「鬼から電話」アプリに説得力を持たせる
子育て層によく使われてる「鬼から電話」というアプリがあるらしい。今回はじめてインストールしてみたが、こんなことになってるのか、子育てサポートアプリ界!
どう使うのか、ちょうど最近ダウンロードしたという知人に聞いてみたところ
「かかってきただけで『電話出ないで!』とおののき叫んで、入らないと言い張っていたお風呂に速攻で向かった」そうだ。
「言うことを聞かない時」ボタンをクリックすると鬼から着信があり、「また言うことを聞いてくれないんですか」と言う。思ってたより丁寧。
どうやら私が出していた年賀状が、このアプリの「鬼」の存在の信憑性アップに一役買ってたらしい。
ここ何年か、そんなことも考えず何気なく送っていた年賀状がこちら。
主に自分が作った編み物作品を載せた2013年版(ヘビ年)
ドレス姿の2015年版
家族が増えた年賀状をもらう機会が増えたので乗っかってみた2017年版。冷静な子供からは「意味がわからない」という言われたりもした……
こんなのを出してて「役に立った」と言われたのだ。まさかの需要。ウソだろう。
耳を疑いつつも詳細を聞き、そこではじめてこの「鬼から電話」アプリの存在を知ったのだった。(それが一昨年の年末。)
それならばもっと子供を意識して作ってみようじゃないか! 子供が怖がり過ぎないようなイラストを入れつつ……、親しみやすい物語ふう……?
そんなこんなで出来上がった今年の年賀状がこちら。これを小さい子供がいる家庭に送ってみよう。
桃太郎のお供を並べてる途中で、ここ数年の干支に当てはまると気づいた
子供たちに届く鬼年賀状
新年明けて、送った年賀状に対する反応を何人かに聞いた。
まずは友人の子であるSくん・4歳。Sくんとはこの姿で遊んだこともあるので、「ママの友達の鬼の人」として認識してくれてはいる。
ママのともだちのおにだよー (これは前に遊んだときの写真)
一度離れて……
おそるおそる近づく
思いのほか受け入れられてる……! ママからのコメントがこちらだ。
あまりに恐がられても困るが、それどころか「かわいい」って! イラストをかわいくし過ぎてしまったか。
つぎは編集部・石川さんのお子さんたちの反応がこちら。
上のお子さん(5歳)は「ふーん」と言ってチラ見、すぐに置く
石川さんいわく、「上の子は、もう鬼卒業なのかもしれません」。いっぽう、下の子のほうは「泣いたり怖いといったりはしませんでしたが、通常の年賀状では見られない反応です」とのことだが……
下のお子さん(2歳)は、写真を触ったりちょっと曲げて見たりしながら「鬼さん…?」と言って、年賀状と石川さんの顔を交互に何度か見たあと、何も言わずに2分くらいずっと年賀状を見てたらしい
うーーーーん、思ってたより平常心だな……。
それ以外の友人たちにも子供の反応を聞いたところ、
【友人1】
何度も「こわいよーー」と言いつつも、怯えてるというよりもテンション高めな感じ。
その後「あんなのもうゴミ箱捨てて!」と言い放つ。(子供は4歳男児)
【友人2】
上の子「そんなの見たくない」と無視を決め込む。(幼稚園で毎年本気の節分をするので、今年はズル休みしたいという鬼が大嫌いな6歳男児)
下の子は困惑。(幼稚園の鬼はまだ知らない3歳男児)
【友人3】
もっとリアルな鬼じゃないと怖くないようで「なんでいつも鬼なのか意味分かんない」と冷静な発言。(6歳女児)
ダメな子と大丈夫な子がきっぱり分かれる感じか。自分の幼児期を思い起こすと、苦手なものやそれと類似したものを拒否る気持ちもちょっと覚えてたりもするので、気持ちは分からんでもない。
ところでこの年賀状、「鬼の信憑性アップ」以外にもなんか使い道はないもんだろうか。ほかの意見も聞いて、もっと鬼年賀状の可能性を探ろう。
鬼の使い道を聞く
そこでネット上でアンケートをおこない、回答を集めてみた。
そもそも「鬼」自体は、どの程度子育ての中で登場するもんなんだろう。
・2歳位の時に使ってみたけど、脅すのもなんだかなーって感じですぐやめた
・電話アプリの様に日常的に脅しながら育児をしたくないため。そもそもうちの子は鬼やゾンビ妖怪といった類が好きなので脅しにもならないのですが…
・鬼が怖いものだとは思っていない。Eテレシャキーン!に登場する鬼tubeを見慣れているので、むしろ鬼は愉快なおじさん達と考えている節がある。
・鬼よりも実態のわからない『おばけ』のほうが怖がるので
・「鬼から電話」がアプリだとすぐに見破られた
確かに「脅すのはちょっと……」という意見に納得しつつも、「脅しにもならない」という強い意見も存在する。
そしてこの鬼年賀状をもらった人が、どの程度活用しようとしてくれるものなんだろう。
回答を見てみると、「なにかに使える」が8割以上! おお、思ったより需要はありそう。
これについては、ポジティブな意見も多々寄せられた。
・笑いのネタとして。こどもこういうの大好きだよね、怖がりはしないと思う
・かわいいので盛り上がると思います。
・見ると元気になる。子供が喜ぶ。
・単純に喜んで飾ったりはするかもしれないが、活用とまではいかないと思う。
・節分の予告状として使います。鬼から年賀状来たよ!今年も節分に来るって!楽しみだね~!一緒にやっつけようね!といった感じに声かけし、豆や升と一緒に年賀状を飾ります。
喜ぶ場合を全然想定してなかったが、あり得るっぽい。「節分の予告状」も兼ねるというのは、1カ月前だしちょうど良さそうだが、「飾る」ってなんだ。
そして、「もし鬼年賀状をもらったら」について、こんな意見が寄せられる。
・鬼と友達というファンタジー感
・サンタのように、「本当にいるのかも!」という実感と、ちょっとなかなか会えない芸能人のような存在に近い部分もあるので、怖くも嬉しい
ファンタジー、サンタ、芸能人……妙にキラキラしてきた。
そして寄せられた使い道を見ると、ほぼサンタである。
・お友達に鬼がいるのでイタズラしないようにねって言い聞かせるかもしれない。サンタさんからの手紙みたいな使い方かな。
・良い子にしてたから赤鬼から年賀状来たね~と言えます
……となると、年賀状には「クリスマスが終わった一週間後に届く、節分を予告しつつ来年のクリスマスの存在もほのめかすカード」ぐらいなメッセージがちょうどいい、ということになる。
これらの思いを詰め込んでみたら、ものすごくふわっとしたメッセージ性のカードになった。
もっと子供向けのセリフにすべきだったか
これはこれで、まあいいか。来年はもっと色んなバリエーションで作ってみよう。
この企画で聞き取り調査をしてたとき、友人と「今の子は色んな手段でいろいろ信じさせられて楽しそうだ」という話になった。まったく本当に、アプリとか電話とか、ファンタジーが多種多様で羨ましい。
私たちだっていい感じに騙されたいが、けど本気で騙しにかかったら問題になるんだろうし、難しいもんだなぁ。