特集 2018年1月7日

どっちがルミネでどっちがミロード?(デジタルリマスター版)

新宿駅ビルの(個人的な)謎を解明します
新宿駅ビルの(個人的な)謎を解明します
ちょっといいですか?いま、新宿駅にいるんですけど。

こっちがルミネですよね?で、こっちがミロード。

え、逆ですか?こっちがルミネでこっちがミロード!?ミロードでルミネ、ルミネでミロード?

もぉー、ややこしやー。

※2008年8月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

前の記事:電車の台車をオブジェとして作ってみたい

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皆さんは分かりますか?

個人的な話で恐縮ですが、僕は生まれてからずっと東京で暮らしてきて、新宿駅も学生時代から社会人になった今でもよく利用しています。

その新宿駅には駅ビルとか地下街とか、たくさんのショッピングモールがあって、それぞれに名前がついているのですが、僕は未だにどこがどれだかぜんぜん分からないんです。

特に「ルミネ1」「ルミネ2」「ルミネエスト」「ミロード」「マイシティ」「サブナード」あたりがごっちゃになってて、たとえば待ち合わせのときに「じゃあルミネ2の前でね」なんて言われたのに東口で降りてマイシティの前あたりをウロウロしている、なんてことがよくありました。ルミネ2は南口だと気づいて、慌てて東口から遠い南口に向かうのですが、南口にはほかにルミネ1とミロードも立ち並んでいて、もうどこがどこなのか、ほとんど絶望的な気持ちになります。

でも、いつまでもこのままじゃいけない!(いまさら)、というわけで、新宿のショッピングモールを位置関係だけに絞って調査します。

問題:ショッピングモールの名前を答えなさい

以下は新宿駅を中心とした地図です。地図の①~⑤に当てはまるショッピングモール名を選択肢から選んで答えなさい。
選択肢:「ルミネ1」「ルミネ2」「ルミネエスト」「ミロード」「マイシティ」「サブナード」「モザイク通り」「京王モール」「小田急エース」「メトロプロムナード」「ペペ」
これをあっさり答えられる人がいたら僕は尊敬します。特に①~③がクセ者で、ルミネとミロードが並んでいるのは何となく分かるのですが、どれが「ルミネ1」「ルミネ2」なのか、そして「ミロード」がどこなのかいつも迷います。

④は独立しているので分かりやすいのですが、つい数日前に僕は驚くべき事実を知りました。

⑤は広大な地下街なのですがちょっと遠いのであまり行く機会がなく、そういう意味で名前が覚えにくい場所だと思います。

これが答えだ!

しかし今回、それぞれの親会社を調べたところ、全体的な位置関係を理解することができました。
・「ルミネ」→JR東日本系列
・「ミロード」→小田急系列
・「マイシティ」→JR東日本系列
・「サブナード」→伊勢丹系列

つまり、南口はJRの改札前にあるのが「ルミネ」、小田急の改札のところが「ミロード」というわけです。
JR改札口のところがルミネ(2)で…
JR改札口のところがルミネ(2)で…
小田急の上がミロード
小田急の上がミロード
「ルミネ1」だけはなぜかJRの改札から少し離れていますが、南口は西側から「ルミネ1」「ミロード」「ルミネ2」という順番で並んでいる、ということが分かりました。たぶん、ルミネの間にミロードが挟まれている、というこの構造が覚えにくさの根源であるような気がします。

よって正解は、①ルミネ1、②ミロード、③ルミネ2、となります。

「よって」とか「となります。」なんて偉そうな物言いですが、たぶんものすごい常識問題だということは気づいているので、もともと知っている方は暖かい目で見守っていただければ幸いです。
南西の角の建物が「ルミネ1」
南西の角の建物が「ルミネ1」
僕の記憶では2階のアフタヌーンティーのところはアニエスベーだった気がする
僕の記憶では2階のアフタヌーンティーのところはアニエスベーだった気がする(現在は別の店が入っているようです。※2018年編集部追記)
外からは見分けがついたので、中に入って、具体的な境目を探してみました。

待ち合わせスポットとなっているJRの南口改札から小田急方面に進むと、床のタイルが変わっているラインがありました。そして天井を見上げるとシャッターが。ここがJRと小田急の、つまり「ルミネ2」と「ミロード」の境目に違いありません!
いつも人がごった返しているJR南口改札
いつも人がごった返しているJR南口改札
「ルミネ2」と「ミロード」の境目はここだ!
「ルミネ2」と「ミロード」の境目はここだ!
境目から見た小田急側と
境目から見た小田急側と
JR側はよく見ると床も蛍光灯も柱も違う
JR側はよく見ると床も蛍光灯も柱も違う
境目に立って左右をよく見ると、JR側と小田急側では床のタイルだけでなく天井の蛍光灯も柱の装飾も違う、というか、むしろ同じ要素が見当たりませんでした。

僕が気づいていなかっただけで、ちゃんと駅側はそれぞれのキャラクターを前面に出していたんですね。

同じように、「ミロード」と「ルミネ1」の境目も見つけることができました。

しかし、隣接していて人の行き来も多いのに、JR側の案内図にも小田急側の案内図にも、それぞれの「ライバルモール」の記載がありませんでした。興味深い素材ではありますが、その前にちょっと不親切だなと思いました。
都営地下鉄や京王線方面に向かう階段の下に
都営地下鉄や京王線方面に向かう階段の下に
境目を発見!
境目を発見!
JR側には「ミロード」の記載がなく
JR側には「ミロード」の記載がなく
小田急側には「ルミネ」の記載がない
小田急側には「ルミネ」の記載がない

マイシティはもうない

地図の問題のところで書いた「僕が最近知った驚くべき事実」、それは「マイシティ」という名前がなくなった、ということです。しかも2年以上前に。どうしよう、東口にもよく来ていますがぜんぜん知りませんでした。

旧マイシティは同じJR系列のルミネに吸収され「ルミネエスト」として生まれ変わりました。「南口の象徴」だったルミネが東口にも進出してしまったことによって、僕のような情報音痴のさらなる混乱が懸念されます。
古い看板にはまだマイシティの名が残る
古い看板にはまだマイシティの名が残る
マイルドセブンのような看板
マイルドセブンのような看板
これはもう「エスト」の「EST」を東口に置き換えて(そもそもそういう意味でしょうけど)覚えるしかなさそうです。というわけで④は「ルミネエスト」。

⑤は「サブナード」が正解なのですが、これが伊勢丹系列だった、というのはかなり意外でした。でも駅よりも伊勢丹の方が近いので、それさえ覚えておけば間違えることはないでしょう。
サブナード入口
サブナード入口
エスカレーター脇の水槽が目印
エスカレーター脇の水槽が目印
というわけで、「ルミネ1、2、エスト」「ミロード」「サブナード」の場所は完璧に覚えました。これでもう「ルミネ2」の場所が分からなくなることもないはずです(迷っていたのは僕だけだと思いますが)。

何だか頭がスッキリしたところで、次のページでは新宿駅ビルをひと回りして見つけたコネタをいくつかご紹介します。
いったん広告です

全体的に'70~'80sぽい

ルミネ、ミロード、サブナードをはじめとする新宿のショッピングモール。いろいろまわって思うのは、中に入っているショップはともかく、どこもロゴマークが'70~'80年代ぽい、というところ。もちろん開業した当時のままなんでしょうが、「日本の首都の都庁のある駅」のショッピングモールとして考えると、けっこう面白い現象なのではないかと思います。
どこかマイケルジャクソンとかスターウォーズのテイスト(キャプテンEOかも)を感じる
どこかマイケルジャクソンとかスターウォーズのテイスト(キャプテンEOかも)を感じる
恋のブン・ブン・ダラー!(あくまでもイメージ)
恋のブン・ブン・ダラー!(あくまでもイメージ)
「サブナ~ド~」というCMジングルを思い出す
「サブナ~ド~」というCMジングルを思い出す
西武沿線っ子だったのでペペのロゴは琴線に触れる
西武沿線っ子だったのでペペのロゴは琴線に触れる
悲しくてしょうがない京王モールのネオン
悲しくてしょうがない京王モールのネオン
寿司折りのような緑タイル
寿司折りのような緑タイル
このセンスが21世紀にも生き残っているとは!
このセンスが21世紀にも生き残っているとは!
これはかろうじてバブル後か
これはかろうじてバブル後か

西口から南口への地下通路は途中で名前が変わる

こんなの、普段通る人でないと意味が分からないと思いますが、西口の京王線乗り場付近から都営地下鉄乗り場付近に伸びている地下道は、京王側が「小田急エース南館」、都営地下鉄側が「京王モール」と、途中で名前が変わっているのです。

どこで変わっているかと言うと、京王線とJR線の連絡改札口方面への道が交差している、ちょうどハーゲンダッツがある十字路。これ、知っていたようで知らなかったのでけっこう驚きました。が、ローカルすぎるネタですね…。

(ハーゲンダッツがあった場所は現在は別の店が入っているようです。※2018年編集部追記)
小田急エース側入口
小田急エース側入口
京王モール側入口
京王モール側入口
この十字路の左右で名前が変わる
この十字路の左右で名前が変わる
左の写真は矢印のところから撮った
左の写真は矢印のところから撮った

すごく寂しい地下道

この記事でここまで使ってきた写真、どれも途切れることなく人が写っていたと思います。実際、どこに行ってもビジネスマンから観光客までものすごい人通りなのですが、中にはこんな寂しい地下道もあります。これはどこかと言うと、小田急ハルクの外側をかすめるように造られた地下道。なだらかにカーブしているうえ、お店もないので人通りはほとんど見えません。
これが本当に新宿なのだろうか
これが本当に新宿なのだろうか
丸ノ内線の上を通っているらしい
丸ノ内線の上を通っているらしい
ものすごい筋肉を想像してしまう
ものすごい筋肉を想像してしまう
ハルク、上の方はほとんどビックカメラ
ハルク、上の方はほとんどビックカメラ

メトロプロムナード、実はJR東日本の持ち物

新宿の西口と東口を結ぶ数少ない通路のうちのひとつ、メトロプロムナード。屋台のような小さな店が建ち並び、反対側の壁の大きな広告ポスターが目を引きます。丸ノ内線の改札口の近くにあり、その名前からも東京メトロの敷地かと思われますが、実は持ち主はJR東日本で東京メトロが借りているようです。JRの線路をくぐっている部分なので当然かも知れませんが、柱に貼ってあった「財産票」を見つけて初めて気づきました。
東口と西口を結ぶ唯一の自由通路
東口と西口を結ぶ唯一の自由通路
通るたびにここのポスターが変わる
通るたびにここのポスターが変わる
3年更新(しかも期限切れ?)
3年更新(しかも期限切れ?)

サブナードはものすごく広い

靖国通りの地下に広がるサブナード。僕は歌舞伎町に抜けるための通路として、というくらいしか通ったことなかったのですが、改めて地図を見てみると1丁目から4丁目まであって、ものすごく広大です。3丁目の端に立つと、地下道なのに消失点が見えそうなほど奥までまっすぐ伸びています。

そのくせ、割と人がまばらで、ちょっと閑散としているんですよねぇ。
サブナードの案内地図
サブナードの案内地図
1丁目から4丁目まである
1丁目から4丁目まである
消失点が見えそうな地下道
消失点が見えそうな地下道
地図に載る地下道
地図に載る地下道

僕だけかも

新宿を数時間歩き回って、個人的には興味深いネタがたくさんあったのですが、東京以外の人には分からないネタばかりだろうし、東京の人にはほとんど常識と言ってもおかしくないことばかりだと思うので、今さらどのくらいの人に共感してもらえるかすごく不安です。

でも今まで本気で謎だったルミネとミロードの位置関係がハッキリしたので、僕はすごく充実した取材でした。

待ち合わせに使うだけで中にはほとんど入りませんけど。
あとモザイク通りがモザイクじゃなくなってた
あとモザイク通りがモザイクじゃなくなってた
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