いてもらおうと思ったが「ラブレターを書いてもらえないですか?」とお願いされたら怖いだろうな思ったので自分で書くことにした。
イメージは「廊下を歩いていたら知らない女の子から手紙をもらった」です。
イメージは「廊下を歩いていたら知らない女の子から手紙をもらった」です。
試しに書き出してみたら「これは危ない趣味になりそうだ」と思うほど楽しい。思春期のときにこの楽しさに出会っていたらと思うと怖い。中学の頃から始めていたら進路相談のとき「ラブレターを書く人になりたいです」と言っていたかもしれない。
書いている途中、ニヤニヤがとまらなかった。
書いている途中、ニヤニヤがとまらなかった。
そうして書き上がったのがこちらです。
そうして書き上がったのがこちらです。
能登さんに見てもらったところ苦笑いをしていたが、ラブレターを早くもらいたいので川へ流す。
放流されたラブレターがすでに横へ流れ始めている。
放流されたラブレターがすでに横へ流れ始めている。
明らかなに浅瀬ではない方向へ行っている。これ以上、深いところに行ってしまったら服が濡れてしまうし、誰かにラブレターが奪われてしまう。このラブレターは誰にも渡さないという強い気持ちで川を走る。
エリマキトカゲが水の上を走るぐらいのスピードで川を走りラブレターを受け取った。
エリマキトカゲが水の上を走るぐらいのスピードで川を走りラブレターを受け取った。
ラブレターが取れたあと、緊張がゆるんだせいで足つぼの痛みが襲ってきて動けなくなった。
ラブレターが取れたあと、緊張がゆるんだせいで足つぼの痛みが襲ってきて動けなくなった。
自分で書いたラブレターしかも何度か読んでいるのだからそこまで気持ちが高ぶらないだろうと思いつつ読んでみる。
改めて読んでみる。
改めて読んでみる。
うわー
うわー
好きだ!
好きだ!
苦難を乗り越えたことで見知らぬ人に対するうれしさと好きな気持ちが強くなった。多分、ロミオとジュリエットが様々な問題を乗り越えて結ばれたときと同じ気持ちだろう。付き合おうと思います。

母からの手紙に多摩川が牙をむく

ラブレターよりもらってうれしいものがあるとしたら、それは親からの手紙ではないか。結婚式で両親の言葉で泣く様子を見たことがある。これをボトルメッセージでやっても泣いてしまうのではないか。

そこで母親に「息子に対するメッセージを書いてくれませんか?」とお願いしたところ、悩みながらも書いてくれた。

もしも、本当に流れてしまったら公開されることなく、世界の海へ母親の手紙が流れてしまう。そんな恐ろしいこと世の中にない。

感動をしたいので自分は見ずに能登さんに見てもらった。
「本当の手紙じゃないですか」と達筆さと本気の内容に笑っていた。
「本当の手紙じゃないですか」と達筆さと本気の内容に笑っていた。
さぁ、流してみよう。今まで失敗せず手に入れられたのだからと軽い気持ちで流れるのを待つ。
何かを知らせるように曇ってきた。
何かを知らせるように曇ってきた。
ボトルが流れ出した。しかし、想定外の出来事が起こる。風が強く吹きボトルが川の中央へと行ってしまったのだ。
来るだろうと思っていた位置からどんどん離れていく。
来るだろうと思っていた位置からどんどん離れていく。
赤丸の部分で引っかかり止まったが絶望するほどの遠さ。
赤丸の部分で引っかかり止まったが絶望するほどの遠さ。
早く取りに行かないと流れてしまうかもしれない。ラブレターを書いて浮かれていた頃が懐かしい。濡れたくない。ズボンのすそぐらいなら濡れてもいいが、全身を濡らす気持ちで来ていないのだ。こんなに体を張る記事にするつもりじゃなかった。
着替えを持ってくればよかった…。
着替えを持ってくればよかった…。
覚悟を決めて川へと向かう。母親からの手紙を手に入れるための試練が始まった。
母さん、あなたが書いてくれた手紙は遠くに行ってしまいました。
母さん、あなたが書いてくれた手紙は遠くに行ってしまいました。
途中、何度も引き返そうかと悩みましたが、頭の中にあなたの姿が浮かぶのです。
途中、何度も引き返そうかと悩みましたが、頭の中にあなたの姿が浮かぶのです。
川の流れはとても強く、深くなればなるほど流されてしまいそうになる。そして、深くなればなるほど、ズボンがびっしゃびしゃになる。しかし、我慢をした。母の手紙が私を呼んでいるのだ。

最終的には迂回して浅いところを探し、川を渡りなんとか回収することができた。
うれしさを全身で表現している。
うれしさを全身で表現している。
もし、今ヒーローインタビューをされて「この気持ちを誰に伝えたいですか?」と聞かれたら「このうれしさを母に伝えたいです」と答えると思う。そして、あまりの寒さに上着を持ってきてもらった。2月の川は寒いです。
書けない話が載っていて笑ってしまった。
書けない話が載っていて笑ってしまった。
母からの手紙を読んでいたら光が差しました。
母からの手紙を読んでいたら光が差しました。
色々とあったが、もしボトルメッセージを流すなら暖かい日の小川がおすすめです。寒くなくて回収しやすいから。

ネットだけでは伝わらない想いがある

メールや匿名のサービスだと気軽にメッセージを送れるが、手紙だと気持ちをきちんと伝えることができる気がする。どんな手紙ももらえたらうれしい。

あと、翌日、能登さんは風邪をひいたらしい。ごめん。お見舞いの手紙を書くよ。
「江ノ島さん、ズボンのずっとチャックあいてましたよ」と撮影が終わってから言われたが早く言ってほしかった。
「江ノ島さん、ズボンのずっとチャックあいてましたよ」と撮影が終わってから言われたが早く言ってほしかった。
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