日暮れ近く、そっと現れる嗜好の店
皆さま、プラモデルはお好きでしょうか?
四十路を越えた団塊ジュニア世代である筆者は、子どものころ「ガンプラブーム」というものがありまして・・・。
(ガンダムのプラモデル、略して“ガンプラ”ですね)
最後まで作った試しがないけれど当時、ドップリとハマったひとりです。
プラモデルから遠ざかって早、幾年。
自分の心のなかの“リトル細野”に聞くと「行ってみたい!」との答えが。
降り立ったのはJR保土ケ谷駅
最寄りは保土ケ谷駅なものの相鉄線の星川駅や、天王町駅からもほぼ等間隔といったところ。3駅に囲まれた「月見台」の丘の上にお店はある。
筆者が降り立った保土ケ谷駅からは、ゆっくり歩いて15分ほど。
桜台小学校の目の前。バス停もすぐ近くにある
こちらがキニナル岡崎模型店さん
実に模型店らしいウインドー
午後3時。お邪魔をしようとするが閉っている。その後3時半に再訪するがまだ開かない。この日、店が開いたのは3時45分くらい。遅めの開店だ。
照明が灯り、オープン!
一歩、店内に脚を踏み入れると・・・!! すごい数のプラモデルが陳列されています。心のなかのリトル細野、大喜び!
入ってすぐ。左右の棚にびっしり、床から天井まで
レジ上には輸入プラモデルが
入って右側、ガンプラ多し
左側通路では雪崩が起こっていた
10坪ほどの店内。正面と左右の壁を埋め尽くすプラモデル。さらに棚が2列あり、そこにもビッシリ。通路は人ひとりがやっと通れる程度。
数に「圧倒される」という表現がピッタリなお店。
岡崎模型の謎 どうしてこんなに?
取材交渉をすると、すんなりとOKをいただけた。さっそく話を聞いて行こう。
まずは店主の方のお名前なのだが・・・写真も名前もNGとのこと(残念!)。
年齢が50歳代の男性だということだけお伝えしておきます。
折角なのでレジ前にいたZガンダムの「百式」を
こちらのお店、屋号は「岡崎模型店」。創業は40年から50年前。
アヤフヤなのには訳がある。今のご主人は2代目なのだ。元々、お店の常連でご縁があり先代の方からお店を譲られ引き継いだそう。
代替わりから約4年が経過したという。
「始めは駅(保土ケ谷駅)の近くにあって、その後桜台小学校付近に移ってきたんですね。で、一軒家でやっていたんですけど、道路を通すということで数メートル移って今の場所に。元々、喫茶店だった店をそのまま使っているんです」
確かに喫茶店っぽいかも
――では、そろそろ本題に。どうしてこんなに沢山のプラモデルが陳列されているんでしょう?
「それはズバリ、売れないからです!」
――えっ!?
「仕入れたものの売れずに残ったものが、そのまま・・・」
今の子たちってプラモデルで遊んだり(作ったり)しないんだろうか?
「客層は30~40代以降の男性が中心ですね。女性はタマにお子さんと一緒に来られますけど」
――一日の来客数って、どれくらいなんですか?
「日に多くて5~6組。来ない日はゼロなことも・・・」
――あらら、そうなんですか・・・。
昔から男の子はプラモデルをよく作っていた・・・と思うんだけど、今は違うのだろうか。世代から世代へ受け継がれていた模型製作というものが、少子化や時代の変化によって、世代がロストしかけているんじゃなかろうか?
今一番の売れ筋「妖怪ウォッチ」のプラモデル
岡崎模型の謎 どうしてこんなに?(つづき)
とは言え、こちらの岡崎模型店さんは投稿にもある通り「マニアの間ではかなりの有名店」。遠く他県から掘り出し物を求めてやって来るお客さんもいるとか。
出るか掘り出しモノ! すべてじっくり見るには丸一日かかるんじゃないか?
――集客の意味も込めて、営業時間を早くするとかはどうなんでしょう? 小学校の目の前という立地ですし・・・。
「それは私自身が身体を壊してしまっていて早くから始められないということや、親類の介護などがありまして・・・」
――そうだったんですか。
こちら岡崎模型店さん、変動はあるものの基本、営業は午後3時から。
そしてキニナル投稿にもあったが平日は午後10時まで営業。仕事帰りのサラリーマンが、ふらりと立ち寄ることが多いそうだ。(日祝の閉店は午後8時)
「それに今の(小学生の)子たちは、プラモデルとかはあまり・・・」
少し前の売れ筋「ダンボール戦機」。 放送終了後、パタリと売れなくなったとか
懐かしいシリーズ1「マジンガーZ」
懐かしいシリーズ2「ジム」
懐かしいシリーズ3「シャア専用ズゴック」
こちら最新のガンプラ。トンデモなく進化している
――品ぞろえなんですが、やっぱりガンダム関係が多いんでしょうか?
「そうですね。大体4割がガンダムで、残りは車やバイクですね」
――戦車とかのミリタリー系は?
「扱っていません。近くにミリタリー系を扱う専門店がありますし、ミリタリーはとにかく数が多いんで(名前や種類を)覚えられないから(笑)」
岡崎模型のさらに奥へ
――素朴な疑問なんですが、一体どのくらいの数の商品があるんでしょう?
「それは自分にも分からないです」
――なるほど。そんな気がしてました。
一体、いくつあるんでしょう?
これだけ沢山あれば、ひょっとしてすごいお宝が・・・と考えるのが筆者のゲスいところ。聞いてみましょうか。
――こちらのお店で一番、高~いモノってなんでしょうかね?
「それは・・・」
アオシマ製「1/16 ランボルギーニ カウンタックLP500S」!
30年以上前にあったスーパーカーブームのころのもの
こちらのランボルギーニは常連さんが持ち込み「委託販売」をしている代物でお値段6300円ナリ。
欲しい人にはノドから手が出るほどなのでは?
――ネットオークションなどに出品すればバンバン捌けるんじゃないですか?
「いやいや、そんなことないです。値段は付くものの落札者が送料を負担することを考えると、すんなりとはいかないですよ」
そうなのか~。
取材を終えて
恐らく訪れた人は全員が圧倒されるお店。そしてアニメーション文化が勃興した時代に青春を謳歌した50代、一大ガンダムブームに包まれていた40代男子には、たまらなく懐かしさが込み上げてくる店。
そして何より魅力だったのは店主の方との語らいだった。
世代が若干違うのだが、何とも魅力的な方だった。記事を書いている今、思い返すと「秘密基地」という言葉がピッタリな場所だった。
同好のものが楽しく語らうことのできる空間で、プラモデルの話だけでなくさまざまなことをお喋りするのが楽しい。
大人だけど子どもな“ボーイズトーク”ができる店でした。
最後に店主さんと筆者で一言。
「近く店のなか、片付けないとな・・・」
――ですね!
今回のキニナル、ちょっぴりノスタルジックでワクワクでした。
――終わり――
岡崎模型店
住所/
横浜市保土ケ谷区桜ケ丘1-15-1
電話/非公開
営業時間/ 午後3:00~午後10:00(日祝午後3:00~午後8:00)
定休日/火曜日